
【29-2】朝の連続派遣小説『へばりつく』
「御社では派遣社員の管理をどうされているんですか?突然ご主人が会社に押し掛けてくるなんて前代未聞ですよ。この件をどのようにお考えですか?」 ...
「御社では派遣社員の管理をどうされているんですか?突然ご主人が会社に押し掛けてくるなんて前代未聞ですよ。この件をどのようにお考えですか?」 ...
【29】 「ちょっと込み入った話がありまして、今日こちらにお越しいただけませんか?」 サイオン社の長村課長から電話があったのは朝...
「え、もう行くの?こんな時間だよ」 時刻は22時、どこかホテルに泊まるにしても難しい時間だ。まさか夫の待つ自宅に帰るつもりだろうか。先...
【28】 こんなはずじゃなかった。 彼女をDV夫の暴力から避難させるためという正義感からの行動だったが、本音のところ、自分の寂し...
彼はなにをそんなにムキになっているのだろうか。そもそも私が対応し切れないから彼らにバトンタッチをしたわけではない。本来、ストーカー被害が予見...
【27】 「田中さん、清水さんから変なメール来てますよ」 電話に出ると山下は開口一番言ったのだった。清水敦子からのメールは永岡と...
【26】 「くそっ、どこにあるんだ」 妻の洋服ダンスや化粧台、押し入れの中の収納ボックス、家中ありとあらゆる場所を探したが見つか...
【25】 いつも暗がりの中で少しずつ指を進めて自分の居場所を確かめているような気がする。子供の頃からずっとそうだったかもしれない。 ...
彼女が遅く帰ってきた夜、風呂に入っている隙を見てスマートフォンを覗き見した。暗証番号は見当がついていて、思った通りすぐにロックが解除される。...
【24】 金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものだ。取引先も、ヘコヘコと俺に頭を下げていた業者も、昔からの友人も、女も、すべてが潮が...