
【26】朝の連続派遣小説『へばりつく』
【26】 「くそっ、どこにあるんだ」 妻の洋服ダンスや化粧台、押し入れの中の収納ボックス、家中ありとあらゆる場所を探したが見つか...
【26】 「くそっ、どこにあるんだ」 妻の洋服ダンスや化粧台、押し入れの中の収納ボックス、家中ありとあらゆる場所を探したが見つか...
【25】 いつも暗がりの中で少しずつ指を進めて自分の居場所を確かめているような気がする。子供の頃からずっとそうだったかもしれない。 ...
彼女が遅く帰ってきた夜、風呂に入っている隙を見てスマートフォンを覗き見した。暗証番号は見当がついていて、思った通りすぐにロックが解除される。...
【24】 金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものだ。取引先も、ヘコヘコと俺に頭を下げていた業者も、昔からの友人も、女も、すべてが潮が...
「清水さん、奥様が弊社の田中にストーカー行為をしているかもしれないということで、それを止めて下さるというのはありがたいお申し出なのですが、弊...
【23】 清水忠典の容貌は電話で話した印象とずいぶん違うものだった。 歳は四十前後くらいだろうか。仕事柄なのか、がっしりとした体...
今日のこの集まりは、そのとき仲良くなった数家族がそれぞれ何人か知り合いを連れてきて、交流を深めつつ人脈を広げるという主旨のものだった。ホスト...
【22】 「本当だろうな」 甲田とは付き合いが長いが、奴は調子がいいというか、小狡いところがある。高校の同級生から付き合いが始ま...
いつ息継ぎをしているのだろうかと心配になるほど勢いよく喋り続ける彼に違和感を感じる。私が浮気相手ではないという確信を持っているようだが、それ...
【21】 まだ日中は上着が暑苦しく感じるときも多いが、すっかり秋めいてきたこの時期は街を歩くのに最適の季節だ。発色の良い青色の空に、小...