【派遣業界裏事情】派遣法3年ルールを逃れるための派遣先・派遣会社の苦肉の策とは?

【派遣業界裏事情】派遣法3年ルールを逃れるための派遣先・派遣会社の苦肉の策とは?

大勢の派遣スタッフが2018年年末に転職を余儀なくされた「2018年問題」

派遣法3年ルールによって2019年1月1日に抵触日を迎えるため、派遣先で直接雇用するか、派遣元で直接雇用(大半は無期雇用)しない限り、2018年12月31日までしか今までのように働けず転職を余儀なくされるという、いわゆる「2018年問題」が問題になりました。

その対象になった派遣スタッフについてもう少し詳しく説明すると次のようになります。

  • 派遣法改正以前より就業していて、改正施行の2015年9月30日には、すでに次の更新契約、2015年10月1日〜2015年12月31日の契約更新がされていて、改正法の適用、つまり3年のカウントが始まるのが2016年1月1日=抵触日は2019年1月1日=これまで通りに派遣で働けるのは2018年12月31日までの人

私の勤める派遣会社は売り手市場で優秀なスタッフの確保が難しくなる中、「派遣先から長期に渡って契約更新があり、長年勤めてくれている派遣スタッフは優秀な派遣スタッフである」という仮説をもとに、人材確保の観点から派遣法3年ルールに抵触した派遣スタッフの無期雇用化を積極的に進めました。

が、ほとんどの派遣会社は「お客様(派遣先)が対象派遣スタッフの派遣法3年抵触以降も就業継続を希望し、派遣元での直接雇用(大半は無期雇用)を希望し、派遣元が派遣スタッフを定年まで雇用する雇用リスク・コストに見合う契約金額増額をしてくれたら直接雇用する」というスタンスであったため、派遣先がボールを持った意思決定となり、対象の派遣スタッフに明確な方向性を示せぬまま、ずるずると意思決定が遅れ、結果、年末に対象の派遣スタッフが転職を余儀なくされるという最悪の対応だったように思います。

派遣会社にとっては法改正後、実質的に初めての取り組みでもあり、各派遣会社が五里霧中の中で意思決定が遅かったり、派遣スタッフへのアナウンスが中途半端であったために、「なんだかんだ言って無期雇用化されて、このまま今の職場で派遣で働き続けられるだろう」と受け止めた派遣スタッフが、1回前の2018年9月末の契約更新タイミングで転職に踏み切らず、年末を迎えてしまったわけです。

有期契約ですから自己責任と言えばそれまでなのでしょうが、このような派遣スタッフ側の判断には、派遣会社側の中途半端なスタンスによるアナウンス不足とともに、これまで複数回にわたる派遣法の改正が当時の政権や政局によって右往左往し、派遣スタッフからすると「なんとかなってきた」歴史背景もあるのかもしれません。

派遣法3年ルールを逃れるための派遣先・派遣会社の苦肉の策とは?

私は大手企業を担当しているのですが、複数の派遣会社が出入りをしています。

その関係で一つの部署に複数の派遣会社の派遣スタッフが混在することも多く、昨年後半に派遣先担当者から次のような質問を良く受けました。

  • 派遣法3年ルールに抵触したスタッフを、別の部署に移すことで期間制限をリセット(また新たに3年働いてもらうことが)できるのか?
  • 派遣法3年ルールに抵触したスタッフの業務内容を変えることで、所属部署をそのままにまた3年就業させることができるのか?
  • 派遣法3年ルールに抵触したスタッフが大勢いるので、業務をスタッフ付きで子会社に業務委託に出そうと思うが、それで期間制限をリセット(また新たに3年働いてもらうことが)できるのか?

派遣先担当者もベテランの派遣スタッフがいなくなってしまうと業務に大きな支障がでて必死なのだと思いますが、色々抜け道を考えるなぁと感心します。

派遣先の経営判断としては「派遣は一時的な雇用、外部人材である派遣スタッフに業務ノウハウが貯まりすぎブラックボックス化してしまうのは良くない。これを機に3年で派遣スタッフを入れ替えていく運用にしよう」と考えるのに対して、現場担当者は目先の業務をマネジメントするので精一杯、そんな矛盾が苦肉の策を生むのです。

上記のような派遣先担当者からの質問には次のように答えました。

  • 期間制限がリセットされるか否かは「実態として新たな派遣先となっているか」次第
  • 別の部署に移したり、業務内容を変えたりしたとしても、実態として以前と同じように働かせているのであれば期間制限はリセットされない
  • 最終的な判断は派遣先の事業所のある労働基準監督署
  • 「別の部署に移す」、「子会社にスタッフ付きで業務委託化する」というが、派遣は「○○という業務ができるスキル・経験のある人材が欲しい」という派遣先と、「○○という業務のできるスキル・経験のある人材」である派遣スタッフをマッチングする仕組み。つまりAさん・Bさんという属人を特定することは派遣法で禁止されている特定行為に抵触する可能性が高い

2018年12月末に、前述したような苦肉の策で、派遣先・派遣元とも対象の派遣スタッフを直接雇用せずに期間制限をリセットしたていにして乗り切った派遣先・派遣会社もあろうかと思います。

そのような苦肉の策で乗り切った派遣先・派遣会社・派遣スタッフは、今後油断をしない方がいいと思います。

恐らく今後、各エリアの労働基準監督署が、期間制限の妥当性について大手企業の派遣先や大手派遣会社から順番に検証をしていくはずです。

もし問題が顕在化した場合、派遣先や派遣会社が行政指導を受けることは仕方ないことだと思いますが、最終的には派遣スタッフが割を食うことになるのです。

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