【派遣社員のための社会保険講座】保険はどこで買うのがいいのか?注意点は?
保険はどこで買うのがいいのか?
保険会社の販売員から買うのは避けた方が無難
保険を契約するときは、できれば保険会社の販売員(1社専属の営業マン)から買うのは避けたいところです。
その会社だけの商品では商品分野ごとに競合商品に比べての良しあしがありますし、「定期保険を割安に提供する代わりに、医療保険で儲けさせてもらう」というような会社組織としての商品戦略がありますので、1社の保険商品だけでワンストップですべてを賄おうとすると必ず損をします。色々な保険会社の良い商品のいいとこどりができないわけですね。
若くて可愛い販売員が何から何まで面倒見てくれて気分もいいですし、小難しい保険の事をわからなくても何とかなるんではないかという幻想を抱いて、「我が家の保険の事は君にお任せするよ!」なんてかっこいいことを言っているオジサンを昼下がりの会社のロビーでよく見ますが、知識もなしに任せきりではカモにされるに決まっていると思いませんか?
あまり保険の知識のない方にお勧めするのは次の2つの買い方です。
- 独立系ファイナンシャルプランナーに相談
- 複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店に相談
独立系ファイナンシャルプランナーに相談
独立系ファイナンシャルプランナーとは、特定の保険会社に属していないファイナンシャルプランナーの事です。
特定の保険会社に属していないということは、その会社の売りたい保険商品を無理に売る必要がないということですので、より買う側の立場になってアドバイスをすることができます。
同じファイナンシャルプランナーでも、保険会社に属していて、「一応資格だけ取りました」というような、にわかファイナンシャルプランナーに比べると厳しい世界で生きていますので、実力の差は歴然です。
ファイナンシャルプランナーに相談すると、保険という単品の相談だけでなく、ライフプランニング(人生設計)・ファイナンシャルプランニング(資産設計・保険設計)という大きな視野でアドバイスをしてもらえます。
つまり、本来のファイナンシャルプランナーはプランニングが商品であり、保険商品の販売が本業ではないのです。
しかし、日本では「ファイナンシャルプランニングは保険を売るための無料のサービス」という一般的な認識が強く、なかなか本業だけでは食べていけません。
そういった背景もあってか、最近では「ファイナンシャルプランナーにお金や保険の悩みを相談したい」という相談者と、独立系ファイナンシャルプランナーを結びつける、いわばマッチングサイトが数多く見られます。
私が色々と調べたり、試したりする限り、リクルートの運営する「保険チャンネル」というマッチングサイトは運営母体がしっかりしていることもあり、間違えなさそうです。
複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店
複数の保険会社と代理店契約を結んでおり、色々な保険会社の商品のいいとこどりをできる乗合代理店ですが、そのメリットとデメリットをしっかり認識しておくことが重要です。
●メリット
- 色々な保険会社の良い商品をいいとこどりできる
- 1社専属の販売員に比べると商品に対して中立的な視点でアドバイスしてくれる
●デメリット
- 担当者の知識や経験のムラが大きい
- 保険会社が乗合代理店に売ってもらうために高額の手数料を出すため、どうしても手数料の高い商品を勧められがち
会社組織であり、販売員も成績で管理されていますから、メリット・デメリットがあるのは当然です。
販売員にすべてをゆだねず、次のようポイントで事前の準備と、提案を受けた後の判断をするとハズレがありません。
●ポイント
- どんなことが不安で保険に入ろうと思っているのかをまとめる
- その不安に対して、公的保障や会社の福利厚生の保険などでどれだけカバーできているのかを調べる
- 保障が足りない部分がどこなのかをまとめて、販売員に伝える
- 販売員から薦められた商品の特徴やメリット・デメリットを聞く
- デメリットがメリットに勝っているかを自分で判断する
- その保障は全体の保険設計の中でバランスが取れているかを確認する
保険を買うときの注意点
保険を買うときの主な注意点は4つです。
- 販売員のおすすめ(売れ筋商品)を買わない
- 販売員の感情に訴えかけるセールスに騙されない
- 大手の安心感に騙されない
- マネー誌や経済誌のランキングに騙されない
販売員のおすすめ(売れ筋商品)を買わない
販売員のおすすめはあなたにとってのおすすめではなく、保険会社に大きな利益をもたらす、保険会社がおすすめしたい商品です。おすすめ商品を販売員がセールスするままに買っても得をすることはありません。
また、「この商品が売れ筋なんです!」といったセールスをする販売員の口車に乗ってはいけません。
保険会社が高い利益のでる商品を積極的に販売させるのは当たり前です。
結果その商品が一番の売れ筋商品になるのも当たり前なわけで、買う側にとってメリットのある話ではないのです。
販売員の感情に訴えかけるセールスに騙されない
「私のお客様は、がん保険をおすすめしているときは疑心暗鬼だったのに、いざがんになった後にはとても感謝された」とか、「私も母ががんになってとても苦労した。その苦労を他の人にはしてほしくなくて、この仕事をするようになったんです」など感情に訴えかけて、ろくに商品説明やメリット・デメリットをご説明してくれない販売員は要注意です。
保険はある意味ギャンブルで、賭けに負けた人が、賭けに勝った人に保険金を支払う仕組みです。その本質の説明なく、感情にばかり訴えかけるようなセールスをする販売員が信用できるわけがありません。
大手の安心感に騙されない
大手企業であるという安心感は魅力ですが、本当に安心なんでしょうか?
少し古い話ですが2005年に起こった明治安田生命の保険料不払い事件を覚えている方も多いと思います。当時の役員が意図的に保険金の支払いを減らすように指示をした、かなり悪質なものでした。
保険会社の支払い能力を示すソルベンシーマージン比率という指標があります。
200%を超えると、その保険会社の経営にいざということがあっても安心という指標なのですが、ほとんどの保険会社がソルベンシーマージン比率が200%を超えており、各社を比較するための指標としてはあまり機能していません。
それよりも、その会社がいざという時に払うべき保険金をきちんと払ってくれる会社なのか?信頼のおける企業倫理のある会社なのかどうかの方が大事なように感じます。
どの保険会社を選ぶかの判断基準のひとつとして、その保険会社の提供する商品が、保険の特徴を踏まえた、顧客目線の商品であるかどうかという見方があってよいと思います。
マネー誌や経済誌のランキングに騙されない
マネー誌や経済誌でよく保険の特集を見かけますが、特にマネー誌は保険会社などの広告掲載によって成り立っています。
当然、広告主の都合の悪い情報など載せられるはずもなく、参考程度と割り切って読むのが大事です。その雑誌にどんな保険会社の広告が掲載されているかが参考になるかもしれません。
また保険のランキングの大半は契約数や販売数のランキングであり、保険会社は利益の高い商品であるからこそ営業コストをかけて売るのであって、その売れた結果としてランキング上位になるわけです。
いわば保険会社にとっての「儲かる商品ランキング」であって、買う側にとってメリットの高い商品のランキングということではありません。