【派遣業界裏事情】なぜ、企業は割高な人材派遣を使うのか?

【派遣業界裏事情】なぜ、企業は割高な人材派遣を使うのか?

なぜ派遣で働くと時給が高いのか?

パートやアルバイトは時給1100円、同じ会社で同じ仕事なのに派遣だと1400円。

そんな話を聞いたことはありませんか?

この時給格差の理由はなんでしょうか?

理由は人材派遣のサービス構造

同じ会社で同じ会社なのにパートやアルバイトより派遣の方が時給が高い理由は、働く人のスキル・経験の違いなどではなく、人材派遣のサービス構造にあります。

●人材派遣のサービス構造

  • 人材派遣は「○○という業務をしてもらうために、○○というスキル・経験を持った人を派遣してほしい」という派遣先(お客様)と、「○○というスキル・経験を活かして、○○の条件で働きたい」という派遣スタッフを、派遣会社が結びつける、いわば「労働力の仲介業」
  • 仲介業であるがゆえに、より多くの派遣スタッフが案件に応募してくれるような工夫が必要
  • 具体的には派遣会社営業マンが派遣先(お客様)に対して次のような交渉を行う
  •  求人広告でまず目にとまるのは時給。その派遣先のパートやアルバイトの給与は勘案しつつも、派遣スタッフとしての相場観で募集ができるよう、派遣先から派遣会社がもらう契約金額の引き上げ交渉
  • より多くの人が応募してくれるように、勤務時間の融通を利かせたり、業務内容を明確にして安心して働けるようにしたりといった条件面の調整、交渉

つまり、派遣会社は人材を求めている派遣先(お客様)と、仕事を探している派遣スタッフのマッチング確率を上げるため、最終的には自社の売上・利益を上げるために派遣先との調整・交渉などの様々な営業努力を行なっているのです。

求人企業が自らの判断だけで決めるパートやアルバイトの時給に比べ、労働マーケットの相場観が反映され、よりマッチング確率を上げるための調整・交渉が行われたことによる差が時給の格差となって現れます。

企業がわざわざコストの高い人材派遣を使う理由は何か?

同じ会社で同じ仕事をしてもらうのに、パートやアルバイトに比べて人材派遣の方がコストが高いなら、なぜ企業はわざわざ高い人材派遣を利用するのでしょうか?

理由はいくつかありますが、全ての企業にとって言えることと、大企業に限って言えることの違いがあり、2つに分けてご説明します。

企業が人材派遣を利用する理由

人材派遣を利用する全ての企業にいえるのは次のようなメリットです。

●人材確保という観点で見たときに費用対効果が明確

  • 求める人物像にマッチングした人材の紹介をしてくれるので、選考の手間がかからない
  • 就業が開始して初めて請求が発生する成果報酬型
  • 求人広告は掲載しても全く反応がなかったり、全く求人像に合わない人材が応募してきて対応の手間ばかりがかかったりと費用対効果が悪い

●契約期間で区切られているため、業務量に合わせて人数調整ができる

  • いわゆる「雇用の調整弁」としての人材派遣
  • 雇い止めの問題はあくまで雇用関係のある派遣会社と派遣スタッフ間の問題

●雇用のリスク・コストがない

  • 派遣先と派遣スタッフは雇用関係がないため、直接雇用の場合に発生する「雇用し続けなければいけない」リスク・コストがない

●労務管理コストがかからない

  • 直接雇用の場合に発生する年金・健康保険・雇用保険・労災保険にかかる費用や実務、給与支払や有給の処理など労務管理の全ては、派遣スタッフの雇用主である派遣会社が行い、それらに関するコストは全て契約金額に含まれている

人材の募集時から就業中、退職まで、企業が労働者を雇用し、働いてもらうには想像以上に様々な実務やコストが発生します。

人材派遣では、本来の「マッチングした労働力の提供」というサービスだけでなく、実質的に労務管理や雇用のリスク・コストのアウトソーシングを行なっているのです。

大企業が人材派遣を利用する理由

前述した全ての企業が人材派遣を利用するメリットに加えて、主に大手企業を相手に営業活動をしている私から見たときに、大企業では少々別の理由もあるようです。

  • 労働組合が強く、パートやアルバイト、契約社員など安い労働力を増やすと正社員が不利になるため、雇用関係の発生しない人材派遣でしか人を増やせない
  • 部や課、プロジェクトなど、それぞれの組織単位で人件費から見た採算性をチェックされるが、人材派遣は人件費でなく物件費として計上できるため、見かけ上、人件費を低くすることができる

いずれにしても、派遣スタッフが都合よく扱われるという点では変わりはないようです。

働く側の派遣スタッフに目線を移したときに、人材派遣という働き方は「働く条件を選べる働き方」であることをくれぐれも忘れないでほしいのです。

「正社員や契約社員の仕事が決まらないから派遣」という実態があるのも十分理解しているのですが、直接雇用と並列で人材派遣という働き方を考えたときに、派遣スタッフには不利なことがずいぶん多いのです。

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