【派遣業界裏事情】「ピンハネ」「中抜き」の汚名は不本意、人材派遣は儲からない業種

【派遣業界裏事情】「ピンハネ」「中抜き」の汚名は不本意、人材派遣は儲からない業種

「ピンハネ」「中抜き」の汚名は不本意

最近はずいぶん減りましたが、お客様から次のような心無いお言葉を頂いたことがあります。

  • 派遣会社は派遣元から出している時給から利益を中抜きするだけでなにもしない
  • 派遣会社は本来スタッフに支払べき分までピンハネしている

派遣スタッフからも次のようなことを言われたことがあります。

  • 派遣会社は私たちの給料からピンハネして飯を食べれているんだから偉そうなことを言うな
  • 派遣会社は派遣先から支払われている時給から不当に中抜きして利益を得ている、もっと私の時給を上げろ

お客様にしても、スタッフさんにしても、この言葉が発せられるまで、色々と経緯があってのことなので、いきなり言われたわけではないものの、自分の職業を全面否定されると誰だってそれなりに傷つくものです。

人材派遣は本当に「ピンハネ」「中抜き」なんでしょうか?

派遣先(お客様)から頂いた1時間あたりの契約金額から、派遣スタッフに1時間あたりの給与(時給)を支払う。

そう行った意味では、確かに「中抜き」なのかもしれません。

ただ、私を罵倒したお客様やスタッフさんはそういったことを言いたかったのではなく、

「派遣会社は何もしていないのに派遣先(お客様)の出したお金から中間搾取して、派遣スタッフを不当に安い(もしくは見合わない)賃金で働かせている」

ということのように思います。

それでは派遣会社は本当に何もしていないのでしょうか?

人材派遣は儲からない業種

派遣会社に対して、お客様や派遣スタッフが「派遣会社は何もしていないのに派遣先の出したお金から中間搾取して、派遣スタッフを不当に安い(もしくは見合わない)賃金で働かせている」と思っているとしたら、それをさらに掘り下げると、次のような派遣会社に対する不信感があるのかもしれません。

「派遣会社は大した仕事をしていないのに、ずいぶん儲かっているようだ」

この考えは派遣会社の収益構造を大きく誤解しています。

派遣先(お客様)からの時間あたり契約金額−派遣スタッフの時給=派遣会社の利益

こんな風に誤解していませんか?

上記の通りであれば、派遣会社は30%近い驚異の利益率を実現していることになります。

しかし実際の利益率は数%、この違いはどこから来るのでしょう?

人材派遣協会のホームページによると、派遣先(お客様)からの時間あたり契約金額の内訳は図のように分布しています。

派遣スタッフに払う給与、つまり派遣会社でいう「原価」は大体70%くらいです。

残りの3割がまるまる派遣会社の利益のように誤解されがちですが、世の中そんなに甘くありません。

派遣会社は派遣スタッフの雇用主ですから、雇用主たる責任としてさまざまなコストが発生します。

●(広義の)社会保険料

  • 社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)は労使折半、つまり派遣スタッフが支払っている保険料と同額を支払う
  • 労災保険料、雇用保険料についても雇用主としての保険料負担あり

●有給休暇

  • 派遣スタッフも条件を満たせば当たり前に有給が発生し、派遣会社は全日数の有給取得があることを前提に、その分のコストを積み立てている

人材派遣は「○○という業務をしてもらうために、○○というスキル・経験を持った人を派遣してほしい」という派遣先(お客様)と、「○○というスキル・経験を活かして、○○の条件で働きたい」という派遣スタッフを、派遣会社が結びつける、いわば「労働力の仲介業」ですから、その機能を果たすためにも、様々なコストが発生します。

●諸経費

  • 求職中の方々にスタッフ登録してもらうための登録センターやその人員などのコスト
  • 求職者に当社に興味を持ってもらうための求人広告などの広告コスト
  • 派遣先(お客様)の人員ニーズと、条件に合う仕事を探している派遣スタッフとのマッチングをするための営業マンや、人選担当などのコスト
  • 就業中の派遣スタッフの給与支払処理、社会保険事務、派遣スタッフから依頼される各種届出書類の対応など、社員として働いている場合に人事部に依頼するような事務処理全般のコスト
  • 派遣先への請求書発行、入金した売上の消し込みなど事務処理全般のコスト
  • オフィスなどのコスト
  • 改正派遣法で義務付けられた就業中の派遣スタッフへの教育研修(1年あたり8時間)のコスト

細かく例を挙げて行ったらきりがないのですが、ここまでお伝えすれば、人材派遣がそんなに簡単に儲かるような業種でないことがご理解頂けるのではないでしょうか?

人材派遣は徐々に大手のシェアが増大

これまでお話をしました通り、人材派遣は派遣法改正で多くの資本や資金が必要になったり、年々上がる社会保険料による費用負担、売り手市場による人材確保難での広告コストの増大など、主に外部環境の変化を理由に儲からない業種になりつつあります。

一時期は雨後のタケノコのように乱立した派遣会社もずいぶん淘汰されてきました。

少し前ですが、リクルート社がスタッフサービス社を買収したり、テンプスタッフ社がインテリジェンス社を買収したように、業界のシェアは徐々に大手派遣会社に集中しつつあります。

つまり、「儲からない業種になったので規模によって厳しい事業環境を生き抜こう」ということです。

私の勤める派遣会社もどこかに買収されたりするんでしょうか・・・どの会社でも通用する力量が必要ですね。

更新情報はTwitterに配信しています!