【派遣会社営業マンのクレーム対応報告】派遣先担当者から突然「Rさんがセキュリティ事故を起こしたので、解雇してほしい」というメールがあった派遣スタッフRさんのクレーム対応①

【派遣会社営業マンのクレーム対応報告】派遣先担当者から突然「Rさんがセキュリティ事故を起こしたので、解雇してほしい」というメールがあった派遣スタッフRさんのクレーム対応①

私の担当スタッフとして派遣先のH社に勤務する30代女性のRさんですが、ある日の朝突然、Rさんの派遣先担当者から「Rさんがセキュリティ事故を起こしたので、解雇してほしい」というクレームのメールが届きました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業マンが、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

クレーム経緯

●RさんはH社で2年近く働いてくれていて、職場ではベテランの派遣スタッフと認識されている

●H社の派遣先担当者は3ヶ月前に新任の課長に変わったばかり

●前任の課長からRさんへの評価はとても良かった

●課長の配下には社員2名と派遣スタッフが5名(Rさん含む)

●ある日の朝、突然課長から私の携帯メールに「Rさんがセキュリティ事故を起こしたから解雇してほしい」というメールが届いた

対応のポイント

お客様への対応のポイント

着任したばかりの課長ということもあり、まずはどういった考えで「Rさんがセキュリティ事故を起こしたから解雇してほしい」といったインパクトあるメールを送ってきたのかを確認する必要があります。

  • セキュリティ事故とはどんな事象を指すのか?
  • 「H社と当社の派遣契約(商契約)の解除」ではなく、「解雇」という単語を選んだのに意味はあるのか?つまり文面通りであれば「Rさんは、御社がRさんを解雇する必要があるほどの重大なセキュリティ事故を起こした」と解釈できる

また、課長と会って確認をする準備として事前に次のような準備が必要です。

  • 就業規則や誓約書などで、Rさんに限らず当社が登録スタッフに等しく約束してもらっている情報セキュリティに関する事項
  • H社での派遣就業にあたり、事前にRさんに案内している、H社より派遣スタッフ全員に配布するように依頼された情報セキュリティに関する資料に書かれた事項

昨今、「情報セキュリティ」や「個人情報保護」は本来法で求められている範囲を超えて、過剰にあれこれと決まりごとが存在しています。

派遣スタッフに限らず、本来は企業側がなんらかの仕組みを持って予防すべき事柄が、一方的に従業員の責任とされてしまう例も見かけます。

※例えば一方的に入館証を貸与し、肌身離さず所持していることを求めながら、紛失した際には一方的に派遣スタッフの責任になってしまう、というようなこと

今回も派遣先企業側の「言ったもん勝ち」を防ぐため、何が許されていて許されていないのか、ある程度の根拠資料の準備が必要です。

スタッフへの対応のポイント

今のところ、H社課長の言い分が何もわからないため、いたずらにスタッフさんに事情を話しても不安にさせるだけです。

ただ、スタッフさんとの人間関係ができている場合には、課長との商談の前に少しでも情報はあった方が対策を立てやすく、別件のついでを装って、「何か気になることはありませんか?」くらいの探りは入れてみても良いかもしれません。

経験上、「聞かれなったので黙っていたけど、聞かれれば答えようと思っていた」ということはよくあって、お客様との交渉に失敗し、後から情報量不足を嘆くよりは、事前に確認できる限りをしておいた方が後悔もありません。

対応経緯

Rさんに連絡

対応のポイントの通り、事前にRさんに心当たりがないか確認すべく、別件を装って様子を探ります。

「新しく着任された課長に私の顔と名前を覚えてもらおうと思って、ご挨拶でお伺いする事になったのだけど、何か最近変わったことはありますか?」

私の質問にRさんは「特に何もないですよ」と答えます。

話ぶりや声色から本当に何もないのだろうと感じられたので、電話を終え、特に与件はないままに、課長との商談を迎える事になりました。

課長との商談

「頂いたメールの件でお会いしたい」と連絡を取り、当日中にお会いする事になりました。

前回初めてお会いした時は、前任のベテラン課長が前面にでて話をしていたので、正直印象が薄く、ロビーで待ち合わせをした時も気がつかないくらいでした。

会議室に案内されるまでの様子として「浮き足立った印象」で、Rさんが起こしたというセキュリティ事故が大ごとになっているのかなと懸念を持ちました。

席に着くなり、課長は次のような事を足早に話し始めます。

  • Rさんは重大なセキュリティ事故を起こし、社内で問題になっている
  • 具体的には顧客情報をまとめたExcelファイルの持ち出し
  • 共有フォルダからExcelファイルをRさんの使用するPCにコピーしたログが残っている
  • なんらかの方法で社外に持ち出したようだ
  • そういった重大なセキュリティ事故を起こした派遣スタッフを雇用主である御社はどう処罰するのか聞かせてほしい

矢継ぎ早に話され、話についていくのに精一杯でしたが、私なりにいくつか疑問に思うことがありました。

  • H社は大企業で、派遣スタッフの人数も非常に多いことから、総務部で人材派遣の取りまとめをしている。派遣スタッフがセキュリティに関するインシデント(人為的な事故)があった場合、必ず総務部に共有される仕組みになっており、インシデント発生時には総務部と現場担当者から私への連絡が同時に来るほど。今回は総務部からの連絡がなく不自然
  • Rさんがメールの誤送信をしたというようなインシデントならわかるが、Rさんが顧客情報をまとめたExcelファイルを入手したところでなんのメリットがあるのか?

2つの疑問を課長にぶつけてみると次のような返答がありました。

  • 総務部にはまだ連絡をしていない。Rさんの件が表沙汰になれば、御社は当社との取引停止など、相当な処分を受けると思う。そうならないための気遣いだと思ってほしい
  • 私と御社の間だけでRさんの対応をする事で、会社間は穏便に事を済ませることができると思っている。そういった前提で御社は重大なセキュリティ事故を起こしたRさんに対する処罰をどう考えているのかを問うている
  • Rさんが顧客情報のExcelファイルを何に使おうとしているかはこちらが聞きたいくらいで、今後御社が本人に確認する事だ

課長がH社と当社の取引を心配してくださるのは大変ありがたいのですが、セキュリティインシデントの重大性によりH社との取引が危うくなる懸念はありつつも、この件を現場の課長と内々で処理し、あとからそれが白日の下に晒されたとしたら、人材派遣の取りまとめをしている総務部をないがしろにしたという事であり、インシデントと合わせて、いよいよ取引の継続が危うくなります。

また、課長のいうことは、すべてRさんが顧客情報を社外に持ち出しているという前提で話されており、それが事実かどうかを第三者的に検証してもらう意味でも総務部の存在は必要になります。

私は課長に次の提案をしました。

  • ご配慮はありがたいが、当社が不利になったとしても、本件は御社と当社の取り決め通り、総務部に話を通したい
  • Rさんが顧客情報の社外持ち出しをしたとの疑いがかかっているわけだが、本人の言い分を確認したい
  • 課長をはじめとした現場関係者、総務部、Rさん本人と私どもという四者で問題解決を図りたい

すると課長は憤った様子で、

「そういうことではなくて、今回の件を受けて、御社がRさんに対してどういった処罰をするのかを聞きたいんだ!」

と言います。

ますます混乱する私なのですが、長くなりましたので続きは続編とさせて頂きます。

続編②続編③続編④はこちら

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