【続編③】【クレーム・トラブル対応テクニック】スタート早々に派遣スタッフが辞めたいといってきた場合の対応③

【続編③】【クレーム・トラブル対応テクニック】スタート早々に派遣スタッフが辞めたいといってきた場合の対応③

【クレーム・トラブル対応テクニック】スタート早々に派遣スタッフが辞めたいといってきた場合の対応①と、その続編②でご紹介したB社で3日前に就業スタートし、早々に辞めたいと言ってきたAさんの事例ですが、スタッフ・クライアントへの対応テクニックを使って実際に対応した結果をご紹介します。

前回の振り返り

経緯

  • AさんはB社で3日前に就業スタートした
  • 初回の派遣契約(派遣先との商契約)、雇用契約ともに1ヶ月間(31日間)
  • 3日目の金曜日の夜にAさんから「仕事が向かないので今日で辞めたい。来週からは出勤したくない」という電話があった

想定されるクレーム・トラブルは?

●派遣先(お客様)

  1. コスト負担に関するクレーム・トラブル
  2. 取引停止のリスク
  3. 代替人員の要請

●派遣スタッフ

  1. 雇用契約を盾に、相手の事情や心情を考えずに無理な引き止めをしたときに、居直られたり、翌日から連絡なく突然出勤しなくなるリスク

対応経緯

週末のうちにやっておくこと

金曜の夜のうちにAさんとの調整を終えて、いよいよクライアントへの対応です。

今回、Aさんから金曜の夜に連絡があり、色々話した後には22時頃になっていたので、すでに派遣先担当者は会社におらず、週明けAさんが出社しないという状況の中でAさんが辞めると言っていることを伝えなければならない難易度の高い状況です。

そこで次のように対応しました。

  • 日曜の夜にAさんに変わり、体調不良で休むというメールを入れておく
  • 文面には「日曜の夜にAさんから電話があり、体調が悪いので、月曜は休みたいとの連絡があった」こと、「電話で話していると少し様子がおかしく、何か仕事で悩んでいる可能性があるので翌火曜日に出社した際にフォロー面談をさせて頂く」ことを記載しておく

これにより月曜一日は時間が稼げるとともに、「週末までスタッフと連絡を取り合う仕事熱心な営業マン」「Aさんの休み明けにはフォロー面談を行い、今後のリテンション(定着)にも気配りを欠かさない営業マン」、お客様は私にそんな印象を抱くはずです。

派遣業界に限らず、週末にメール一本送る手間を惜しむ営業マンは多いですが、だからこそ他の営業マンがやらない一手間に意味が発生するのです。

送られてきたメールの送信履歴が週末や深夜になっていると、お客様は「自分というお客のために、この営業マンは週末や深夜の寝る時間まで犠牲にして頑張ってくれている」と錯覚します。

実際にメールの文章を作るのは平日日中で、送信するのを週末や深夜にしたっていいのです。ちょっとした手間で相手の印象は変わり、こちらに好意的な対応をしてくれるようになります。

週明けの対応

朝、派遣先の始業少し後に電話をします。

派遣先担当者はすでにメールを読んでいてくれたようで、送っておいたメールの内容を反復するように話し、欠勤となったお詫びと、明日Aさんが出勤した際にはフォロー面談をすることを伝えます。

担当者は納得してくれ、これで月曜日一日時間が稼げました。

しかし、明日以降はどうしましょう。今日中にやっておかなければいけないことがいくつもあります。

夕方を狙ってお客様に再度連絡し、次のように話しました。

  • Aさんから連絡があり、電話で色々と話をした
  • 体調は悪いようだが、どうやら仕事面に悩みが強いようだ
  • 今回の業務内容は資料作成がメインだが、業界知識や専門用語の理解は必要。いくらネットで調べればわかるとは言っても、事前のレクチャーなしにはなかなか難しいよう
  • 知識不足を補うべく、社員様におうかがいしようとするも、皆さまお忙しすぎていらっしゃらず、声をかけるタイミングもないようだ
  • 同じ職場の他の派遣会社の派遣スタッフに聞いてみるも、皆さんわからないながらやっているというレベルのようで、聞いても答えが返ってこない
  • 他の派遣スタッフがやれているのに、なぜAさんはできないか?という話になるが、そこは性格の問題で、わからないながらもなんとなく資料を仕上げる要領の良い人もいれば、Aさんのように真面目でキチンと理解した上で仕事に取り組むという人もいる
  • つまり、Aさんは御社のこの職場の仕事の進め方や、社員がほとんど席におらず相談ができないという職場環境にミスマッチなようだ

ここまでで私が先方に伝えたかったのは次のようなポイントです。

  1. Aさんは辞めそうだ
  2. 理由は御社の仕事の進め方や職場環境が合わないから
  3. つまり、辞めたいというのはAさんのわがままではなく、スタートして初めてわかったミスマッチの問題

派遣会社営業マンからすると派遣先の仕事の進め方や職場環境を責めるのは難しいと考えるかもしれませんが、話の根っこは「マッチング」です。

つまり、「御社の仕事の進め方や職場環境が悪いわけではないが、向き不向きがあるようで、Aさんにはミスマッチなことが就業スタートして初めてわかった」というアプローチであれば、先方も気を悪くはしないはずです。

担当者は私の話に理解を示してくれました。どうやら仕事の進め方や職場環境については心当たりがあるようです。

担当者から「どうしたらいいですか?」と問われたので次のようにお答えしました。

  • 明日火曜日もお休みをさせて頂き、私がAさんの自宅近くまで行って面談をし、対面で顔色を見ながら話を聞いてみたい
  • このまま彼女を復職させてもモチベーションも低いだろうし、なんのアウトプットもできないと思う
  • 御社の仕事の進め方や職場環境をAさんのために変えてもらうのもおかしな話なので、Aさんに今のかんきを受け入れられるか判断してもらい、難しいということであれば、早々に自ら「辞めたい」というように話しをもっていく

論点を「マッチング」に絞ったことで、「Aさんが今の環境を受け入れるか、受け入れないかこちらで確認する」と、主導権を取ることができ、また仮に「受け入れられない」となったときに、今の環境を受け入れられないAさんが納得感のないまま、契約期間満了までB社で働くという懸念が残りますが、すでにAさんからは「辞めたい」との話を受けていますから、担当者に「Aさんが自ら辞めたいというように私が話をもっていく」と私がなんとかしますというように宣言することで、恩まで感じてもらうことができるのです。

懸念していたクレーム・トラブルの振り返り

今回の経緯で懸念する派遣先からのクレーム・トラブルはなんだったでしょうか。

  1. コスト負担に関するクレーム・トラブル
  2. 取引停止のリスク
  3. 代替人員の要請

Aさんがスタート数日で辞めたいという理由について、論点を「マッチング」に絞り、派遣先の仕事の進め方や職場環境について遠回しに問題点を指摘したことで、「すぐ辞めるAさんも良くないが、当社の仕事の進め方や職場環境にも問題があったことだし、お互い様」といった流れになっています。

したがってAさんの数日の勤務分を支払わないという話にはつながらず、「コスト負担に関するクレーム・トラブル」にはならないでしょう。

また、同様の理由で「取引停止のリスク」も避けられそうです。

最後は「代替人員の要請」ですが、当社としても後任を手配することは望むところなのです。

懸念したのはクレームめいて早急に人を手配しなければいけないような状況でした。

これまでの経緯からそういった急かされての人選の必要はなさそうですが、「マッチング」を理由に今回の経緯を乗り切った手前、次回はB社の状況にマッチングするような人材の紹介が必要になります。

ただ、B社のこの職場はAさんには合いませんでしたが、自分のペースで自主的に仕事をしたいという方には向いた職場のようですから、それほど人選に苦労することもなさそうです。

無事、問題解決

今回のAさんのスタート早々の退職希望については、これまでご説明したような対応で無事に大きなクレーム・トラブルにもならず解決することができました。

私のホンネ

人によっては私に「嘘ばっかりついているひどい奴だ」と憤りを感じるかもしれません。

ただ、派遣先と派遣スタッフの間に立って、両者が納得して頂けるように、また当社の利益もある程度守りつつとなると、全てを真正直に伝えることは難しいのです。

三者が極端に不利にならずに皆が納得できる落とし所を探る・・・私の中ではそれが派遣会社営業マンの役割の1つだと考えています。

「嘘も方便」と言いますが、人を傷つけるような嘘だけはつかないよう肝に命じて日々仕事に取り組んでいるのです。

前編①前編②はこちら

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