【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】誰彼かまわず口喧嘩をしてしまう派遣社員Sさんのクレーム対応

【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】誰彼かまわず口喧嘩をしてしまう派遣社員Sさんのクレーム対応

私の担当派遣社員として派遣先のE社のコールセンターに勤務してくれている50代男性のSさんですが、お客様と口論になった上に、代わりに対応してくれたSVにも噛み付く始末で、派遣会社から指導をしてほしいという派遣先からのクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

クレーム経緯

●派遣社員SさんはE社のコールセンタースタッフとして1年前から就業を開始した

●そのコールセンターは通信サービスの加入に関する一般消費者からの問い合わせ先で、そのサービス内容が分かりづらいこともあり、クレームが多い

●センター規模は100名規模。シフト組の関係もあり、実際の就業人数は300人規模、社員は10名程度しかおらず、派遣社員がSVや、さらに上位のチーフSVなどの役職を担っている

●本日午前にお客様からの入電を対応していたところ、電話が終わった後に、改めてお客様から連絡があり、「Sさんの対応が悪い、罵詈雑言浴びせられた」というお客様からクレームがあった。

●お怒りお客様の対応をしたSVが、派遣社員Sさんに指導をするも聞く耳を持たず反論を繰り返すばかりで話にならない、派遣会社から指導をしてほしい

対応のポイント

派遣社員への対応ポイント

一般消費者向けのコールセンターはクレームが多くストレスの多い職場です。

クレーマーと言われるようなクレームをつけること自体を目的にしたような人もおり、ちょっとした言葉の選び違いが、思わぬクレームにつながることも多いのです。

また、そう言ったストレスフルな環境から、働く側もイライラしがちで、売り言葉に買い言葉での社内のトラブルも頻繁に起こります。

特にE社のコールセンターは上司部下が同じ派遣社員同士ということもあり、人によっては指揮命令に納得感を感じないこともあるからです。

Sさんの初期対応においては次のようなポイントを踏まえた対応が必要です。

  • 派遣先からのクレームは受け止めなければいけないものの、Sさんなりの言い分もある可能性はあり、まずはSさんから経緯や考えを聞く
  • 応対記録は録音をされており、トラブルがあった場合は必ず応対内容が確認される。本人へのヒアリングするにあたっては、曖昧で都合の良い記憶に頼った見解を安易に受け止めず、お客様との応対については応対記録が残っていることから「言った言わない」は通用しない事の釘を刺した上で自身の見解を述べるように促す
  • SVの指導を受け入れない理由についても、まずはSさんの言い分をヒアリングするところからスタートする

対応経緯

派遣先担当者との打ち合わせ

E社に到着し、派遣先担当者にSさんの居場所を聞くと、SVと口論になり、現場においておくことができないので、会議室に待機してもらっているとのことです。

派遣先担当者からトラブルの概略は聞いているものの、Sさんと面談をするにあたっては情報不足の感もあり、まずは派遣先担当者から詳しい事情を聞くことにしました。

担当者は事前にお客様との録音された応対内容を確認しており、問題のある応対部分を書き起こしてあり、Sさんと話す際の資料として提供をしてくれました。

●お客様との応対について

  • E社の通信サービスに加入されたお客様からの入電であり、店頭で聞いていた料金と、請求された料金が違うという問い合わせであった
  • 語調が荒く、挑発的な語りかけをしてくるお客様であり、こちらが逆上するような誘い文句を言っている節も感じる内容であった
  • Sさんは最後まで我慢をして応対をしていたようだが、電話の終わりぎわに「ふざけんなよ、こいつ」と呟いた一言がお客様に聞こえ、しかしSさんは受話器を置く間際であったため、お客様からすると、反論をする間もなく電話を切られたという理解となった
  • 腹を立てたお客様が、再度Sさん宛に抗議の入電があり、お客様とSさんで「ふざけんなよ、こいつ」と言った言わないで口論となった
  • 途中でSVが電話を代わり、お詫びを重ねてご納得頂き電話を終えた
  • 録音からはSさんが「ふざけんなよ、こいつ」と言ったかどうかは聞き取れなかったが、確かに電話を終わりぎわに何かをつぶやいていることは確認できた

●SVとのやりとりについて

  • SVからSさんに対し、お客様との通話の終わりぎわに「ふざけんなよ、こいつ」と言った発言をしたかどうかを確認したが、「そんなことは言っていない」との返答。SVが、「ではどうしてお客様からそう言った指摘があったのか?」と質問されると、「信用してくれないなら答える意味がない」と全く質問に答えなくなった
  • 最初の電話の終わりぎわの一言に逆上したお客様が、再度Sさん宛に電話をしてきた際には「言った言わない」で明らかに口論になり、お客様に対して使う言葉としては乱暴な言葉を使っていたことに対し、SVが「そう言った物言いは反省するように」と指導をしたが、「自分を信頼してくれない、しかも同じ派遣の上司の言うことは聞けない」と全く取り合わなかった
  • SさんはSVの働きかけを無視してそのまま業務に戻ろうとしたため、一旦席を外させ派遣会社に連絡をすることになった

詳しく話を聞くと、お客様対応上のトラブルについては同情できるところもありつつ、SVへの反抗的な振る舞いは職場の秩序を著しく悪化させるものでいただけません。

ただ現状、Sさんが一方的に悪者になってしまってるところもあり、最後の味方であるべき派遣会社営業担当の私ができるだけのフォローをしたいとも思います。

Sさんとの面談

Sさんは50代の男性で私よりもずいぶん年上です。

Sさんが指示を聞かなくなったSVは30代後半の男性で、仕事の実力がどうあれ、Sさんからみると「若造に偉そうに言われたくない」と言う気持ちがあったのかもしれません。

私もSVと同じように頭ごなしに対応しては同じことの繰り返しになるだけです。

そこで少しアプローチを変えることにしました。

「Sさん、コールセンターって大変ですね。」

「派遣先から今回のお客さんとの応対内容を教えてもらったんですが、ずいぶん感じの悪い奴じゃないですか。まるでこちらが失言をするのを誘っているみたいじゃないですか。よく我慢しましたね。僕にはできないなぁ」

するとSさんは我が意を得たりと話し始めます。

  • この仕事を始めて1年になるが、今日のお客さんには本当に頭が来た
  • おそらく色々なコールセンターに電話をしてはクレームをつけている暇を持て余したクレーマーだろう
  • いままで長く営業職をしていて、初めてコールセンターの仕事に就いたが、なかなか大変な仕事だ

話の入り口を少し工夫しただけでずいぶん話す姿勢になってくれているようです。

続けて私が話を差し込みます。

「今日のお客さんほどじゃなくても、毎日のようにクレームを受けているんじゃ、ストレスたまりますよね。Sさんだけじゃなくて、みんなイライラしているだろうから、ちょっとした行き違いで揉め事になっちゃいますよね」

またまた「わかってくれるか」とばかりにSさんは話し始めます。

  • その通りで皆イライラしてるから、どうしても売り言葉に買い言葉になってしまう
  • あのSVは若いのにいつも一生懸命やっていて感心していた
  • 反抗的な態度をとって悪いことをした

「そうですか、Sさんが認めるんですから、なかなか良いSVなんでしょうね。色々あって行き違いになってしまいましたが、私が間に立ちましょうか?」

そう私がいうと、Sさんは話を続けます。

  • SVにはちゃんと詫びを入れたいと思う
  • お客さんからは電話の終わりぎわに俺が「ふざけんなよ、こいつ」と言ったと文句をつけてきたが、そんなことは言っていない
  • してもいないことを「お客様」という立場をかさにきて、言いたい放題言ってくる卑怯な奴が許せなくて口論になってしまった
  • 前から感じていたが、やはいこの仕事は自分には合わないようだ
  • どうも営業時代の「義理と人情」みたいな世界から抜けられていなくて、これまでの人間関係なく、突然電話にでて一方的に文句を言われるというスタイルに馴染めない

どうやらSさんは前々からこの仕事に馴染めないと思っていて、しかしやめる踏ん切りもつかなくて、今日のお客様の腹に据えかねるやりとりと、その後のSVからの詰問に対して、その気持ちが口論や反論という形で表面化してしまったようです。

こうなると間に立つ私としては、Sさんが今後の就業をどのように考えるかによって対応が大きく変わってきます。

私はSさんに次のように質問をしました。

  • Sさんのお気持ち通り、SVに「悪いことをした」というお気持ちがあるのであれば、お詫びができるよう機会を設けてもらう働きかけをする
  • 問題は今後Sさんがこのセンターで仕事を続けたいと思われるのかどうか
  • いまSさんは「お客様と口論をした上、SVの指示も聞かずに仕事につかせることもままならないSさん」という派遣先の判断の元、会議室に対しさせられ、派遣会社からの指導を受けているという状況
  • いわば非常事態であって、今後このセンターで仕事を続けようか辞めようかと悠長に考えられる状況にない
  • つまりこの時点で「続けたい」ということであれば、SVだけでなく派遣先に対して私とともに反省の意を表現していかなければならない
  • 「辞めたい」ということであれば、私が間に立って派遣先と退職のタイミングを探らなければいけない
  • 究極の選択の判断を短時間で突きつけて申し訳ないが、人生の先輩であるSさんであれば私の立場もわかってくれるものと思う
  • Sさんとしてはどのようにされたいか?

Sさんが自ら蒔いた種とは言え、短時間で辞める辞めないを判断しなければいけない状況になってしまいました。

が、Sさんは私がくる間にも色々と考えを巡らせていたようで、数分悩んだ上でこういいました。

「辞める、今日で辞める。コールセンターでお客さんと喧嘩した挙句に、上司とも喧嘩して、そのあとも仕事を続けられるなんて思っちゃいない。ただ、SVにはお詫びする機会を作って欲しい」

私のホンネ

私の反省は、今回の件の前にもっとSさんと話す機会を設ければよかったというものでした。

年上の寡黙な男性ということで、なかなか会話の糸口がなく、仕事に対する不満を拾い上げることができていませんでした。

もう少し早く退職の意思に気がついていれば、こんなトラブルに発展させることなく、Sさんのお金のこともありますから、もっと計画的に退職までスケジュール立てをすることもできたかもしれません。

この一件に限りませんが、トラブってから、その人の人となりを知るということは意外と多くて、その度に反省させられます。

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