【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】上司という立場を利用して部下の女性派遣社員と個人的な関係を迫る派遣社員Tさんのクレーム対応

【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】上司という立場を利用して部下の女性派遣社員と個人的な関係を迫る派遣社員Tさんのクレーム対応

私の担当派遣社員として派遣先のN社のコールセンターに勤務してくれている40代男性のTさんですが、女性派遣社員から「Tさんがしつこく食事に誘ってきて困る」という苦情があがっており、対応をしてほしいという派遣先からのクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

クレーム経緯

●派遣社員TさんはN社のコールセンターでSVとして1年前から就業を開始した

●派遣社員Tさんの部下の女性派遣社員2名から、「Tさんがしつこく食事に誘ってくるので困る」「セクハラまがいの言動があり、やめさせてほしい」との苦情があった

●派遣社員TさんはSVとしては非常に優秀で欠かせない存在だが、SVとしてハラスメントは致命傷、派遣会社から指導をして欲しい

対応のポイント

派遣社員への対応ポイント

部下である女性派遣社員からセクハラめいた言動を指摘されたTさんなのですが、昨今ではマネジメント上の指導を逆恨みされ、ハラスメントの濡れ衣を着せられるケースも多いのです。

特に上司部下が派遣社員同士であったりする場合、上司にパワハラの濡れ衣を着せ、辞めさせようとたくらむ派遣社員Kさんのクレーム対応の記事でもお伝えしたような、感情的な行き違いを発端に大きなトラブルになるケースも見受けられます。

派遣先において、最後に派遣社員の味方になれるのは派遣会社営業担当しかいませんから、まずはTさんの言い分を確認をする必要があります。

相手によって順番を変えることはありつつも、基本的な手順は次のようになります。

  1. 気遣いを心がけつつ、派遣先からの指摘を伝える
  2. 指摘の内容が正しいか否かの確認をする
  3. 指摘が誤っている場合には実際はどんな様子であったのか?また、濡れ衣を着せられるような心当たりのある出来事を確認する
  4. 確認した話をもとに再度派遣先と話し合い、何が事実なのかを突き詰めていく

対応経緯

派遣社員Tさんとの面談

派遣先からの指摘に対しての事実確認をするため、まずはTさんと面談をすることにしました。

就業先の会議室をお借りし、Tさんを呼び出しましたが、コールセンターということもあり、普段は就業時間後に面談を行っており、就業中に呼び出すようなことは初めてだったので、Tさんの表情はいぶかしげです。

アイスブレイクで少し世間話などをしつつ、本題を切り出しました。

  • 派遣先より、Tさんが部下の女性派遣社員に対して、頻繁な食事の誘いや、相手の女性が不快に思うような言動をしているとの指摘を受けている
  • このことに心当たりはあるか?最近は部下が上司からの指導を不服に感じて、ありもしないハラスメント被害を訴えたりする事例もある
  • SVとしてのマネジメント能力はとても高い評価を受けており、私としては、この問題を解決して引き続き頑張って頂きたいと思っている

私からの話に対し、Tさんは「あぁ、そのことか」といった程度の反応で、次のように答えました。

  • 私のチームに2人若い女性がいるが、2人とも可愛くて、お付き合いしたいなと思ってアプローチしていた
  • 2人が不快に思っていたのであれば、申し訳ない。好かれようと思っていたのに、嫌われてしまったなら本末転倒だった
  • 今後はそのようなことがないように気をつける

???

あまりにあっけらかんと答えられてしまい、あっけにとられてしまいました。

Tさんは独身ですので、恋愛は自由です。どうこう言うつもりもありませんが、40代の男性で、見た目もしっかりオジサンです。

お相手の女性2人は20代前半で・・・

しかも、2人同時にアプローチするんですね・・・

何とか気をとりなおし、女性派遣社員2名に対し、どのようなアプローチをしたのかを聞いてみました。

  • 女性派遣社員2名は両名とも入社して数か月。自分のチームに配属になって数日後に「体調不良で当日に遅刻や欠勤をするときのために連絡網をつくろう」と発案して、2人のLINEを聞いた
  • LINEでグループを作り、勤怠報告用にも使っているが、たまに個別にメッセージを送って、仕事の相談にのったり、お客様対応で落ち込む様子があった時に励ましたりしていた
  • そういった「相談にのる」ということの一環で、「今度、食事に行ってじっくり話を聞くよ」とか「落ち込んだ時に相談できる人はいないの?もしいなければ自分がいつでも相談にのるよ」といったメッセージを送った
  • おそらく、そのようなメッセージで2人に不快な思いをさせてしまったのかもしれない

Tさんの話が本当であれば、業務上の必要性から半ば強制的にLINEのIDを聞き出し、そのLINEに業務に関係するように装って、食事に誘ったり、個人的な関係を持とうとしたということになります。

Tさんは「LINEのIDを聞き出すテクニックなんですよ、すごいでしょう」とまったく悪びれる様子がありません。

私は少し事態を軽く見ていたようです。

Tさんのやり方はとても卑怯で悪質だと思いますし、女性派遣社員のお二人の手元にはTさんとのLINEの履歴が残っているということです。

動かぬ証拠、いつセクハラだと訴えられてもおかしくない状況です。

そこで、これまでよりも語調を強めてTさんに次のように話しました。

  • 恋愛は自由だが、相手の好意や合意があってのこと
  • 今回、女性派遣社員のお二人からTさんの言動に対して苦情があがっていることを考えると、好意や合意が前提の恋愛関係といったものを期待できる状況ではない
  • ということは、女性派遣社員のお二人は、「Tさんが上司部下の関係を前提に、業務に紐づけてLINEのIDなどプライベートな情報を聞き出し、業務に絡めて食事に誘うというような個人的な関係を求めてきた」と受け止めているのだと思う
  • 彼女たちのLINEにTさんとのやり取りが記録として残っている以上、いつ「セクハラを受けた」といった訴え出られてもおかしくない
  • そうなれば派遣先も当社も相応の対応をしなければいけなくなる
  • 今後、社内外含めて、女性派遣社員のお二人に同様の行為をしないと約束してほしい
  • 派遣先には確認をするが、LINEを使っての勤怠報告は廃止してほしい
  • 派遣先経由で女性派遣社員のお二人に確認するが、彼女たちが望むようであれば、お二人のLINEのIDをTさんのスマートフォンから削除してほしい
  • 色々お考えはあるかもしれないが、今後N社で就業を継続するためにも、彼女たちとの個人的なかかわりはなくすのが最善と思う

Tさんは「わかりました。おっしゃるとおりにします」と話し、改善を約束してくれました。

派遣先との打ち合わせ

派遣先担当者にも改めて時間をもらい、Tさんとの面談内容を報告しました。

Tさんには今後女性派遣社員のお二人への個人的なアプローチはやめるように指導をしたこと、また聞き出したLINEのIDについては彼女たちの希望次第で削除することを約束させたと伝えます。

担当者としては、一度こじれてしまった人間関係を修復するのはなかなか難しいし、派遣社員同士での上司部下の関係という、バランスのとりづらい関係でもあり、近いうちに女性派遣社員はそれぞれ別のチームに異動をさせようと思っているということでした。

また、LINEのIDについては彼女たちに聞いてみるということで打ち合わせを終えたのでした。

その後の出来事

Tさんと面談をした日から数日後、女性派遣社員のお二人の希望があり、私が立ち会ってTさんのスマートフォンからLINEのIDを消したことを確認しました。

また、彼女たちはそれぞれ別のチームに配属替えとなり、本件は一旦解決したかと思われたのですが、事態はこれだけではすまなかったのです。

派遣先担当者より、再度の連絡

Tさんのチームから女性派遣社員2名が別チームに異動してから2週間経ったある日、派遣先担当者より連絡がありました。

嫌な予感しかしませんが、当日午後に打ち合わせに訪問したところ、次のような話がありした。

  • この前の騒動の女性派遣社員のうちの1人であるDさんより、「Tさんからストーカー被害を受けている」との相談があった
  • 具体時には次の通り
  1. 会社帰りにロッカー室の出口付近やエレベーターホールでTさんが待っている
  2. 上手くまいたつもりで電車に乗ると少し離れたところからこちらを見ている
  3. Tさんの家とは全く路線が違いのでつけてきたとしか思えない
  4. 今のところ、自宅まではつけられていないが、どんどんエスカレートしていて怖い
  5. 今日は早退して、警察に相談に行きたい
  • 警察への相談は必要だし、本人判断なので、早退を許可し、最寄りの警察署に行かせている
  • 前回の経緯もあり、Dさんの言い分は信憑性が高く、また同じ電車に乗っているTさんの写真を撮ったりといった物証もあるようだ
  • まずはTさんに事情を確認してほしいが、当社としてはDさんの安否にも関わる状況なので、Tさんにはもう出社して欲しくない
  • Tさんとの契約面は別途相談だが、御社の派遣社員がこういった事態を引き起こしている以上、派遣会社(雇用主)として、然るべき対応をしてほしい

事態はかなり深刻なようです。

このあとTさんと面談をするわけですが、派遣先担当者には30分ほど間をもらって、上司とも相談の上、対策を練ることにしましました。

Tさんへの対応策

上司や法務部とも相談の上、このあとのTさんへの対応は次のような考えで行おうということになりました。

  • 何より女性派遣社員Dさんの安全優先
  • Tさんと面談し事情は確認するものの、本日でN社への派遣就業は停止し、現契約満了まで当社オフィスで就業してもらう
  • Tさんはさんへの嫌疑が白黒どちらでも同様の対応となるが、本人への伝え方は次の通り
  1. 疑いを事実と認めた場合は、女性派遣社員Dさんの安全確保のため、同じ職場では働かせられない。よって明日以降は当社に出勤頂き、今後の対応を相談する
  2. 疑いが事実でない場合、もしくは判断できない場合も、ストーカーの嫌疑をかけられたままN社で就業を継続することは現実的でなく、嫌疑が晴れるまで当社で就業

この手のトラブル解決では、営業担当が独自判断で対応を行ったあとに、倫理的な見地、法律的な見地、派遣先との営業的な見地など、様々な視点から振り返ったときに、その判断は間違っていたと社内各所から責められるケースも多いのです。

対応に時間の余裕がなかったり、相手に急かされたりと、なかなか難しくはありますが、一度合間を置き、社内関係者と同意を取っておくことが必要です。

今回の件では何よりDさんの安全を最優先し、Tさんが何を言おうがN社への出社はやめさせるという対応となりました。

派遣社員Tさんとの面談

社内のオーソライズを経て、いよいよTさんと面談をします。

会議室に来たTさんは、この前会った時よりも心なしか少しやつれて、表情も暗いように見受けられます。

さて、どこからどう話しましましょうか?

「ストーカーしてますか?警察に相談されているからやめた方がいいですよ」なんて言えるはずがありません。

本来は当事者同士の問題ですから、私がストーカーの疑いを口にして、Tさんから「名誉毀損だ」と切り返されることも十分に想定できるのです。

そこで少し搦め手でアプローチすることにします。

「先日の件からしばらく経ちましたが、何か変わりはありませんか?なにか私に話しておかなければいけない事はありませんか?」

この聞き方は若い派遣会社営業担当では少し無理があるかもしれません。

私は40代のベテラン、Tさんも40代ですから、「お互いいい年の大人なんだし、こっちがなにを聞きたいかわかるでしょ?」と、言外に尋ねているわけです。

私からの問いかけにTさんは答えます。

「Dさんの件ですよね・・・?わかります。ご本人から何がありました?」

ご本人から派遣先に訴えがあったこと、この状況を然るべき公的機関に相談に行っていることをお伝えしました。

「そうですか・・・諦めきれなくて・・・私もうここにいられませんよね?」

明日からは当社に出社して、契約期間の満了まで何かしらの業務をやってもらおうと思っていることを伝えます。

「わかりました。今日でN社も御社も辞めます。ご迷惑をおかけしました」

辞意は受け止めつつ、Tさんが女性派遣社員Dさんに行った行為を確認します。

ご本人は次の行為をあげ、派遣先の話とも合致するため納得しました。

  • ロッカー室の出口付近や、エレベーターホールでDさんを待ち伏せるといった行為
  • Dさんの帰路をつけて行き、自宅を知ろうとした行為

自宅を把握しようとしていたわけで、このまま放置していたら、本当に深刻な事態になっていたかもしれません。

派遣先担当者にも事情を話し、本日付で退職をさせてもらうこととなりました。

こうなると、N社を辞めたTさんとDさんは個人同士の関係ということになり、後追いも出来ず懸念が残りますが、後日談として派遣先担当者から聞いたところ、警察からTさんに注意の呼び出しがあり、こっぴどく叱られ、それからはDさんへのストーカー行為はなくなったということでした。

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