【スタッフフォローテクニック】派遣社員の業務習熟度を確認し、派遣先と共有する

【スタッフフォローテクニック】派遣社員の業務習熟度を確認し、派遣先と共有する

派遣会社の営業担当の役割は派遣会社によって異なります。

  1. 派遣先への営業活動のみを業務とするパターン
  2. 派遣先への営業活動と就業中の派遣スタッフのフォローも兼任するパターン

私の勤める派遣会社はその間をとったようなスタイルで、一部派遣先は営業活動と派遣スタッフフォロー兼任、一部派遣先は営業活動のみで、派遣スタッフフォローは専任のフォロワーに任せています。

いずれにしても派遣社員が評価高く就業してくれていての派遣先との取引ですから、派遣社員が気持ちよく仕事ができているか?困っていることはないか?を確認し、何かあれば問題解決をしていく「スタッフフォロー活動」は派遣会社営業担当の重要な役割の1つなのです。

そこで今回は派遣社員へのスタッフフォロー活動のうち、派遣社員の「業務習熟度」の確認の意味合いとその手法についてお話ししていきます。

業務習熟度の確認とは?

人材派遣は「○○という業務をしてもらうために、○○というスキル・経験を持った人を派遣してほしい」という派遣先(お客様)と、「○○というスキル・経験を活かして、○○の条件で働きたい」という派遣社員を、派遣会社が結びつける、いわば「労働力の仲介業」です。

つまり、派遣先の「してほしいこと」と派遣社員の業務形経験と業務スキルからの「できること」のマッチングが派遣会社に力の見せ所というわけですね。

ただ、どれだけマッチング精度が高くても、就業を開始してしばらくは業務の手順や職場のルールなどを教わる育成期間が必要です。

派遣先にとってこの期間は「一人前になってもらうための投資」なわけで、高いアウトプットは望めません。

派遣先は早く育成期間から抜け出し、本来求めるアウトプットが出せるようになってほしいと思うはずです。

そこで重要になってくるのが、どの時点で一人称の業務を行えるようになるか、つまり業務習熟のスピードです。

私は次の2つの観点から、就業開始から日の浅い派遣社員については頻繁に業務習熟度を確認し、派遣先とも共有しています。

  1. 派遣社員にとって業務習熟が進んでいるということは、業務内容や職場環境にマッチしているという証であることが多く、今後も安定して就業が継続するかどうかの見極めになる
  2. 派遣先にとっても、業務習熟の度合いによって今後の安定就業が見極められたり、習熟度合いが足りない場合はどのように対策をしようかというきっかけになったり、段階的に業務を増やしていこうとする場合のタイミングの目安になる

では、日頃派遣社員と一緒に仕事をしているわけでもない派遣会社の営業担当がどのように派遣社員の業務習熟度を確認するのでしょうか?

業務習熟度の確認の仕方

派遣会社の営業担当が派遣社員と接点を持つのは、せいぜい数ヶ月に一度の面談か、就業後の電話など限られています。

そんな関わりの薄い中で業務習熟度を確認しようとする場合、質問の仕方がポイントになってきます。

「あなたの担当している業務が派遣先の業務の流れの中でどの部分にあたるのか教えてください」

「あなたの担当している業務は所属の担当部署(課長配下くらいの組織単位)の中でどんな役割なのか教えてください」

この質問のポイントは次のようなものになります。

  • 派遣社員が会社→部→課という組織の中で自分の役割がどんな意味を持つのか、全体感を持って理解しているかを確認する
  • その理解が私という外部の人間にわかりやすく説明できるほど深まっているかを確認する

また、これらの質問への回答よって、その派遣社員がどのような考えで仕事に取り組んでいるかが明確にわかります。

「持っている経験やスキルを活かして、与えられた業務を行う」のが人材派遣ですから、仕事への取り組みかたが前向きか前向きでないか、つまり良い悪いを着眼点にしているわけではありません。

その派遣社員の仕事への取り組みかたが判明することで、その派遣社員への私の関わりかたが変わってくるのです。

  • この人は主体的に仕事に取り組むタイプのようだから、本人へのモチベートはもちろん、派遣先とも共有することで、のちのち派遣先の社員化を踏まえた働き方をしてもらえるかもしれない
  • この人は家庭との両立を重視して、いまは与えられた業務を淡々とやっていこうという考えのようだから、派遣先が過度な期待をしたときは少し抑えてもらうような働きかけをしよう

例えばこのようなことです。

派遣会社の営業担当は、その派遣社員が安定して長期就業をしてくれることを望みます。

派遣社員と派遣先担当者の間に入り、お互いのお互いに対する本音を知る立場として、どのようなバランスが最適かということに目を凝らしているのです。

そんな中で業務習熟度を確認し、その確認作業の中で、都度派遣社員の仕事へのスタンスを確認することはとても大事な作業になります。

続いてこの「業務習熟度の確認」の手法を使った実際の事例をご紹介していきます。

最近の事例

「業務習熟度の確認」がそのまま役に立った最近の事例をご紹介します。

背景

  • 派遣社員Bさんは派遣社員Aさんの後任として、1週間の引き継ぎを経てバトンタッチした
  • 業務内容は経理補助、主に出納簿の管理
  • 前任のAさんは主体的に仕事に取り組む方で、派遣先はAさんに任せた業務は任せきりになり、ブラックボックス化している傾向があった
  • 派遣社員Aさんの退職にあたり、派遣先に次のような交渉・調整をした
  1. 人材派遣は派遣先から指揮命令を受けて業務を行うのが前提なので、Aさんの後任選定にあたっては、必ずAさんのように主体的に業務に取り組む人がアサインできるとは限らない
  2. これを機に、社員が業務の詳細を把握し、手順を整備し、「誰でもできる業務」にしてほしい
  3. Aさんだから業務が成立していたが、スタッフが変わることでAさんと同じように業務が成立しなかったり、それが故に早期で退職というような事態になった場合に、その後の業務が立ち行かなくなる懸念がある

後任の派遣社員Bさんがスタート

主体的に仕事に取り組み、社員顔負けに働いてくれたAさんが退職するにあたり懸念をしたのは、派遣先が後任の派遣スタッフにも同じような働きを求めることでした。

派遣業界はクレーム産業、なぜクレームやトラブルが多いのか?対処法は?の記事でもご紹介をした通り、人材派遣という働き方は、基本的に指揮命令に基づいて仕事をする「受け身」な働き方を前提にしています。

それが良いとか悪いとかいう話ではなく、仕組み上そういった働き方なのです。

Aさんは「たまたま」主体的な働き方を好む方であったに過ぎず、派遣先がそれを当たり前として後任の派遣社員が働き続けなければいけないのは酷な話ですし、そもそもそのような働き方を求めるなら、そのポストに社員をあてがえばいいのです。

そんな懸念を払拭するために事前に派遣先への交渉・調整をしたのですが、たまたま後任となったBさんは次のような方でした。

  • 第一印象として貫禄を感じる40代男性
  • 10年程度の経理経験
  • 「細かく指示を頂くより、ある程度任せてもらって、主体的に仕事を進める方が向いている」という意欲的なコメント

派遣先からすると、これまで通り業務を丸投げするのにうってつけというわけです。

派遣社員Bさんが当初のイメージと違うことがわかってきた

Aさんから後任のBさんへの引き継ぎが終わり、1ヶ月半程度経ったところで、フォロー面談を行いました。

前回のフォロー面談はスタートから2週間程度のタイミングで行ったため、まだ業務内容と職場環境に慣れるので精一杯といった様子でした。

2回目の今回の面談では、そろそろ業務習熟の度合いについて確認していきたいと思います。

近況のヒアリングとともに、前述のような質問をします。

「あなたの担当している業務は所属の担当部署(課長配下くらいの組織単位)の中でどんな役割なのか教えてください」

Bさんの回答は次のようなものでした。

  • 前任のAさんから一通り実務をしながら引き継ぎを受けたが、引き継ぎについていくのが精一杯で、何が何やら理解できていなかった
  • 前任のAさんの作ったマニュアルを見ながら、2巡目(2ヶ月目)となる出納簿の締めをしているが、なかなか難しい
  • 前任のAさんは、全部自分で仕事をこなしていたようで、社員が業務を把握しておらず、チェックをしてもらっても形だけになりがちで、間違えていた場合に自分の責任になってしまうのではないかと疑心暗鬼になっている

当初想定した懸念通りの状況になっています。

Bさんのおっしゃることはもっともで、1週間程度の引き継ぎでお金に関わる業務を、自分たちの理解なく丸投げしようとする方が悪いのです。

また、Bさんは当初のイメージと違い、経理としての経験年数は長くても知識経験は深くなく、また、決まったことを着々とこなしていくタイプのようでした。

このまま放置しておくと、Bさんが何かミスをしても誰も気がつくこともなく、また、Bさんとしてもそういった丸投げな職場に嫌気がさして早々に退職してしまいかねません。

派遣先に釘をさす

すぐに派遣先に時間をもらい、状況の共有と今後の対応について議論することにしました。

  • Bさんとのフォロー面談時に業務習熟度を確認したところ、以下のようなことがわかった
  1. 思ったより業務習熟が進んでいない。それは「いま自分がどんな業務を行い、部署内でどんな役割を果たしているのか?」という私からの質問に対し、要領を得た返答ができないことからも推測できる
  2. Bさんは自分の業務が社員の皆様に理解をされていない、つまり明確に指揮命令をされていないと感じている
  3. このままこの状況が続くと、やりきれなくなったBさんが早期に退職する懸念がある
  4. 業務ノウハウが社員に蓄積されていないのは大きなリスクである
  5. また、面談の中でBさんはわりと受け身で、与えられた仕事を着実にこなしていくタイプだとわかってきた
  6. この点からも社員側で業務を整理し、手順化してもらい、抜け漏れをなくすような仕組みにして頂きたい

Bさんが早期に辞めてしまい、派遣先の業務に穴が空いて困ってしまうことなんて、正直知ったことではありません。

Aさんの後任を人選する前にも「丸投げでなく、キチンと内製化を!」と忠告してきましたし、今回も転ばぬ先の杖とばかりに再び忠告をしてあげています。

つまり、派遣会社として果たすべき役割は十分に果たしているのです。

ただ、できるならせっかくスタートしたBさんに定着してほしいですし、Bさん自身も無駄に職歴を増やしたくないはずです。

このように業務習熟度の確認をきっかけに派遣スタッフの現状や考え、仕事への取り組み方といった情報を得て、課題点があれば、その情報を材料に問題解決を図ることができます。

派遣会社の営業担当は、派遣社員と雇用関係にありながら日常の業務を共にできないことによる情報量の少なさを、着眼点や質問のテクニックにより補っているのです。