【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】スキル不足の派遣社員Bさんのクレーム対応

【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】スキル不足の派遣社員Bさんのクレーム対応

私の担当派遣社員として就業開始した40代男性の派遣社員Bさんですが、就業開始後しばらくしてからスキル不足という事で、派遣先から強いクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

クレーム経緯

●4月よりK社で就業開始

●派遣社員Bさんは話し始めると止められず、こちらが話していても被せて話すようなところがあり、個性が強い印象だったので、「マッチングする派遣先は限られるな」という懸念はあったが、派遣先にご紹介を差し上げると、元気の良い印象を気に入って頂き、就業スタートとなった

●就業開始から2ヶ月、派遣先担当者より「Bさんの仕事ぶりに関して相談がある」との連絡を受けた

●就業開始してから1ヶ月程度は研修が行われ、受け身の仕事内容であったため、積極的な姿勢を頼もしく感じていたが、最近になり、業務を任せ始めると次のような問題点が続出し、とても困っているとのこと

  • OAスキルがとても低い。事前に派遣会社、業務内容確認の時に本人から聞いていたスキルレベルと全く違い、共有フォルダのみんなで使うファイルを、コピーを作らず、自分のパソコンに元ファイルのまま持って来てしまうなど、オフィスワークで求められる基本的なOAスキルを持っていない。EXCEIなどアプリケーションのスキルは壊滅的
  • 教えた事を覚えるまでに時間がかかり、また、覚えるためにメモを取るなどの努力をしていない
  • ケアレスミスがとても多い。ミスしていることを前提にしなければいけない頻度なので、チェック要員が必要になり、人出が欲しくて来てもらっているのに、チェックの分、むしろ彼のために人手をかけている状況

●そういった状況から、即刻契約通りに仕事のできる人に変えて欲しい

上記のような派遣社員Bさんの頻発するミス、スキル不足に対して、派遣先担当者はかなりご立腹でした。

やり取りをしている派遣先担当者は総務的な立ち位置で派遣の取りまとめをされており、実際に派遣社員Bさんの働く現場社員の方々から、「なんでこんな人を受け入れたんだ!?」といった強い苦情を受けたからのようです。

対応のポイント

派遣先への対応のポイント

今回のケースでは派遣会社として反省点が多く、次のようなポイントを前提に派遣先と対応をする必要になります。

  • Bさん本人にも問題はありつつも、就業開始以前にBさんの個性の強さについて懸念を持っていたという点で、そもそも派遣会社としてのマッチングミス
  • 色々と理由はあったものの、派遣会社営業担当として都度Bさんの評価を確認できていれば、クレームと同時に「即刻人を変えて欲しい」といった極論にはならず、間に一手二手の対応ができたはずだったという点で、対応が後手に回ったのは反省点

派遣社員への対応のポイント

派遣社員への対応においては次のようなポイントを踏まえての対応が必要になります。

一言で表せば「ギャップを埋める」ということです。

  • スキル面に対する派遣先の言い分とBさんの言い分にギャップがないかの確認が必。ギャップがある場合は後々別のトラブルの原因になる可能性が高く、ギャップを埋める作業が必要
  • 派遣会社営業担当として反省はありつつも、本人の不正確なスキルの申告、ミスの多さといった部分には問題があり、注意による意識付けが必要
  • 即刻人を変えてほしいという派遣先と、Bさんの残る雇用契約期間とのギャップを埋める対応が必要

対応経緯

派遣先への対応

第一報は派遣先担当者からの電話連絡であり、電話での会話で大体の経緯や先方の考えは確認したものの、「すぐにでもお伺いさせて頂きたい」と半ば押しかけるように訪問しました。

その理由は、丁重にお詫びをするとともに、Bさんの仕事ぶりや問題点のヒアリング、合わせて先方の求める対応と、その落とし所を探るということです。

また、続きでBさんとの面談も行い、派遣先とBさんの認識のギャップについても確認の必要性がありました。

派遣先担当者の言い分

  • Bさんは我々が契約上求めているスキルを持っていない。また、事前に派遣会社や本人が話していたスキルがなく、嘘をつかれたと思っている
  • 教育係を1人つけているが、ミスが多いので、ミスをしている前提でチェックをしなければいけなかったり、一度教えても何度も聞いてくるので手間ばかりかかり、人手不足の解消どころか、教育係の稼働が割かれ、マイナス1人になっている
  • Bさんの教育には、ここ2か月間、教育係がずいぶん時間と手間をかけてきた。何度同じことを教えても覚えてくれない、ミスを繰り返すという状況に教育係も不満を漏らしている。また、そんなこともあって職場の雰囲気も悪くなっている
  • そういった状況から、即刻契約通りに仕事のできる人に変えて欲しい
  • なんらかの事情ですぐに人を変えられないとしても、現在の契約を更新するつもりはない(今回は3か月単位の契約)

まずは派遣先担当者の言い分を伺ったものの、Bさん本人がどんな認識や思いであるのかも分からなかったため、すぐにBさんとの面談の時間を頂き、その後、面談結果踏まえて再度打ち合わせを行うことにしました。

派遣社員への対応

派遣先の言い分が全て正しいなどということはありませんから、まずは派遣先とBさんの認識のギャップを確認する必要があります。

いつもは促さなくとも勝手に話し始めるBさんですが、派遣先担当者に連れられて、硬い表情で私との面談がはじまりました。

頻繁なミスやスキル不足について派遣先から強い指摘があったことを伝えます。

そういった指摘について心当たりがあるかどうかを尋ねたところ、Bさんから次のようなコメントがありました。

  • ミスは多いと自覚していて申し訳ないと思っている。ただ、これから長い就業の中で慣れてくれば解決するとも思っていて、派遣先の担当者達もそう励ましてくれた
  • OAスキルは、しばらく実務で使っていなかったので忘れているだけ、こちらも今後の長い就業の中で慣れてくれば解決すると思っている
  • 教育係をはじめ、職場の皆さんはいろいろ教えてくれたり、気遣ってくれたり良くして頂いている。ミスやOAスキルの件は自覚はあったが、長い目で見て頂いていると思っていた。そんなにご迷惑をおかけしていたのであれば申し訳ない

Bさんは自分のミスの多さや、スキル不足について認識はあるものの、派遣先の社員達の表面的な励ましを真に受けて、その認識の仕方がかなり甘いこと、認識が甘いがゆえに、周りに迷惑をかけているという意識もなく、先々に向けて楽観的に前向きであるということがわかりました。

派遣社員Bさんへ注意指導

派遣先からの状況説明をもとにBさん本人にも状況を確認したところ、ミスやスキルの低さは認識しているものの、それがどれだけ周りに迷惑をかけているかの自覚が足りない、つまり、派遣先の認識と、本人の認識に大きなギャップがあったので、次のような注意をすることでギャップを埋めることを試みました。

  • Bさんから登録時に聞いていたOAスキルは、実務で即戦力になるレベルだと受け止めていたが、派遣先からの指摘によると話とずいぶん違うようだ。嘘をついていたとは言わないが、かなり誇張してアピールしていたと理解している。派遣先からもそう思われていることを自覚してほしい
  • Bさんはミスの多さをあまり重く受け止めていないようだが、派遣先からすると、ミスが多すぎて、Bさんの行った事務処理は「ミスがある前提でチェックする」という運用にまでなってしまっている。これではBさんに来てもらっても、人手不足を解決するどころか、チェックの分だけ余計に人手が不足すると言われても仕方のない状況。ミスが多いということを重く受け止めてほしい
  • スキル不足とミスの多さという2つの致命的な問題で、とても残念だが、次回の更新は難しいとのお話を頂いている。派遣先の社員達なりに改善の働きかけをしてくれていたと聞いているので、先方としても残念に感じているようだが、結論として受け止めてほしい。

本人からすると、OAスキルの件もミスの件も、自覚はありつつも「寝耳に水」といった受け止めのようでした。

雇用契約も残っている中で、派遣先に言われるままに即刻解雇というわけにもいかず、続けて本人に次のような投げかけをしました。

  • Bさんからすると突然の注意で、しかも更新がないという結果になっていると聞いて驚いたと思う。もうすぐ週末なので、まずはご自身で少し時間をかけてこの状況を理解してほしい
  • 更新なしとはなったが、今の契約満了までBさんと派遣先の社員達がお互いに気持ちよく働き続ける環境を作るお手伝いをするのが私の仕事だと思っている
  • とはいえ、先の更新がないという中で仕事を続けていくかどうかについては、Bさんなりに考えもあるかと思うので、週末含めて今後どうしたいか考えてほしい。私はBさんの考えに寄り添って対応したいと思っている

Bさんより質問があったので、契約満了まで働く場合と、契約の途中で別の道を選ぶ場合について具体的に説明しました。

●契約満了まで働く場合

  • 先方から指摘を受けているOAスキルとミスの多さについては、少しずつでも改善していることを示していかなければいけない。そのために私が派遣先との間に立って定期的に状況をチェックするので、最後まで改善のために一緒に努力をしていく覚悟をしてほしい
  • これまで自覚がなかったと思うが、これから日を追うごとに周りの皆さんから厳しい目でみられていることを実感していくこととなると思う
  • 派遣先からすると、これまでBさんに長く続けてもらうために育成の努力をしてくれていたが、契約を更新しないということで、Bさんに新しいことを教えることがしづらくなり、つまり任せて頂ける仕事が限られてきて、単純な作業ばかりになったり、仕事が極端に少なくなったりすることを想定してほしい

●契約の途中で別の道を選ぶ場合

  • 契約満了まで就業してもらう前提で派遣先対応をするので、契約の途中で別の道を選ぶということは自己都合退職ということになってしまう
  • とはいえ、この状況で今の職場で働き続けることはストレスでもあり、もし契約途中で別の道を選びたいということであれば、私から可能な限り別の仕事を紹介したいと思う。ただマッチングの問題もあるので、必ずという約束はできない
  • 最終的にはBさんご自身の判断になるので、私はその判断を大事にしたい

私から一通り話し終えると、話しぶりや顔つきからBさんは「収入の間を空けずに、次の仕事が決まるにはどうしたら一番いいのだろうか?」という考えに移っているようでした。

私の経験から、ご本人が寝耳に水といった戸惑っている段階で結論を迫っても、たいてい後から悪い形で話が変わるので、来週週明けまで考えてもらうというスタンスを変えず、話を終えました。

派遣先担当者と再度の打ち合わせ

Bさんとの面談を終えて、再度派遣先担当者と打ち合わせを行いました。

まずは派遣先からのご指摘に対してBさんがどのような理解をしていて、それに対しどのような対応をしたのかを報告しました。

  • 自分のミスの多さや、スキル不足について認識はあるものの、派遣先社員達のの表面的な励ましを真に受けて、その認識の仕方がかなり甘いこと、認識が甘いがゆえに、周りに迷惑をかけているという意識が少なく、先々に向けて楽観的に前向きであった
  • 現場の皆様との認識と大きなギャップがあるため、Bさんへの評価について一つ一つ説明し、改善をしていくことを約束した

その上で、派遣先の望む、即刻人を入れ替えるという点について説明をしました。

  • 御社との派遣契約で求められているスキルや業務成果を満たしていないことは、今回のご指摘と、それを受けてのBさん本人へのヒアリングで理解し、派遣元としてマッチングの精度の低さ、もっと細かに状況確認ができていれば更新なしという結論の前に何かしらの対策が打てたという点で、フォローの甘さについては強く反省している
  • 御社との派遣契約期間、Bさんとの雇用契約期間については、まったく別の問題だと理解しているが、一般的に派遣社員は派遣契約期間=雇用契約期間という理解であり、雇用契約途中に終了する=派遣先(就業先)とのトラブルととらえることが多い
  • 雇用契約期間を途中で終了することに関する補償については派遣会社が行えば済むだけの話だが、実際問題、補償云々の労務トラブルになった場合、どうしても派遣社員の怒りの先は派遣先(就業先)になるケースが多く、ご迷惑ばかりで申し訳ないができるだけ穏便にことを進めた方が良いと考えている
  • 最近はSNSや、派遣先の人権保護ホットラインなど訴え出る手段が多く、思わぬ紛糾の仕方をするケースも多い
  • できればこのまま契約期間(派遣契約期間、雇用契約期間)満了まで、本人と派遣会社ともども改善の努力を行いながら、就業をさせてほしい
  • 本人より契約期間途中で辞めたいという希望があれば、それは本人意思であり、契約期間満了とは別に解決方法の1つでもあると考えている
  • Bさんに自分から辞めるように仕向けるような説得はしていないが、先ほどの面談で、これから想定される状況や今後について具体的に話をすることで、Bさんには週末に今後についての自分の考えをまとめてもらうことにしている
  • 週明けに再度Bさんと面談をしたうえで、今後の対応について再度打ち合わせをさせてほしい

以上のような説明をし、一旦様子を見るということでご理解を頂きました。

週が明けての派遣社員Bさんとの面談

週明け月曜日に再度Bさんと面談を行い、先週お話した内容へのご自身なりの受け止め、今後についての考えをうかがいました。

  • 自分が派遣会社への登録時に申告したスキルや経験、業務内容確認の際に派遣先にお話をしたスキル・経験については、実際にできることとギャップがあり、嘘をついたつもりはないが、結果としてそういわれても仕方のない状況で反省している
  • ミスについても、「徐々に直していけばいい」くらいの感覚でいたので、周りの社員のみなさんにはご迷惑をおかけしたと思っている
  • 週末自分なりに考え、終わりも見えているのであれば、早く次の仕事を探そうと思っている
  • また御社で次の仕事に就きたいと思っているが、可能性を増やすために他の派遣会社にもお世話になろうと思っている
  • ただ、収入が途中で途絶えるのがとてもこわく、できれば今の職場で働きながら、次の仕事が決まったら辞めるというふうにしたい

Bさんの考えは以上のようなものでした。

想定している範囲のお考えでしたので、Bさんに次のようにお伝えしました。

  • 私としても今回のスキルミスマッチや、更新がないという結果については、私のふがいなさもあってのことと反省している。できるだけBさんを支援したいと思っている
  • 雇用契約途中での転職をお考えと承ったが、実際に辞意を表明するまでは契約期間が残っているわけであって、在職中の転職活動は問題のないものだと思っている
  • 私としても、Bさんが次に良い仕事に出会えるように、社内に手を尽くして仕事紹介をしたいと思っている
  • ただ、他の派遣会社のお仕事に決まり、退職となった場合は自己都合退職となる
  • これまでの経緯で、雇用契約途中での退職に問題ないと考えているが、派遣先(就業先)もあることなので、派遣先との調整のため、他の派遣会社での転職活動の進捗は都度教えてほしい

Bさんは、今回のように派遣社員として在職中に転職活動をすることがあまりなかったようで、在職しながらの転職活動の仕方について心配があるようでした。

ですので、この後派遣先担当者とお会いし、Bさんが就業の終わりも見えている中で、契約終了前に次の職場を探したい意志があることを伝え、ご了解を頂いた上で、在職中の転職活動について、次のようなルールを持って行わせてもらうことを両者の認識にできるように交渉するとお伝えしました。

  • 在職中の転職活動を定時内に行っても良いという了解をとる、具体的には遅刻や早退を使って転職活動を行う
  • 派遣の仕事の職場見学などで派遣先の職場に出向く場合、突然の不在で現在の業務に支障の出ないよう、日程設定には中一日を取ることを両者のルールにする(たとえば本日派遣会社から仕事の紹介があり、明日の日程設定はNG、明後日以降で日程を設定するといった運用)
  • 転職活動のための遅刻・早退の許可は派遣会社を挟まず、直接派遣先担当者に口頭で行う(派遣会社を間に挟むことでタイムロスを生まないため)

以上のような交渉をして、その結果を報告しますとお伝えすると、Bさんは少し安心した様子でした。

派遣先担当者と3度目の打ち合わせ

Bさんとの打ち合わせを終えて、派遣先担当者にお時間を頂き、最後の詰めの商談を行いました。

前回の派遣先担当者との商談のポイントは次のようなものです。

  • スキル不足、ミス頻発により契約内容を満たしておらず、人員交代のご要望は十分理解をしているが、昨今の労働環境では労務トラブルになると圧倒的に労働者が強く、労務トラブル化すると派遣社員の怒りの矛先はどうしても派遣先、つまり御社に向かってしまうため、穏便な対応にご協力をお願いしたい
  • とはいえ、契約更新がなく、就業の終わりが見えている中で、本人意思により退職をすることに問題はない
  • 本人に無理強いするような話はしていないが、「どっちが得か?」といった問題提起により、週末にじっくり考えてもらうように本人と話しを進めており、その結果を持ってまた打ち合わせをさせてほしい

以上のような前回の打ち合わせでのポイントをもとに、再度派遣先担当者と打ち合わせをしました。

往々にしてあることですが、派遣先担当者も週末をはさんだことで温度感が下がっており、冷静で現実的な議論となりました。

Bさんが別の道を目指していること、そのために在職中の転職活動を考えていて、私もそれを協力しようと思っていること、とはいえ御社にご迷惑をおかけしないように一定のルールを持って実施していこうと考えていることをお話しすると、あっさりとすべてご許可を頂きました。

今回、派遣会社として、また営業担当として反省点が多かったことから、Bさんの次の仕事について、必ずということは言えないまでも、できるだけの協力・努力をしていこうと考えています。

この段階まできて、私が目指すのは次のような結果です。

  • Bさんが早く当社で次の良い仕事に就けること
  • Bさんが早く退職することにより、よりマッチングした人材を早く派遣先にご紹介し、就業開始に結びつけること

また一山二山ありそうですが、経験上ここまで段取りを組めば、8割がたの問題解決といって良いかと思います。うまく万事解決となるといいのですが。

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コメント

  1. みかん より:

    はじめまして。派遣会社で四年間コーディネーターをしておる者です。こちらのブログはたまたま辿り着いたのですが、記事はどれも非常に勉強になり一気に読みました。
    この記事の続き含め、更新を楽しみにしております!