【続編③】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】派遣先の既婚中年担当者から「俺と付き合わない?」と告白された派遣社員Wさんのクレーム対応

【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】派遣先の既婚中年担当者から「俺と付き合わない?」と告白された派遣社員Wさんのクレーム対応

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引き続き、派遣先の40代既婚担当者から言い寄られた20代女性の派遣社員Wさんのクレーム対応をご紹介していきます。

派遣社員Wさんとの面談

M課長、S係長との腹立たしい商談を受けて、その日のうちにWさんと面談をしました。

会社帰りに喫茶店で待ち合わせをし、まずは私から話し始めます。

  • S係長から告白をされるという件から1週間経ったが、その後職場でのS係長との関わりはどうか?
  • また言い寄られたり、逆にS係長からの嫌がらせを受けたりといったことはあるか?

私からの質問にWさんは次のように答えます。

  • 告白を断ってから、急にS係長から仕事を頼まれなくなった
  • これまで教えてもらった定型業務を続けているが、それほど量がないので、S係長に「何か手伝えることがあったら指示してほしい」といっても、気の無い返事で特に仕事は与えてもらえず、手持ち無沙汰になることが多い
  • また、告白の件から「結婚していて子供もいるのに私に言い寄ってくるなんてどういう神経をしているんだろう?」と思うとS係長が得体が知れない存在に感じられ、正直話しかけづらい

WさんがS係長を怖がるのは無理もありません。

同じく既婚で子供のいる私からしても、若い女性に突然告白する中年男性の気が知れませんし、普通の常識ではないんだろうなと思ってしまいます。

また、Wさんの話からS係長はわざと仕事を与えず、「前向きさがない、嫌々仕事をしている」などと言いがかりをつけていることもわかりました。

「Wさんの雇用主として派遣会社はどのような対応を取るのか?至急誠意ある対応を考えてほしい」などとよく言えたものですが、M課長やS係長と喧嘩をするにあたってはWさんが今後の仕事をどのように考えているのかがポイントです。

  • Wさんはあの件以降、腹いせのように態度を変え、仕事を与えないといった仕打ちをするS係長をどのように受け止めているのか?
  • WさんはT社での仕事を続けたいのか否か?

つまり、Wさんがこんな状況・環境でもT社での就業継続を望む場合は派遣会社営業担当である私の仕事は、少しでもWさんの就業環境を良くすることが仕事ですから、M課長やS係長と喧嘩をしている場合ではありません。

今回の商談でのS係長の不遜な物言いも、あえてWさんには伝えず、Wさんの就業継続ができるように調整をしていくのです。

人材派遣というサービスは「労働力の仲介業」ですから、営業担当は自分の考えを無理やりに押し通すということはせず、仲介業らしく派遣先と派遣社員のどちらにもメリットのある調整をするのが役目なのです。

私からの質問に、話しながら感情が高ぶってきたのか、Wさんは少し涙目になりながら次のように答えました。

  • 今回S係長から言い寄られたり、断ったら急に態度が冷たくなり、仕事を与えてくれなくなったりといったことは、セクハラとパワハラだと思っている
  • 契約期間は約束事だと思うので、契約満了まで勤めようと思うが、正直すぐにでも辞めたい
  • ただ、自分ばかり嫌な思いをして、契約途中で辞めたら、S係長にとっては都合の良いことばかりで、悔しくもある
  • 契約満了までは続けたいのか、すぐにでも辞めたいのか自分でも整理できていない。ただ、少なくとも泣き寝入りはしたくない

涙ぐみながら話すWさんを気遣いつつ、私は壁のポスターを指差してWさんに話しかけました。

「T社は大手企業のグループ会社ですから、壁のポスターのような相談窓口がありますよ。そこに連絡をしてみてはどうですか?」

普通、派遣会社営業担当が派遣社員に派遣先の「コンプライアンス相談窓口」に通報するようにアドバイスをするようなことはありません。

むしろ派遣社員から「コンプライアンス相談窓口に通報する」と言われ、面倒ごとになるのを恐れて慌てて止めることの方が普通なのではないでしょうか。

ただ、今回の一件ではM課長はセクハラ・パワハラの加害者であるS係長の言いなりであることが予想され、このまま対応をしていてもWさんにとっても、私にとっても良い結果に結び付けられるとは到底思えません。

ここはT社の親会社が運営するコンプライアンス相談窓口を利用させてもらい「外圧」によって事態を好転させるくらいしか手段がないのです。

派遣社員Wさんとの作戦会議

Wさんはすぐ辞めるにしても、契約満了まで勤めるにしても、S係長には一泡吹かせたいという考えであることは確認できました。

そこで本日のM課長・S係長との商談の内容を、あまり刺激が強すぎない程度に共有することにしました。

  • 今日、M課長・S係長と打ち合わせがあったが、「最近のWさんは仕事ぶりが後ろ向きになった」というような指摘があった
  • 話ぶりとニュアンスからから察するに、S係長が自分の行いを棚に上げて、WさんのことをM課長に悪く言っているようだ
  • このままだと、Wさんが一方的に悪いとされてしまう恐れがある
  • コンプライアンス相談窓口に相談することによって、S係長の都合のいいようにされてしまうことは防げそうだ

Wさんは、S係長から言い寄られ、断ったら仕事を干されという「被害者」であるのに、S係長が上司のM課長に自分のことを悪くいっていることに驚き、憤りを感じたようです。

実際には「明日から来させないでほしい」といったさらに理不尽な攻撃を受けているのですが、それをそのままWさんに伝えて、感情的になりすぎると事態が泥沼化しかねません。

私は一般的なアドバイスとして、コンプライアンス相談窓口に連絡する際の「伝え方」についてお話ししました。

  • 一般的にこの手の相談窓口は相談者側が相談しやすいように、社員ではなく弁護士など第三者に運営を委託しているケースが多い
  • つまり委託を受けて業務を行っており、相談案件の優先順位付けは自己判断が難しいため、事前にルールが決まっていることが想定される
  • その中で「ハラスメント」という単語については優先順位が高いことが想定される
  • 今回の件も、経緯を順を追って話すというよりは、「上司からセクハラ、パワハラを受けた。具体的には・・・」と、ハラスメント被害を前面に出した説明が効率的
  • また相談は匿名が基本で、就業継続を前提としている場合は、相談者側が自分を特定されないように「◯◯部という部署で働いている者だが、上司からハラスメントを受けて困っている」といった大枠での相談が一般的なよう
  • その場合、相談窓口側からすると加害者も被害者も特定できず、根本的な対応がしづらいという問題がある
  • 今回の件では、このままS係長がWさんを悪くいうことを放っておくと、どんどんWさんの立場が悪くなってしまう懸念がある
  • Wさんは匿名で相談をしたら良いと思うが、加害者であるS係長については、初めから相談窓口に伝えた方がいいと思う
  • つまり、コンプライアンス相談窓口に通報をしたことが早々にM課長とS係長に伝わる前提での対応になるということだが、Wさんはその2人と通報後もしばらく同じ職場にいることになるわけで大丈夫か?

私からの話を受けて、Wさんはしばらく悩んでいましたが、意を決したように話しました。

「やっぱり、これだけ嫌な思いをさせられて泣き寝入りするのは嫌だし、通報してからだいぶか気まずい思いをするんだと思うけど、やってみます」

長くなりましたので続きは続編とさせて頂きます。

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