【続編11】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】派遣先の既婚中年担当者から「俺と付き合わない?」と告白された派遣社員Wさんのクレーム対応

【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】派遣先の既婚中年担当者から「俺と付き合わない?」と告白された派遣社員Wさんのクレーム対応

前編①   ←前編②   ←前編③

←前編④   ←前編⑤   ←前編⑥

←前編⑦   ←前編⑧   ←前編⑨

←前編⑩  →続編12  →続編13

→続編14 →完結編15

引き続き、派遣先の40代既婚担当者から言い寄られた20代女性の派遣社員Wさんのクレーム対応をご紹介していきます。

T社の面々、Wさん、私の三者面談

T社に謝罪すべきことを正しく謝罪してもらい、しかもWさんが不利・不利益にならない落とし所を探るために、T社の面々とWさん、私で三者面談を行うことになりました。

もともとM課長やS係長は、Wさんの「誤解」を解くために、面談の機会を求めてはいましたが、あくまで「Wさんに誤解を解くためのアプローチをし、謝罪もしたのだという親会社のコンプライアンス相談窓口に報告する既成事実がほしい」といった先方にとって都合の良い動機であると考えられましたし、M課長とS係長2人がかりでWさんを「言いくるよう」とする意図がありありと感じられたのでした。

その意味では、私も参加する三者面談という形式にしたことで、M課長たちの都合のいいように話を進めることは難しくなりますし、三者面談は「WさんがM課長やS係長の話を聞く場」であってWさんが先方に対して「答え」を出す場ではないのです。

Wさんが2人の話を受けてどのように感じ、どのようにしたいかは、三者面談が終わったあとに私が「Wさんの代弁」をするわけで、「Wさんと私にとって都合の良い話の話」にすることができるのです。

S係長からの苦しい説明

S係長が「Wさんに説明と謝罪をしたいことがある」が話し始めました。

  • 本来はこのような大勢がいる場で話す話ではないのだが、私がWさんに誤解を与えて、不愉快な思いをしているのではないかと思って、その誤解を解きたいということと、不愉快な思いをさせていたのだとしたら謝罪をしたくて、今日この場を設定してもらった
  • 以前、会社帰りにたまたま駅まで一緒になり、音楽の話をしたことがあった。
  • Wさんと音楽の趣味が一緒であることを知って嬉しくなり、「今度コンサートに行こうと思うんだけど、つきあわない?」ということを伝えたかったのに、私の言葉か足りなくて、「男女の関係」として「つきあわない?」といったと誤解されるような言い方をしてしまったのではないかと心配している
  • その後、Wさんの私への態度は明らかに変わったし、私もWさんにどう誤解を解いたらいいのかわからずに、Wさんへの接し方がつっけんどんになってしまっていたと反省している
  • 誤解をされたままの状況では、これまでの経緯は、指揮命令者である私から派遣社員へのセクハラと言われても仕方ないかもしれないし、その後の私の不自然な態度がパワハラだと言われても仕方ないかもしれないと思っている
  • Wさんがどう感じられていたかは分からないが、この誤解を解きたかったし、不愉快な思いをさせていたとしたら謝罪したい

このような苦しい言い訳を顔を真っ赤にして必死に話すS係長がどんな思いなのかはわかりませんが、事情を知っている私からするとS係長の迫真の主張に「よくやるよ」と白けた気分でした。

S係長が話し終えると、M課長が話をまとめようと口を開きます。

  • S係長からの話が、Wさんの思いもよらない話であれば、一方的にこちらの思いを伝えることになってしまい申し訳ない
  • 当社としてはWさんに今後も働いてもらいたいと思っていて、お互いにすれ違いやしこりのようなものがあったらよくないと思って、このような機会を作った
  • 我々の押し付けになってもいけないので、どのように感じ、今後どうして行きたいかは派遣会社を通してフィードバックをしてくれればと思う

ん・・・・・?

ひとしきりM課長の話が終わりかけたところで、隣に座っているWさんの様子がおかしいのです。

なにやらうつむいてハンカチで目を覆っています。

なにがきっかけかわかりませんが、どうやらWさんが泣き崩れているようなのです。

私も含めて、中年男性は若い女性の涙に慣れていませんから、慌てるばかり。

三者面談の目的は果たせましたので、「Wさんが少し感極まっているようなので、あとは私と2人で面談をさせて頂きますね、後ほどもろもろのご報告にあがります」と会議室からM課長とS係長を追い出し、三者面談は幕を閉じたのでした。

涙ぐむ派遣社員Wさんと面談

派遣会社の営業担当は、担当するほとんどの派遣社員が女性ですから、女性と接することは比較的慣れているのですが、さすがに泣かれることはありません、

普段は飄々としている私も珍しく取り乱して、涙ぐむWさんをどう扱っていいか図りかねました。

前回のWさんとの作戦会議で、三者面談に尻込みしていたWさんの気持ちをもう少し組んでおくべきでした。

一旦席を外し、自販機で飲み物を買ってきて、執務室にいるM課長からティッシュを箱ごと借りて会議室に戻ります。

Wさんに飲み物とティッシュを渡して、しばらく無言で様子を見ていると、少し落ち着いたのかWさんが口を開きました。

「すみません、取り乱して」

「すごく緊張して参加したんですけど、S係長の話を聞いていたら、馬鹿馬鹿しすぎて、こんな人のために仕事をしていた自分が情けなくなって泣けちゃいました」

「もうここでの仕事は辞めようと思います。できれば早く辞めたいです」

Wさんの気持ちはごもっともです。

保身の塊のような苦しい言い訳をもっともらしく話す指揮命令者、それを保身のためにフォローする上司。

誰だってうんざりします。

そこで私はWさんに次のように話しました。

  • お気持ちは理解した。やめるタイミングはいつでも構わない。このあとM課長たちには私から話しておく
  • 今日この後はどうするか?Wさんが辛いなら早退してもいいのではないかと思っている
  • できるだけ早くT社を終了する前提なので、今後のT社との折衝はWさんのことを気にせずにやってもよいか?
  • これまでは就業しているWさんが働き辛くならないように、様子を見ながら折衝していたので、なかなか話が前に進まず、今回の三者面談のようなWさんに辛い思いをさせるようなことになってしまい申し訳なかった

Wさんは「申し訳ないなんて、そんなことないです」と言いながら涙をぬぐいました。

そして今日はこれで早退し、明日以降の出勤はこれから行うM課長たちとの折衝次第という段取りを約束します。

今後のT社とのやりとりについてはすべて私に任せてくれるとのことで、話を終えました。

三者面談でWさんを辛い目に合わせてしまったのは申し訳なかったのですが、Wさんが即日での退職の決意を固めたことで、私のやるべきことも固まりました。

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

前編①   ←前編②   ←前編③

←前編④   ←前編⑤   ←前編⑥

←前編⑦   ←前編⑧   ←前編⑨

←前編⑩  →続編12  →続編13

→続編14 →完結編15