【続編12】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】派遣先の既婚中年担当者から「俺と付き合わない?」と告白された派遣社員Wさんのクレーム対応

【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】派遣先の既婚中年担当者から「俺と付き合わない?」と告白された派遣社員Wさんのクレーム対応

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引き続き、派遣先の40代既婚担当者から言い寄られた20代女性の派遣社員Wさんのクレーム対応をご紹介していきます。

M課長たちと折衝

Wさんと打ち合わせを終えてから、すぐにM課長に声をかけ、先ほどの三者面談の経緯もあり、今日は早退をさせることを話しました。

合わせて、M課長とS係長に再度打ち合わせの時間をもらいます。

自分たちのせいで若い女性に泣かれるということに慣れていない2人は明らかに動揺をしている様子です。

これからM課長とS係長、ひいては先方の部長と折衝をするにあたって私は次のような方針を考えました。

  • Wさんは明日以降は出勤しないで済むようにする
  • Wさんが今後T社との関わりがなくなることを前提に、折衝が有利になるためにWさんの話を「脚色」してT社に伝える
  • Wさんの契約途中での退職はT社のS係長のセクハラやパワハラを原因としており、その償いとして本日から契約満了までの休業補償、合わせて慰謝料の支払いを求める
  • それを可能な限りWさんに還元する

T社のような大手企業のグループ会社では、業者への支払いは仕組み化されており、派遣社員の休業補償や、ましてや慰謝料などといったイレギュラーな支払いは非常にハードルが高いのです。

現場の担当者が承諾をしても、いくつもの社内決済(上長への説明)が必要となり、現場から離れるほど意図は伝わりづらく、なかなか承認されるものではありません。

とはいえ、このままで終わったのではWさんは辛い思いをしただけで泣き寝入りですし、急に退職を決意したこともあり、次の仕事につくまで生活もままなりません。

Wさんの合意は得て実施をしたものの、そのきっかけとなった三者面談を企画したのは私で、できる限りのことをしなければいけません。

今後のT社との折衝を有利にするためにWさんの話を「脚色」して伝えることは気が引けましたが、私は強い決意を持って、M課長とS係長に次のように話しました。

  • 三者面談後にWと話をしたが、面談中に涙を見せた理由は本人の言葉を借りると次のようなことだった

「S係長のセクハラやパワハラは自覚していたが、騒ぎ立てると色々な人が迷惑を被るのではないかと思って、派遣会社にも黙っていた」

「今日の三者面談でS係長の見苦しい言い訳を聞いて、我慢をしていたのがほとほと馬鹿らしくなった」

  • あわせてWは次のようにも話していた

「また、職場内の噂話でS係長に対するセクハラ・パワハラの匿名での訴えがあったと聞いている。今回の三者面談はその通報を受けて実施されたように感じる。つまり今回の面談は犯人探しだと感じた。コンプライアンス相談窓口は匿名で通報できる仕組みで、通報をしても不利益を受けないと職場のポスターにも書いてあったが、実際は違うのか?」

「S係長からセクハラ・パワハラを受けたこと、コンプライアンス相談窓口に相談をしたが逆に犯人探しをされて不利益を被ったことを然るべきところに相談をしようと思う」

「今後T社に何をされるか不安なので、もう出勤をしたくないし、かかわりたくない。必要があればすべて派遣会社を通してやりとりをしたい」

  • 私として懸念をお伝えしていたとおりになってしまった
  • Wは御社への出社の意思はないし、当社との雇用関係も切れることになるので、私としてもどうにもコントロールのしようがない
  • W個人と御社の問題なので対応はお任せするが、Wが御社との直接的なやりとりについては私を通してほしいとのことなので、可能な限りは間に立つようにする
  • これまでの経緯から良かれと思って間に立つだけなので、どちらかに都合が良くなるような交渉・調整などはできないと思っている

ここまで話したところでM課長とS係長は明らかに青ざめていました。

私がWさんの言葉として話した内容には次のようなポイントが含まれています。

  1. WさんのS係長からのセクハラ・パワハラ被害を本人の訴えとして顕在化させた
  2. 内部通報をした「犯人」のように扱われたことは不服であると表明した
  3. WさんがS係長のセクハラ・パワハラを然るべきところに訴え出る可能性があると伝えた
  4. ハラスメントだけでなく、通報者を「犯人」扱いするT社とその親会社の内部通報の仕組みも含めて訴え出る可能性があると伝えた

これによりM課長とS係長、その上司である部長を含めて、次のようなリスクを自ら発生させてしまったことになり、コンプライアンス相談窓口含めて社内各所と連携した対応が必要になります。

  • Wさんをなんとか言いくるめてコンプライアンス相談窓口に対応したと報告できる既成事実を得るはずが、全くのやぶへびで、S係長からWさんへのハラスメント被害を顕在化させてしまい、訴訟リスクが発生した
  • Wさんを内部通報した「犯人」のように扱うことで、匿名が前提であるT社と親会社の内部通報の仕組みに問題があると指摘され、ハラスメント被害と絡めて訴えでられ、なにかの拍子で世に広まった場合、T社と親会社への風評被害が発生するリスクが発生した

つまり、自分たちの手元だけで対応したり、もみ消したりすることができなくなったということです。

さて、M課長とS係長はどんな対応をするのでしょうか。

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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