【雑談の話題選びが苦手な人におすすめ】あまりお金をかけずに広く浅く、ときに深く話題を集める方法
商談や面談に必要な雑談の話題
派遣会社の営業担当に限りませんが、営業マンはとにかく色々な人と会う機会が多いのです。
私の勤める派遣会社では、営業担当1名につき、100名前後の派遣社員を担当します。
派遣社員は一つの部署に複数名勤務しているケースもありますので、対応する派遣先の担当者は60〜70名程度。
新たにお取引が始めると上司を連れて、いつもやりとりをしている派遣先担当者の上司に表敬訪問。
さらには新たな取引先の開拓と、無数の担当者に会うのです。
そんな大勢の人々と会う機会の多い派遣会社の営業担当ですが、派遣先担当者との商談や派遣社員との面談では、すぐに本題に入るわけではありません。
お友達同士ではありませんから、必ず商談や面談の冒頭には場を和ませるための会話、つまり雑談が必要になるのです。
雑談の話題が、相手の立場や役割にあっているのか?その商談や面談の本題にスムーズに入るのに適しているのか?
話す相手も営業担当もお互い社会の荒波に揉まれながら生きている社会人ですから、そんなちょっとした話題選びで、その人のセンスや能力、ひいては信頼に足る人物なのか?といった事柄を見定められてしまうのです。
社会経験が浅かったり、経験・見聞が狭い新人の営業担当が苦手とするのが、雑談の話題選び。
「商談や面談のはじめには一体どんな話をすればいいんですか?」
これまでにどれだけそのような質問を受けたか、数え切れないほどです。
話す相手の属性をを理解する
では、派遣会社の営業担当はどんな属性の人々と話す機会が多いのでしょうか?
●派遣先担当者
- 30代後半〜50代前半
- 主に男性
- 会社組織に属するサラリーマン
- 課長レベルの役職者が中心
●派遣社員
- 30代後半〜40代後半
- 9割が女性、1割が男性
- 女性は独身者、兼業主婦、お子さんの有無など様々
- 男性は独身者がほとんど
派遣会社の営業担当が会う相手はずいぶん様々な属性の方が多いことがわかります。
これだけみても、それぞれの方との話題は多岐に渡ることが想定されますね。
相手の属性に合わせて広く浅く話題を準備しておく
商談や面談での雑談が苦手な営業担当にありがちな勘違いは次のようなものです。
- 自分が話し始めた話題については、相手よりも深く知っていなければいけない
- 自分が話し始めた話題は、自分が話をリードしなければいけない
とても大きな勘違いです。
用意すべきは、相手が興味を持ちそうな分野のトピックであり、新聞や雑誌でいうと「見出し」部分です。
例えば女性なら年齢問わず興味の強いドラマ。
ひとつひとつのドラマを見る必要もありません。あらすじすら知らなくて大丈夫です。
「最近、人気俳優の〇〇さんが出ているドラマ、すごい人気らしいじゃないですか?ご覧になってます?どんなドラマなんですか?」
「へー、それは見てないんですね。じゃあどんなドラマ見るんですか?」
つまり、相手が話してくれる「きっかけ」を用意したにすぎません。
考えてもみてください。
お客様との商談や、派遣社員との面談で、自分ばかり話していたら実りある打ち合わせにはならないと思いませんか?
相手に話してもらって、なんらか情報を得てこその商談や面談です。
話題選び以前に、その話題について「相手より話そう」としている時点で、その打ち合わせは失敗なのです。
広く浅く、しかもできるだけ安く話題を集める
そのような様々な属性の人達と雑談する話題を集めるためには、どんな情報収集の手段が適しているでしょうか?
広く浅く、しかも、できるだけお金をかけずに話題を集めるために、私が利用している情報収集の手段をご紹介します。
日本経済新聞のホームページ
政治経済分野の時事ネタはビジネスパーソンの共通言語「日本経済新聞」の領域です。
でも、日経は紙の新聞も電子版も5000円前後と、雑談の話題を探すだけだとしたら割高だと思いませんか?
日本経済新聞のホームページでは見出しだけなら無料で閲覧可能。
深掘りしたいときは「Google先生」で調べれば、なんらかまとまった情報は得られるでしょう。
担当者に「この営業担当は日経新聞を読んでいて、政治経済の話題にアンテナが高い」という認識をもってもらえばいいのです。
「今朝の日経に〇〇という記事がありましたよね。御社はどう対応されるんですか?」
と、話題にできればビジネスパーソンにとって日本経済新聞の価値の半分以上を活用できたと言えるのです。
ニュースアプリ「SmartNews」
日本経済新聞は政治経済分野には強いのですが、社会分野にとても弱いのです。
色々な属性の人と話をするときに、多くの人が読んでいるメディアを広く浅く押さえるのが有効。
新聞を読む人は減ってきたとはいえ、2018年時点で約4,000万世帯が読む一大メディア(一般財団法人 日本新聞協会調べ)、その中でも発行部数の多い、読売新聞・朝日新聞・毎日新聞あたりの「見出し」を広く浅く押さえられれば雑談の話題としては十分といえます。
一紙一紙のホームページを見に行くのも手間ですから愛用しているのがニュースアプリの「SmartNews 」。
上から下にザァッとスクロールすれば、今日のトピックスが数分で確認できます。
これだけ便利に使えて無料なのはありがたい限りです。
テレビはあまり見ない
なんでも効率ばかりでは疲れてしまいますから、見るとも見ないともなく、ボーッとテレビを眺めているような時間も必要ですよね。
ただニュース番組やワイドショーなどで情報収集をしようとしたときにテレビはとても効率の悪いメディアです。
- 視覚と聴覚の両方を使わなければいけない
- 文字に比べて、1つのニュースを理解するまでに時間がかかる
- CMを意識した話題の間延びが多い
私の場合、ニュースはNHKで19時〜19時半に放送している「ニュース7」を録画して、寝る前までの間に片手間に見ています。
話題を探すというよりも、「どのニュースが大きく取り上げられているか?」を確認する目的で、詳しく深掘りしたい場合はGoogleで「まとめ記事」を検索します。
Twitterはネット上で盛り上がっている話題を素早く知るのに最適
ネット上では、新聞やテレビが日々取り上げるものとは違った話題が、新聞やテレビと違った切り口で盛り上がっていることがよくあります。
新聞やテレビのニュース番組は「速報性」のメディアですが、Twitterはさらに速報性に優れたメディアです。
最近は新聞やテレビがネット上で盛り上がっている話題を後追いすることも増えました。
150文字までという文字制限もあり、Twitter参加者がそれぞれの見地から考えを簡潔に表明していて、ネット上ではどういった話題が盛り上がっているのか?、1つの話題に対してネット上の人々がどういった受け止めをしているのか?を理解するのに便利です。
いろいろな雑誌を斜め読みすることで、広く浅く、ときに深く話題を集める
広く浅く政治・経済・社会・スポーツなどの分野の話題を切り出せれば十分ですが、さらに高い信頼を得たり、人間関係を深めるためには、その人それぞれの嗜好や考えにあったもう少し深い切り口の話題があった方がいいと思いませんか?
新聞やテレビのニュースは「速報性」が特徴であり、1つ1つの話題を「点」で捉えます。
もう少し深い切り口で話題を掴むには「継続すること」つまり、話題の「点と点」をつなげて「線」や「面」にする必要があります。
日本経済新聞で言えば、記事の内容がわからないながらも1ヶ月、2ヶ月と継続して読み込んでいくと理解が深まるというようなことです。
しかし、それぞれの話題をある程度の即効性をもって理解を深めるメディアがあります。それが雑誌です。
そんな専門性のかたまりである雑誌の見出しだけでも斜め読みして、話す相手の嗜好や考えにあった少し深い切り口の話題を投げかけられたら、相手からの信頼や人間関係が深まると思いませんか?
250誌以上の雑誌が読める楽天マガジンで少し深い切り口の話題は完璧
そんな考えをもとに、1年ほど前から利用しているのが楽天マガジンというアプリ。
約250種類の雑誌が月額380円、年額なら3,600円で読み放題という、かなり割安な価格設定。
週に1〜2冊以上の週刊誌を読んでいる方や、月に1冊以上の月刊誌を読んでいる人なら間違いなく元が取れるというお買い得さです。
雑誌によって違いはあるものの、数冊のバックナンバーあり。
しかも、一契約でスマートフォンやタブレット、パソコンなど最大5台まで利用可能。
私は①自宅のパソコン、②自分のスマートフォン、③会社のスマートフォン、④会社のタブレット、⑤会社のパソコンと5つのIDをフル活用しています。
約250種類も雑誌が用意されていれば本屋さんの店頭に並んでいるような雑誌はたいていラインナップされています。
お気に入りの雑誌が登録できて、新着があると教えてくれるのですが、私のお気に入りは次の雑誌です。
野球や料理・カメラ・ITといった趣味の雑誌から、仕事に直結する週刊東洋経済やダイヤモンド・エコノミストといった経済誌まで、なんでも読み放題です。
最初の31日間は無料ですから、無料期間があるうちに一度お試しください。
私はたいして雑誌を見ずに無料期間を漫然と終えてしまったのですが、無料期間で解約後しばらくしてから今回ご紹介している「いろいろな雑誌を斜め読みすることで、広く浅く、ときに深く話題を集める」という発想に至り、契約し直しました。
どのように利用しているのか?
私は楽天マガジンを少し深い切り口の話題を探すために利用しているので、自分の興味や趣味嗜好に関係なく、新着の雑誌を片っ端から開いていきます。
例えば女性向けのファッション誌。
本屋さんでは手に取るのを躊躇しますが、楽天マガジンであれば気にする必要もありません。
熟読して深い知識を得るのが目的ではないので、ザァッと誌面を眺めていって、年代別のファッションの流行を掴むことができれば、女性の派遣社員の方々との会話に活かせます。
ちなみに話題にするときは「妻に聞いたんですけど、最近こんなファッションが流行してるみたいですね」というように話します。
「女性向けファッション誌を読んだんですけど、、、」と言うと不審がられるときもありますので。
テレビ番組雑誌には、番組表の前に特集が組まれていて、人気のドラマや話題の番組などが取り上げられていますよね。
こちらも深く読み込むのではなく、ザァッと記事に目を通すことで、流行りのドラマや人気のは俳優など、話のきっかけになるような話題が得られるのです。
中年以上の男性サラリーマンの話題といえば、上司の愚痴かゴルフや野球の話が定番ですが、楽天マガジンではスポーツ雑誌も豊富に揃っています。
私は野球観戦が趣味なので、野球雑誌はとても興味を持って読み込めるのですが、ゴルフには全く興味がありません。
とはいえ、ゴルフを趣味にしている担当者は多く、ゴルフ雑誌を流し読みしておくと、最近行われた大会や、有力なプロゴルファーなどの情報がうっすらと記憶に残り、話題にしたり、話についていったりすることができるのです。
趣味分野の話題で気をつけなければいけないのは、「知ったかぶりをしない」ということ。
「私はあまり知識や経験はないけど、あなたが好きなゴルフに少し興味があるんですよ」
というニュアンスで、
「そういえば、最近本屋さんでゴルフ雑誌を流し読みしたときに、こんなことが書いてあったんですが、これってどんなことなんですか?」
と、相手の得意分野である趣味について「教えを乞う」ような語りかけが一番しっくりきます。
誰だって、自分のことを「好き」と言ってくれる人をなかなか嫌いにはなりません。
それと同じように、自分が好きなことに、自分をきっかけに興味を持ってくれた人が、素人なりに調べたらしい少し深い切り口で「教えを乞う」てきたら、憎からず思うのです。
それでは、実践
さて、楽天マガジンを使っていろいろな雑誌から「広く浅く、少し深い切り口の話題」を集めることができました。
派遣先担当者や派遣社員との打ち合わせで、さらに高い信頼を得たり、人間関係を深めることが目的です。
では、実際にどのように話題を選び、会話に活かせばいいのか、実践してみましょう。
わかりやすくするために、「広く浅い切り口の話題」と、楽天マガジンを使った「少し深い切り口の話題」で比べてみました。
【派遣先担当者との商談冒頭の会話】
●広く浅い切り口の話題
話題をふられた担当者は「そうですね。派遣社員への関わりについて今後いろいろ教えてください」といった調子で、ちょっとした会話のキャッチボールができ、商談の本題に入るのにちょうど良い雑談です。
また、日経新聞の記事を引き合いに出すことで、次のような効果が期待できます。
- 「この営業担当は日経新聞を読んでいるビジネス感度の高い人なのだ」という印象を与えることができる
- 日経新聞の記事を引用したことで、日経新聞への社会的認知や権威から、真面目に応じるべき話題という印象を与えることができる
●少し深い切り口の話題
少し深い切り口を加えることで、適度な会話のキャッチボールができて、商談の本題にスムーズに入れるようになるとともに、「働き方改革法案絡みでの情報交換」という次の商談の機会まで取り付けました。
この会話でも日経新聞や週刊エコノミストといった社会的認知や権威を借りて、相手に「この営業担当の話はきちんと応じると私にとっても必要で有意義な情報が得られそうだ」という印象を与えることができました。
担当者との商談の場面で、雑誌の記事をもとにした「少し深い切り口」の話題を使う場合は、記事の内容はもちろん、その雑誌自体の社会的認知や権威まで利用するのがポイントです。
いわば、虎の威を借る狐といったところでしょうか。
【派遣社員との面談冒頭の会話】
派遣先担当者に比べれば、派遣社員との会話はもう少しフランクな関係での会話になります。
派遣社員との面談では、私は次のような目的を持って会話を組み立てています。
- 会話をしていて楽しいと感じてもらう
- それにより話しやすい人間関係を作る
- 何か困りごとがあったときに、真っ先に相談をしてくれる関係を作る
●広く浅い切り口の話題
派遣社員との面談では「仕事は順調か?」「人間関係は良好か?」「なにか困っていることはないか?」といった問題やトラブルの芽を早めに摘むためのヒアリングが主になりますが、頻繁に会えるわけではありませんから人間関係や信頼関係を醸成するためのコミュニケーションは欠かせません。
「コミュニケーションは質より量」ですから、難しい話題を取り上げる必要はなく、会話の入り口としては都度の時事ネタがふさわしいでしょう。
そういった意味では最近ニュースで取り上げられているゴールデンウィークの話題は会話の入り口としてふさわしいものです。
●少し深い切り口の話題
雑誌の特集記事から会話が進んで、「うちはあそこに行こうと思ってるんですよ」など話が盛り上がるかもしれません。
社交辞令的な会話だけでもいいのですが、お互いのプライベートにも踏み込んだ、少し深い切り口の会話をすることで人間関係が深まり、いざという時にその人間関係が役立つのです。
日頃から広く浅く、少し深い話題を集めるアンテナを張る
今回は派遣会社の営業担当をはじめとした営業マンの方向けに、商談や面談で使える話題の集め方をご紹介しました。
ただ、情報収集の手段は今回ご紹介をしたものに限りません。
私は他にも次のような方法で、できるだけお金をかけずに広く浅く、少し深く情報を集めています。
- 派遣先担当者や派遣社員との会話の中で、趣味や嗜好を質問し、その人なりの知識や経験を聞くようにする
- 図書館で自分の興味に関係なく目に付いた本を片っ端から借り、興味の湧いた本は読み込み、興味の湧かなかった本は著者の略歴と目次だけ眺めるように読み、「こんなジャンルの本があり、本を書けるほどのプロがいるのだ」と記憶にとどめる
- ある業界のこと深くを知りたいときには、その業界の代表的な上場企業の決算説明会資料や中期経営計画などの資料を読む。企業によっては決算説明会の動画を公開している企業もある
最近はインターネットの普及から至るところに情報があふれています。
ただ、散文的な情報をいくら集めたところで意味がありません。
ある程度理解しやすい体系化された情報は、テレビ・新聞・雑誌・書籍などの既存のメディアであって、情報を広く浅く、少し深く集めるにはそれらのメディアに頼ったほうが手っ取り早いのです。