【続編②】【派遣会社で働く営業担当のための基礎知識】派遣先に闇金から取り立ての電話があったときの対応方法
闇金業者と対決
出先での派遣先R社、派遣社員Nさんとのやりとりを終え、Nさんが融資を受けたという闇金業者と対峙すべく一旦社に戻りました。
社に戻ると案の定、闇金業者から何度も私宛に電話がかかっていたようでした。
こうなることを見越して、事前に社内には次のような案内をしておきました。
- 闇金業者から私宛に電話があって、色々と抗議や要求をされたとしても、「この件は営業担当しかわからない」と伝えてほしい
- 闇金業者が私の上司を出せと言ってきたとしても、「上司は営業担当にすべての対応を一任している」と伝え、上司に電話を変わらないでほしい。また上司の名前を聞かれたら、「お教えする必要がない」伝えないでほしい
- 電話をしてきた闇金業者の社名と担当者名、折り返しの電話番号を聞いておいてほしい。仮に番号通知で電話をしてきた場合には電話番号を控えておいてほしい
- 電話をかけてきた闇金業者の声色から、同じ人物が何度もかけてきているのか?それとも複数の人物が電話をかけてきているのかを、可能な範囲で判別しておいてほしい
事前に社内に案内をした甲斐もあり、相手は少なくとも5人ほどのチームであることがわかりました。全員男性で、声色から20代から30代の比較的若い人物であるとのことです。
私は自席に座り、ビジネスフォンに録音機材を取り付け、金融業者からの電話を待ちます。
「こちらから待っていると、意外とかかってこないものだなぁ」などと気を散らしていると、数十分後にやっと、金融業者からの電話がかかってきました。
電話が取り次がれるまでに録音機材の電源を入れ、満を持して電話にでます。
相手は声色から若い男性です。
のっけから矢継ぎ早に話しだしました。
「おたくの社員のNさんだけど、私からお金を借りておいて、全然返してくれないんですよ。全く連絡も取れないし」
「Nさんから勤め先として聞いていたR社に電話したら、ウチの社員じゃないって言うし、人からお金を借りるのに嘘ついてたってことですかねー」
「それで、こちらの会社が雇用主で、あなたが担当だって言うから何度も電話してたんですが、全然でてくれないし、Nさんも、おたくの会社もどうなってるんですか?」
ひとしきり、話を聞いた後で私は答えました。
- Nの雇用主は当社で、彼の担当は私だが、あなたは何者か?個人的にお金を貸していると言った話であれば、N本人と話せばいいこと
- 何度も関係のないR社や、当社に電話をしてきて非常に迷惑
- 「おたくはどうなっているんだ?」というが、あなたがどうかしている。もうR社にも当社にも電話をしてこないでほしい
- 今後も電話をして来るようなら、即警察に相談する。また顧問弁護士にもすでに相談している
冷静に淡々と、しかし攻撃的な私の口調に相手は少し面食らったようでした。
最初の淀みない話から一転、少し慌てた口調で言い返してきます。
「そんなことしたら、困るのはそっちじゃないですか?雇用主としての責任というのがあるでしょう?」
ここまでの話の文脈で、「雇用主の責任」というフレーズを使ったことに、明らかに素人っぽさを感じます。
若い声色、話の持っていきかたの素人っぽさを考えると、まだ見習いなのかもしれません。
おそらく闇金業者なりにトークスクリプトのようなものがあって、「雇用主の責任」というのはお決まりのフレーズなのでしょう。
私はすぐに切り返します。
- 「雇用主の責任」とは何を指して言っているのか?
- Nとの個人的なお金の貸し借りであれば、Nとやりとりすればいいこと
- あなたが何者かも知らされていない私が、なぜNとあなたの個人的な金銭の貸し借りに対して、「雇用主の責任」を果たさなければならないのか?
少しの沈黙と舌打ちの後に、彼は呟くともなく言いました。
「ちっ、わけわかんないこと言ってんじゃねーよ。おまえ。いい加減にしろよ」
ついに本性を現しました。しめしめと思いつつ、私は話を続けます。
- 何者かもわからないあなたに舌打ちされた上に「おまえ」呼ばわりされるいわれはない
- そもそもあなたと話すことなどないが、あなたが何か私と話したいのであれば、「おまえ」呼ばわりしたことを謝罪しない限りはなにも話さない
- 参考までにお伝えすると、この電話は録音している
- 今後R社や当社に用もないのに電話をして来るようであれば警察に録音データを提供する
ひとしきり話し終えると、受話器から何やら騒ぐ声が聞こえましたが、問答無用で電話を切りました。
そのすぐ後、私の事務所の電話が一斉に鳴りだします。
電話に出るて無言で切られ、またかかってくる。
そんなことが10分ほど繰り返され、しばらくすると無言電話は鳴り止みました。
事務所の電話は5回線、相手は少なくとも5人以上のチームであることは確定しました。
第1戦目としては、まぁまぁの戦果であったと思います。
相手もこのままでは引き下がらないでしょうから、またなんらかのアプローチをしてくるはずです。
長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。