【続編⑧】【派遣会社で働く営業担当のための基礎知識】派遣先に闇金から取り立ての電話があったときの対応方法
闇金業者との3回戦
前回の闇金業者とのやりとりでは、「前に電話をしてきた若造がおまえ呼ばわりしてきたので、それを謝罪してからでなければ何も話さない」と一方的に伝えて電話をガチャ切りするという、我ながらなかなか強気な対応を行いました。
我々にとって闇金業者は「得体の知れない、何をされるかわからない相手」ですが、彼らにとっても私が「得体の知れない、何をされるかわからない相手」であると感じるように仕向けるための作戦でした。
さらには彼らが行う次の一手は「私が嫌がることを徹底的にやる」であり、具体的には私の会社の各所にありもしない私の誹謗中傷を行うということであろうと予測し、全国各所に対応の段取りを行ったのでした。
まんまと網にかかる闇金業者
私が闇金業者の電話をガチャ切りした翌日、本社といくつかの地方支店から私に連絡がありました。
本社の派遣社員向けの相談窓口には次のような電話が入ったようです。
「御社の〇〇(私のこと)が、派遣社員と共謀して取り込み詐欺を行った。詐欺であり、御社を訴えるつもり。〇〇は話し合いから逃げ回り、話にならないので本社に電話をした。話し合いに応じいるつもりなら訴えるのは待ってやってもいい」
また、北陸の地方支店には次のような電話が入ったようです。
「御社の〇〇(私のこと)が、私の友人である派遣社員から仕事を紹介したことのキックバックマージンを貰っているようだ。その額がどんどん非常識な金額になっていくので代わりに私が相談にのっている。〇〇は話し合いから逃げ回り、話にならないので、ホームページで目に付いたこの電話番号に電話をした。会社として然るべき対応をしてほしい」
さらには九州の地方支店には次のような電話が入ったようです。
「私の友人の女性は御社の派遣社員として働いているが、御社の〇〇(私のこと)が担当営業で、頻繁に連絡をとっては面談だと言って会う機会を作り、いやらしい目つきや言葉を浴びせたり、手を触ってきたりといったセクハラを繰り返しているようだ。〇〇は話し合いから逃げ回り、話にならないので、ホームページで目に付いたこの電話番号に電話をした。会社として然るべき対応をしてほしい」
これはひどい言われようです。
彼らの話が本当なら、私は派遣社員と共謀して金融業者から取り込み詐欺を行い、派遣社員に仕事を紹介する見返りにキックバックを求め、気に入った派遣社員を見つけてはセクハラを繰り返すという極悪非道な社員ということになります。
事実無根もいいところですが、事前に全国に周知をしていなければ、その火消しにかなりの時間をとられてしまうところでした。
3件のうち、本社に連絡に入った1件は録音ができているようで、非通知での着信ながら、のちのち何かしらの材料になりそうです。
事前の周知もあり、どの電話の相手に対しても「その件は担当の〇〇(私のこと)以外は何も答えないようにと全社的に指示が出ている。直接〇〇に連絡してほしい」という対応をしてもらえたようでした。
その甲斐もあり、その後再び闇金業者から連絡が来ることはないとのこと。
あとは闇金業者から私に直接電話がかかってくるのを待つばかりです。
闇金業者との3回戦
その日の夕方、ついに闇金業者から電話がありました。
電話が取り次がれると、どうやら前回の電話と同じ男性のようです。
- 前回はこちらの申し送りができておらず失礼した
- 前にそちらに連絡をした者が、言葉遣いが悪かったようで不快な思いをさせてしまったようで申し訳ない
- 電話で恐縮だが、その件をお詫びする
前回と打って変わり、殊勝な物言いです。
「謝り方がなっていない」などともう少しゴネてもよいのですが、すでに彼らにとっても私が「得体の知れない、何をされるかわからない相手」であることは伝えられていると感じ、これ以上本題と別のところで時間をとっても仕方ないと判断をしました。
ただ正直なところ、本社や地方支店の社員に私への誹謗中傷をされ、腹は立っていました。
すっかり社内で有名人にされてしまった鬱憤くらいは晴らさせてもらわなければ割に合いません。
- 以前のお詫びは承知した
- ただ、相変わらずあなた方は、自分たちの身分や名前を明かさない
- そのような人たちとどうして私は話をしなければならないのだ
すると電話先の男性は「田中と言います」と答えます。
- 田中さん、あなたは個人として私に電話をされているのか?法人としてか?
- 法人であれば会社名と電話番号を頂きたい。また会社のメールアドレスを頂けるか?
- メールアドレスのドメイン名でその法人が存在するか確認ができるし、通常法人のメールアドレスは@より前を名前にするものだから、tanaka @ドメイン名となるはずだ
- これまでのそちらとのやりとりから、今時点であなたを信用できないので、メールアドレスを頂き、送信ができることを確認後にやりとりをさせて頂く
田中と名乗る男性はかなりいらだった様子で、「個人として電話をしている。メールアドレスは持っていない。電話番号は話し合いが終わったら伝える」と答えます。
その答えに喜んだ私は次のように答えました。
- 個人としての連絡であれば、なおのことあなたと話す必要がない
- 金銭問題は個人間の話であり、我々の関与するところではない
- また、先日のあなたの話では「Nさんはおたくの会社の社員だから、雇用主であるおたくに責任がある」という話であったが、そもそもそのような責任はない上に、すでにNさんは当社の社員ですらない
- 仮に当社からNさんに支払う給与を差し押さえたりするのであれば、それは法的な手続きに則って行って貰えばよい話で、あなたと私が直接やりとりをする話ではない
田中と名乗る男性は「えっ!?」と呟きます。
おそらくNさんから当社を合意解約の上、退職したことを知らされていないのでしょう。
彼らもNさんに振り回されているのでしょうから大変だとは思いますが、反社会的な団体などに同情するつもりもありません。
私からひとしきり言いたいことを言うと、「では、失礼します」と言ったあと、一方的に電話を切りました。
話が長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。