【続編⑤】【派遣会社営業担当のトラブル対応報告】背中の刺青で周りを威嚇するQさんの対応報告

【続編⑤】【派遣会社営業担当のトラブル対応報告】背中の刺青で周りを威嚇するQさんの対応報告

←前編①   ←前編②   ←前編③

←前編④   →続編⑥   →前編⑦

→続編⑧   →続編⑨   →続編⑩

→続編11   →完結編12

背中の刺青で周りを威嚇するQさんが問題に

背中に大きな刺青が入っていることを指摘した途端、血相を変えて「刺青が入っていてなにがいけないのか?」と抗議をしてきたQさんですが、こちらの意図が「職場では刺青を隠す努力をしてほしい」ということであることがわかると、異論はないようでした。

また、乱暴な口を聞いてきたQさんに怯むことなく、このタイミングで「上司に生意気な口をきくな」と先制攻撃をしたことで、会話の中で徐々に上下関係ができてきており、この流れで一気に「反社会勢力との現在進行形の付き合いがあるか否か」の確認を試みます。

Qさんとの面談

正直、刺青が入っているような方にプロジェクトで働いて欲しくないというのは本音ですが、刺青入っていることだけでは雇用契約を無効にする理由にはなりませんし、職場やお客様先では目立たないように工夫をしてもらえばいい話です。

ただ、普通の人生を送ってきて、背中一面の大きな刺青を入れようという発想にはなかなかならないはずです。

小さなタトゥーぐらいならまだしも、マネージャーから話を聞くぶんには立派な「和彫」だといいます。

ファッションで刺青を入れたというわけでもないでしょうから、どうしても過去・現在・未来に渡っての反社会勢力とのかかわりが疑われるのです。

仮に反社会勢力との現在進行形のかかわりがあれば、就業規則に則って、なんらかの懲戒処分が必要です。

その懲戒処分自体にはなんの問題もありませんが、Qさんがそれを不服とした場合に労務トラブルとなったり、処分を不服として過激な反応にでるといった懸念も捨てきれないのです。

慎重に言葉を選びつつ、Qさんに話しかけました。

  • 職場内では刺青が目立たないように工夫してもらう程度で結構だが、お客様先では刺青が見えないように最新の注意を払って欲しい
  • 肌着などで刺青自体を見えないようにするか、お客様先では必ず上着を着用するなどの対策をお願いしたい
  • 一般的に、営業に来た営業マンの背中に大きな刺青が入っていたら驚くだろうし、「なにかおかしなことをされるんではないだろうか?」と不安になるもの
  • Qさんの考えは考えで尊重すべきだとは思うが、我々営業マンは「お客様ありき」なので、一般的な受け止めに沿って行動すべきだということを理解してほしい
  • 仮にお客様先で刺青が知られてしまい、なんらかの指摘があった場合に、Qさんに引き続き営業マンとして仕事をしてもらうことが難しく、プロジェクト内で事務職に職種変更になることを理解してほしい

Qさんは「わかりました」と了承してくれました。

続けて「反社会勢力とのかかわり」という核心部分に入ります。

これまでの会話のやり取りで、Qさんは私を上司として認め、ある程度の人間関係ができたという手応えがありました。

その手応えをもとに、これまでの形式ばった上司部下の関係から、少しカジュアルな雑談調の口調で話しかけました。

「お客様先や職場内での振る舞いについては理解を示してくれてありがとう」

「ところで、その刺青で結構苦労することも多いと思うけど、なんでそんな立派な刺青を入れることになったの?」

するとQさんもくだけた口調で答えます。

「僕、昔、空手やってて関東大会で優勝したことあるんですよ」

「当時の空手部の先輩が、その手の道に進んじゃって、流れで色々手伝わされてたら、なんか抜けられなくなっちゃって、その時に墨入れたんですよ」

「使いっ走りにされるだけで、もう食っていけない世界だから、その先輩とは連絡とらないようにして、今は普通のサラリーマンしようと思ってるんです」

「ただ職歴もあるようでないし、墨が入っていると、なかなかちゃんとした仕事につくのが難しくて苦労してます」

Qさんの話を聞くと、今現在は反社会勢力とのかかわりはないようです。

どこまで本当かはわかりませんが、今は心を入れ替えて真面目にサラリーマンをしようと考えているのであれば、できるだけ支援はしてあげたいものですが、その見極めは仕事でのかかわりの中で徐々にしていきたいと思います。

狙い通りに話が聞き出せたところで、Qさんに釘をさします。

  • 私は刺青が入っているだけで不利益に扱うことは考えていない
  • 今、話を聞いて安心したが、現在進行形で反社会勢力とのかかわりがあると、就業規則に基づいて懲戒処分を検討しなければいけなくなる
  • 昨今の世の中では、反社会勢力とのかかわりがあることは致命的なので、重々自覚をしてほしい

Qさんは同意をしてくれ、刺青が見えないように注意してもらうこと、反社会勢力とのかかわりがないかを確認するという面談の目的は達成することができました。

今後は、Qさんと交わした約束がしっかり守ってもらえるかということを検証していかなければなりません。

Qさんの上司であるマネージャーには経過観察を指示し、都度状況を報告するようにお願いしたのでした。

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

←前編①   ←前編②   ←前編③

←前編④   →続編⑥   →前編⑦

→続編⑧   →続編⑨   →続編⑩

→続編11   →完結編12