【続編⑥】【派遣会社営業担当のトラブル対応報告】背中に大きな刺青の入ったQさんの対応報告

【続編⑥】【派遣会社営業担当のトラブル対応報告】背中に大きな刺青の入ったQさんの対応報告

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Qさんが年配男性営業マンの胸ぐらを掴む騒動

Qさんにお客様先はもちろん、職場内で刺青が見えないように配慮してもらうこと、反社会勢力との現在進行形のかかわりがないかを確認し、かかわりがある場合は懲戒処分を警告するという、かなりハードルの高い面談を成功させてほっと胸をなでおろしました。

仕事ですからなんとかやっていますが、私生活でQさんのような刺青の入ったいかつい男性を見かけたら「君子危うきに近づかず」とばかりに逃げて回ります。

仕事だという割り切りは不思議なものです。

本来人見知りで、交友関係も狭い私が「営業マン」という役割を与えられることで、積極的に人に話しかけ、ときには厳しい交渉ごともできるようになったりするのですから。

そんな感慨に浸りつつ、安穏とした日々を2週間ほど過ごしていると、ある日の夕方、営業周りから続々と帰社してきた営業マンで騒がしくなり始めた事務所の一角で大きな怒鳴り声がします。

「ふざけんなこの野郎、コソコソ影で悪口言ってんじゃねーよ!!」

声の主を探すと例のQさんです。一体何事でしょうか?

Qさんのいる机の島に近づくと、Qさんが同じチームのMさんの胸ぐらを掴み、今にも殴りかかりそうな勢いです。

マネージャーが間に入ってなんとか止めていますが、ガタイのいいQさんの勢いを止めることはできません。

しかしこのまま殴り合い、というよりQさんが一方的にMさんを殴り続けるようなことになってしまえば警察沙汰になってしまいます。

一方的に責め立てられて震え上がっているMさんはさておき、エキサイトしているQさんを止めるのは至難の技。普通のやり方では難しそうです。

そこで意表をついてみることに。

事務所の立ち上げ時にいくつか購入した防災セット。

その中に防災用ホイッスルが入っていたのでした。

騒ぎの現場から一旦自席に戻り、足元の防災セットから防災用ホイッスルを取り出して現場に戻ります。

騒然とする事務所内で私も正気でなかったのかもしれませんが、頭をもたげたいたずら心を止めることが出来ず、Qさんの近くに忍び寄ると思いっきり防災用ホイッスルを吹きます。

ピーーーーー!!!!!

ホイッスルの大きな音が事務所に響き渡り、みんなビックリしてが私の方を振り返ります。

Qさんもあっけにとられた様子で私を凝視しています。

みんなからも凝視され、少し不安になりましたが、吹いてしまったものは仕方ありません。

ここは開き直るのが吉ということで、できるだけ平静を保ちながらQさんに話しかけます。

「事務所で喧嘩しないで」

「個人的な喧嘩なら外でやって」

「とりあえず、お互いの言い分を聞きたいからQさんから時間ください。会議室に来て」

「Mさんも後で話聞きたいから待ってて下さい」

呆気に取られる社員たちを尻目に私はどんどん会議室に歩いていきます。

追ってこないQさんを促し、2人で会議室に入りました。

Qさんとの2回目の面談

会議室に入ることにはQさんは冷静を取り戻していて、どうやらいきなり本題に入っても大丈夫そうな様子です。

「なんであんなことになったの?正しいか正しくないかは考えなくていいからQさんの考えを教えて」

Mさんの胸ぐらを掴んで、今にも殴りかかりそうだった経緯について質問をします。

  • この前の所長(私のこと)とマネージャーとの話し合いの後から刺青が目立たないように肌着を黒いTシャツにしたりしてして工夫をし、なるべく周りに迷惑をかけないようにと思っていた
  • Mさんはマネージャーと親しいようで、この前の面談の内容をある程度聞いているよう
  • ここ数日、Mさんと別のチーム含めた数人の社員が自分の陰口を叩いているように感じていた
  • さっき揉めたのはMさんと隣のチームの社員が自分を見ながら小声で「ヤクザあがり」とか「チンピラ」とか言っているのが聞こえたから
  • 胸ぐらを掴んだのは悪かったかもしれないが、ひどい悪口だと思ったので反省はしていない
  • 会社として問題になるなら解雇してもらって構わない
  • Mさんとは個人的にカタをつける

事情はだいたいわかりましたが、最後の「Mさんと個人的にカタをつける」というのはずいぶん物騒な話です。

Qさんの話を聞きながら、私は頭の中で対策を考えていました。

  • Qさんに一方的に非のある話でもないため、両者の話を聞き、間に入って仲裁をはかる
  • とはいえ、暴力をふるったことは事実であり、QさんからMさんに謝罪をさせる
  • MさんがQさんに陰口を叩くに至った経緯には、マネージャーが面談での情報を漏らした可能性があり、マネージャーへの確認とともに、事実であれば厳重注意と降格を検討する

今後の段取りを頭の中で組み立てつつ、Mさんにこう話しました。

「事情はわかったから、Mさんやマネージャーにも話を聞いて、私が間に立つよ」

「どちらが正しい正しくないはわからないけど、Qさんが手を出してしまっている以上、Mさんに謝罪はしないといけないと思うから、それだけは理解して」

「とりあえず今日はもう帰って、明日また普通に仕事に来てください」

Qさんは腑に落ちないような顔をしつつも、会議室を出ると帰宅して行きました。

さて、次はMさん、それにマネージャーです。

本人たちへのヒアリング次第ですが、もし本当にマネージャーが先日の面談内容をMさんに漏らし、それをきっかけに今回の騒動となったのであれば、個人的にはマネージャーを一番許すことができないのです。

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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