【続編⑦】【派遣会社営業担当のトラブル対応報告】背中に大きな刺青の入ったQさんの対応報告

【続編⑦】【派遣会社営業担当のトラブル対応報告】背中に大きな刺青の入ったQさんの対応報告

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Mさんと面談

QさんがMさんの胸ぐらを掴んだ騒動の対応で、まずはQさんからひとしきりのヒアリングを終えました。

どちらの味方につくつもりもありませんが、真面目に働いているQさんにMさんが「ヤクザあがり」「チンピラ」などと聞こえがしに陰口を叩いていたのであればずいぶん失礼な話です。

また、その話のきっかけが先日のQさんとの面談に同席したマネージャーがことの経緯をMさんに面白おかしく話したというようなことであれば、マネージャーには然るべき対処をしなければなりません。

Mさんと面談

Qさんを返した後に、まずはMさんを会議室に招き入れます。

Mさんは50代前半の男性で、営業経験豊富、しかも今回の保守サービスと類似したサービスの営業経験もあるということで採用をしたのでした。

面接では営業マンらしい要領の良さを感じられる語り口で、仕事をお任せすれば結果は出してくれそうだなと感じさせつつも、世の中を斜めに見ているというか、頑固というか、一筋縄ではいかない印象もありました。

自分の半分ほどの年齢のQさんに聞こえがしに陰口を叩くなど、いかにも彼のやりそうなことだと思いつつ、とはいえ決めつけるのは良くないと自分を戒めつつ、面談を始めました。

  • 先程のQさんとの騒動はなにが原因だったのか?
  • 胸ぐらを掴まれているところまでは確認したが、怪我はないか?

MさんはQさんに食ってかかられていた時の狼狽ぶりとは打って変わって、憮然とした表情です。

私を睨みつけるような様子で次のように言いました。

  • Qがなんの理由もなく、いきなり襲いかかってきた
  • なぜ、あなたはあの騒ぎの時に警察を呼ばなかったのか?
  • 私は暴行を受け、それを見逃したあなたは監督責任を果たしていない

鼻息荒く私に詰め寄ってきます。

これはQさんなんかよりよっぽど癖がありそうです。

まぁまぁといなしつつ、私は話を続けます。

  • Qさんが理由もなく襲いかかってきたというが、Qさんはあなたから屈辱的な侮辱を受けたと言っている
  • このことに心覚えはないか?

Mさんは苦虫を噛み潰したような表情で答えます。

  • いきなり暴力を振るうような奴の言うことを信じるのか?
  • あんな大きな刺青の入った奴を採用して一緒に働かせるなんて、管理者としてなにを考えているのか?
  • この暴力事件は彼を採用したことで起こるべくして起こった
  • この暴力事件のことはこれから警察に相談する
  • Qもそうだが、事件が起こるような環境を作り出し、さらには事件を傍観し、Qに対してなにも対処をしなかったあなたにも然るべき方法で訴え出る

Mさんは自分の立場を有利にするため、次のような論陣を張りました。

  • 刺青が入っている人物=反社会勢力
  • そのような人物を雇うこと=管理監督責任を果たしていない
  • そのような人物を雇うこと=今回の暴力事件の遠因である

正直、Qさんを雇ったときには刺青のことはわからず、わかっていれば採用はしませんでした。

蓋を開けたらわかったことですが、刺青が入っていることだけでQさんを解雇をすることはできません。

しかもQさんは真面目に仕事をしており、今回の件がQさんの言う通り、Mさんから「売られた喧嘩」なのであれば、騒ぎは必然ではないのです。

Mさんは今回の騒ぎを「暴力事件」としてQさんを警察に通報するとともに、どういった方法かは知りませんが、「然るべき方法」で私をも訴えるといいます。

このように「訴える」などと言われた際の私の対応は一貫しています。

「止めもすすめもしない」と言うことです。

訴えるも訴えないもその人の権利ですし、止めることなどできません。

1番良くないのは訴えを踏みとどまらせようとすることで、負い目もないのにこちらが不利に立ってしまうことなのです。

私はMさんに毅然と言い返しました。

  • 私は両者の話を聞いて判断をするだけ。どちらの味方ということはない
  • Qさんに刺青が入っていることだけを取り上げて不利に扱うつもりもない
  • Mさんに職場で暴力をふるったことに関しては後々処分を行うつもりでいる
  • ただ、暴力をふるったこと、そうなるに至った経緯は個人間の問題
  • Mさんは警察を呼んで事件化することを考えているなら、私は止めもすすめもしない
  • この件に関して監督責任はないと理解しているが、納得がいかなければ訴えればいいと思う
  • Qさんも「Mさんとは自分でカタをつける」と言っていたから、Mさんとの個人間の問題だと思っているのだろう
  • 私は気を利かせてMさんとQさんの間に入るつもりだったが、Mさんが不服であれば、個人間で話し合ってほしい
  • その場合は、監督責任を果たすために、職場での話し合いはしないでほしい

Qさんが「Mさんとは自分でカタをつけると言っていた」という辺りから、明らかにMさんの表情が青ざめていきます。

私は彼の張った論陣は取り合わず、「Qさんとのいざこざは個人間の問題だから、個人間で話をつけてくれ」と言い放ち、「不満があれば警察でも裁判でもすればいい」と突き放しました。

極端なことを言う相手と交渉をするときに、相手の言う極端な主張や条件を汲んで話をしようとすると大抵失敗するのです。

それは相手が得意な土俵で戦うことであり、出鼻から不利だからです。

であれば、こちらも極端とも言える主張や条件を出すことで交渉の目線を同じにするしかないのです。

「Qさんとのいざこざは個人間の問題だから、個人間で話をつけてくれ」というMさんの主張とは全く相容れない主張をした上で、「QさんもMさんとは自分でカタをつけると言っていた」とMさんの不安を煽り、さらには「気を利かせてMさんとQさんの間に入るつもりだったが、Mさんは不満なようなのでやめた」とMさんの逃げ道を奪うことで、完全に私が有利な展開になりました。

怖気付いたMさんは、少しづつ主張を変えてきます。

  • どうして職場で起こったトラブルなのに管理責任がないのか?
  • 警察を呼んだり、訴えたりといった荒事にはしないから、管理者としてなんとか解決をしてもらわないと困る

「警察を呼んだり、訴えないでやるからなんとかしろ」という意味合いならば、ずいぶんと都合の良い話です。

私は次のように突き返してやりました。

  • 先ほども話をした通り、今回の件は個人間の問題であり、管理責任はないと思っている
  • 管理責任を果たすという意味では、今後も同様の揉め事が職場で起こらないように、個人間の問題解決は職場外でやってほしい
  • 警察を呼ばないとか、訴えないということを理由に、私が何かアクションをすることはない
  • 大の大人同士で話したことなのだから、お互い自分の発言には責任を持とう。これ以上話はないのでご帰宅頂いて結構だ

Mさんはこれまでも、先程のような調子で自分の主張を無理矢理に通してきたのでしょう。

思うように話を進められず、悔しそうにしながらも、自分の張った論陣に足を絡められて主張を通すことはできませんでした。

次はマネージャーと話をし、ことの真相を確認した上で問題解決に入りたいと思います。

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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