【完結編12】【派遣会社営業担当のトラブル対応報告】背中に大きな刺青の入ったQさんの対応報告

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Mさんとの2回目の面談

「わかりました・・・先に私がQさんの気に触るようなことを言ったかもしれません」

Mさんから発せられたのは自らの非を認める言葉でした。

「言ったかもしれない」という言い方にMさんの卑怯さと、これまで否定し続けた以上、引っ込みがつかないという心境を感じられましたが、このニュアンスをぼやかしたままにしておき訳にはいきません。

しかしMさんの性格を考えると「言ったかもしれないと言うのは、Qさんを侮辱するようなことを言ったのか言わないのか?」だとか、「これまでずっと嘘をついていたのか?」と言うように追い詰めても逆ギレをされ、話が元に戻ってしまうだけではと懸念しました。

ここは少し攻め方を工夫してみましょう。

  • いまの発言から私はMさんの考えを次のように理解した
  • Qさんとの騒ぎの前に、MさんがQさんを侮辱する発言をし、それが引き金になってQさんが激昂したと認めた
  • 胸ぐらを掴むという暴力行為と受け取られることをしたQさんに非が大きいが、そのきっかけを作ったMさん自身にも非があると認め、Qさんとの和解のために私に間に立ってほしいと希望している
  • このような私の理解に間違いはないか?

「わかりました・・・先に私がQさんの気に触るようなことを言ったかもしれません」という発言だけでは一足飛びな私の理解ですが、Mさんのような人物には自分に都合の悪いことを認めさせるにはイエスかノーの二択で示した方が話が早いと感じたのでした。

するとMさんは答えます。

「そうです、おっしゃる理解でいいです」

このまま話を進めても構いませんが、これまでのMさんとのやりとりを考えれば多少の意地悪は許されるのではないでしょうか?

「であれば、私に何か言うことがあるんじゃないでしょうか?」

苦々しい表情でMさんは言いました。

「お手数おかけしますが、Qさんとの間に立ってください。よろしくお願いします」

和解の場を設定

朝からQさん、Mさんとのハードな面談を終え、1日の仕事を終えたような気持ちです。

しかし今回の件の決着にもう一山ふた山あるのです。

鉄は熱いうちに打てと言いますから、早々にQさんとMさんを和解させなければいけません。

マネージャーも同席をさせ、会議室にQさん、Mさん、私の4名が集まりました。

まず私が話を切り出します。

「昨日の騒ぎの件で、私はそれぞれの社員と話をし、大体の状況の理解をしました。」

「私の理解はお互いに非のあることでもあり、お互いに謝罪をすることで和解をして貰えばと思っています」

「二度と同じようなことがないよう、それぞれにお話をした改善頂きたい点については、重々認識を改めてください」

「では、年長ということでMさんからお話頂けますか?」

するとMさんが話し始めます。

「今回は私が余計なこと言って、騒ぎの発端になってしまいすみませんでした・・・」

Qさんもそれに応じて話し出します。

「僕も何を言われたとしても暴力をふるってしまったのはよくなかったのですみません」

一応、お互いにお詫びをしあった形になりました。

これ以上いろいろ話をさせると、また余計ないざこざになりかねません。

「ではお互いにお詫びをしてもらったところで和解という理解でよろしいですか?」

2人とも頷いて答えます。

続いて私から今回の騒ぎを受けての会社としての対応について説明をします。

  • 今回の騒ぎではQさん、Mさん両者に非があったと考えているが、激昂して胸ぐらを掴むという社会人としてあり得ない行為をしたQさんに非が大きいと考えている
  • よってQさんはチーム配属を行わず、しばらくは私の直属の部下とする
  • 本件は本日の夕礼で全社員に発表する

とりあえずこれで一件落着となったでしょうか。

今回Qさんだけでなく、マネージャーやMさんとのかかわりが増え、いろいろな課題点があることがわかりました。

30人からの営業マンがいれば、他にもクセのある人はたくさんいるに違いません。

完璧な人間などいませんから、欠点も程度の問題ですし、減点方式でいちいち人材の入れ替えをしていたのではきりがありません。

私は過去に痛い目を見た経験があるのです。

今回のような外部人材を集めた営業代行プロジェクトで、モチベーションやスキル・習熟度などを定期的にチェックし、3ヶ月の契約期間ごとに見劣りがする人材を入れ替えていきました。

結果は次のようなものでした。

  • 減点方式の評価なので社員達のモチベーションが上がらない。また減点を恐れて挑戦をする人が出てこない
  • 成果が出ない=人の入れ替えという運用のため、育成という概念が育たず、社員たちが個人商店のような考えに陥る
  • できる人、できない人の差が広がり、その差を埋める努力をするきっかけや方法がないために、できる人しか残らない自転車操業に
  • できる人たちが発言権をまし、プロジェクト運営が困難になる

「成果主義」とか、「結果が全て」などといえば格好良く聞こえますが、結局そんなに簡単なものではないのです。

育成の概念がない営業拠点で、それぞれの営業マンがあげた成果はその営業マンの自助努力であったり、過去の経歴の中で得た知見を食いつぶしているに過ぎません。

そこにマネジメントの努力は無いのです。

辛抱強く社員と向き合い、同じことを何度でも繰り返し伝えていく。

そんな地道な努力こそがマネジメントに求められますし、社員たちもそういったマネジメントの姿勢を注意深く観察しています。

そんな努力が定着したときに、はじめてマネジメントの責任者の名前を冠にした「・・・イズム」と言われるような文化が定着するのです。

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