【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】ネットワークビジネスに熱心で、職場内でも勧誘してしまう派遣社員Fさんのクレーム対応

【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】ネットワークビジネスに熱心で、職場内でも勧誘してしまう派遣社員Fさんのクレーム対応

私の担当派遣社員として派遣先のV社に勤務してくれている30代女性のFさんですが、職場内の同僚にネットワークビジネスらしき商品の営業や、仲間を増やすような勧誘をしているのでやめさせてほしいという派遣先からのクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

クレーム経緯

●派遣社員FさんはV社で半年前から倉庫内業務で就業している

●スタート当初は明るく人懐っこい性格で、同期10名を引っ張ってくれるムードメーカー的な存在で期待していた

●倉庫業務の実務は効率よく作業することができ、群を抜いて優秀

●就業開始から2ヶ月ごろに、派遣社員Fさんの同期の女性から急な退職の希望があった。ヒアリングをすると、名前は言わないが同期の1人が健康食品などを扱う、いわゆるネットワークビジネスを手掛けており、商品を買うように持ちかけられたり、一緒にビジネスをしないかと何度も勧誘され、強く断ると人間関係がギクシャクし、働きづらいので辞めたいとのことであった

●誰が勧誘をしているのかを突き止められないまま、3ヶ月目には同期の中で次の退職者がでた。同じようなケースで、詳しく聞いてみると勧誘をしてきたのは派遣社員Fさんだという申告があった

●残る同期メンバーはほぼ全員勧誘を受けており、勧誘に同意した人が就業を続けているといった状況で、ネットワークビジネスをベースに派遣社員Fさんと同期メンバーの間に上下関係のようなものができていて、その中に入れないと、何をされるわけではないが、仕事をしづらく、退職を申し出たとのこと

●派遣社員Fさんは優秀で手放しがたい人材ではあるが、派遣社員Fさんが理由でさらに退職者がでたり、同期以外にも勧誘の手を広げるようであれば、組織運営にかなりの悪影響なので、すぐに人を入れ替えて欲しい

対応のポイント

派遣社員への対応のポイント

まず、副業は法律で禁止されておらず、副業を禁止する根拠は就業規則となります。

私の勤める派遣会社では派遣社員向けの就業規則に副業禁止の規定がなく、副業を行うこと自体は注意することはできません。

そのような背景を踏まえ、今回の派遣社員Fさんへの対応のポイントは次のようになります。

  1. 就業規則で副業は禁止されていないが、V社での就業時間中にネットワークビジネスの勧誘を行うことは、V社への派遣を前提にした有期の雇用契約を守っていないと解釈でき、就業時間中の勧誘行為は禁止・注意ができる
  2. 就業時間外の勧誘については、勧誘された側の苦情があれば、その苦情を伝えるという形で注意をすることができる
  3. ネットワークビジネスの勧誘を行なったことで雇用契約を途中で解約することは難しいという前提で対応する
  4. 派遣登録時の職歴に、ネットワークビジネスの記載があるかを確認する。記載がない場合や、それをごまかすような記載であった場合、職歴詐称となり、こちらに1つ攻め手が得られる

派遣先への対応のポイント

  1. 前述の通り、当社の就業規則では副業自体は禁止できないため、ネットワークビジネスの勧誘が就業時間内に行われたのか、就業時間外に行われたのかによって対応が異なることを伝える
  2. 今回、申し出のあった2名の同期の方々がどのタイミングで勧誘を受けたのかを確認する
  3. 本人への注意を、裏付けを持って行うため、実際に勧誘を受けた同期の方から、Fさんがネットワークビジネスの勧誘を行なったことを示すメールやパンフレットなどの物証をお借りするといった協力を頂けないかをお願いする

対応経緯

派遣先へのヒアリング

経緯を確認する限り、Fさんはネットワークビジネスの経験は豊富なようで、押しも強く、ネットワークビジネス特有の人を組織化する力も長けているようです。

つまり海千山千の手強い相手である可能性が高く、なんの準備もなしに立ち向かうことは危険です。

Fさんへの注意を裏付けのあるものにすべく、対応のポイントを踏まえ、派遣先と打ち合わせをしました。

まず勧誘を受けたという同期の2名(Aさん、Bさん)について派遣先から詳細をヒアリングしました。

  • Aさんは勤務時間の作業でペアを組んで仕事をしている時に何度かネットワークビジネスの勧誘を受け、仕事が終わってから会いたいというので職場近くのファミレスで会い、数時間勧誘を受けたが断った
  • Bさんは帰宅する際の職場から駅までの間で複数回ネットワークビジネスの勧誘を受け、それとなく断り続けている

2人の話からすると、就業時間内、外ともに勧誘を行なっており、2人とも退職してしまう、退職を考えるほど迷惑をしていると確認できました。

メールやパンフレットなどの物的証拠については、「逆恨みでもされたら怖い」という理由でご協力は頂けませんでした。

少なくとも2名分の証言は得たので、それをもとにFさんと面談を行うことにしました。

派遣社員Fさんへの対応

Fさんと面談を行い、まずは雑談的に仕事の状況などのヒアリングを行なった上で、お客様からのご指摘として次のような話を伝えました。

  • Fさんの同期の方から、「Fさんに、なんらかのビジネスに勧誘されて困っている」との苦情があった
  • 数名はそれが理由で、この職場で働くのが嫌になり、退職を検討したりしているほど深刻である
  • 派遣先がその方々に確認すると、就業時間中にも勧誘が行われたとのこと
  • また、就業時間外にも勧誘され、迷惑に感じているとのこと
  • 以上のようなFさんへの苦情があったが、心当たりはあるか?派遣先側からの一方的な話のため、私としてはFさんのお話も聞いて対応を考えたい

すると、Fさんはかなり感情的な様子で顔を真っ赤にして次のような話をまくし立てるように話しました。

  • そんなことは一切していない。事実無根だ。名誉毀損で訴える
  • 何を証拠にそんなことを言うのか?証拠を示してほしい

かなり感情的な様子に、私としては意外でした。

つまり、もっと海千山千の方なら冷静に最も利のある受け答えをするのだろうと思い、この段階で感情的になるFさんは、勧誘して手下にしたつもりの同期に裏切られたとか、職場や派遣会社にバレるとまずいと思っていたが、早くもそうなってどうしようとか、そういった怒りや焦りの感情が前面に出ているのかなと感じたからです。

これまで相手にしてきて手強いと思う相手は、大抵開き直って平然としていましたし、手下に裏切られるとか、職場や派遣会社にバレるなんて事は、あって当たり前の前提として物事を進めるようなしたたかさを感じたからです。

Fさんを見くびって下手を打つようなことは避けたいので、油断はしないように自分に言い聞かせながら、Fさんに次のようにお話ししました。

  • 派遣先からのこの話が、事実無根なのかどうかを確認するためにFさんのお話を聞いている
  • 今のお話だとFさんとしては事実無根と考えていると確認した
  • どこまでが事実で、事実でないのかを教えてほしい
  • 証拠というが、それがないので、どちらが本当なのか、もしくは両者のどこからどこまでが本当で、誤解なのかを聞くために今会話をしている
  • 名誉毀損で訴えるというが、個人の権利なので止めも勧めもしない

以上のように話すと、Fさんは顔を真っ赤にしたまま、「そんなことを話す必要はない。今は業務の時間なので、そんな話をするのはおかしい。面談なんてしない。」と言います。

続けて次のようにFさんに伝えました。

  • 確かに今は業務時間だが、派遣先には了解を頂いて面談をしている
  • この時間分も派遣会社である当社は派遣先からお支払いを頂き、当社はFさんに給与を支払う
  • つまり、この面談は業務であり、常識的な範囲でFさんは面談に応じるべきものだと考えている

というと、Fさんはその言葉を無視して席を立ち、職場に戻ってしまいました。

派遣先への報告

Fさんとの面談を終え、派遣先に顛末を報告しました。

  • 同期の方々へのネットワークビジネスの勧誘について全面的に否定した
  • かなり感情的な反応があったが、狡猾さは感じなかった
  • 名誉毀損で訴えるとの話があったが、おそらく言っているだけと思われる
  • 業務としてこの面談を行うという説明をしたが、面談途中で勝手に席を立ってしまい、業務の一方的な拒否と判断される

派遣先は名誉毀損云々で不安なご様子でしたが、ご本人の判断次第であり、どうすることもできず様子を見るしかないとお伝えしました。

また、本日この後に再度Fさんを呼び出しても建設的な議論はできないだろうと思い、明日また出直すことをお約束しました。

翌日の出来事

翌日、再度職場でFさんと面談を予定していましたが、朝一番で派遣先より連絡があり、Fさんが出社しておらず、Fさんの個人用のロッカーが半開きになっていたので確認をしたところ、入館証などの貸与物一式と、退職しますとのメモが置いてあったとのことでした。

その後、Fさんに連絡を取り続けましたが、全く連絡が取れず、連絡が取れないまま雇用契約の満了を迎えました。

社会保険関係の書類は返送されてきて、退職の手続きは完了しましたので、この件は解決と判断しました。

私のホンネ

もうひとモメあるかなぁと考えていましたが、以外にあっさりとした幕切れでした。

考えてみれば、Fさんとしては私と争っても、ネットワークビジネスを本業として考えた時にあまりメリットがないということだったのだと思います。

ネットワークビジネス系の派遣社員は、たいていひとしきり勧誘しきると突然辞めることが多く、引き際だと判断したのでしょう。

だいたいにおいて、親分というか、師匠筋の人がいたりするので、客観的なアドバイスがあったのかもしれません。

いずれにしても、ネットワークビジネス系の方は、職場内で勧誘してトラブルを起こしたり、勧誘し終えると短期間で辞めたりと、派遣会社にとってはあまりメリットのあれ働き方をしてくれないので、できる限り未然防止をしています。

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