【派遣会社で働く営業担当のための基礎知識】来期の基本契約更新に向けた業者選定はとにかく面倒・・・
派遣契約とは?基本契約とは?
派遣契約は「○○という業務をしてもらうために、○○というスキル・経験を持った人を派遣してほしい」という派遣先と、「○○というスキル・経験を活かして、○○の条件で働きたい」という派遣社員を、派遣会社が結びつけ、具体的にAさんやBさんにC社やD社で働いてもらうという契約です。
つまり派遣会社はマッチングビジネス(仲介業)をしていることになりますね。
そんな派遣契約ですが、それぞれの派遣契約は「AさんがC社で働くための契約」といった個別かつ属人的な契約のため、派遣先(お客様)と派遣会社の全体的な商取引を取りまとめる契約が必要になり、それを基本契約と言います。
基本契約では取引上の条件が色々と盛り込まれています。例えば請求・支払のサイクルや、トラブルがあった時の対処方法、暴対法の対応、個人情報保護など、内容は多岐に渡ります。
今回の話題はたいていの基本契約の最後の方に記載されている、有効期間についてのお話です。
基本契約の更新ごとに行われる業者選定
たいていの基本契約は1年毎の自動更新になっていまして、あまり意識をすることはありません。
ただ、大手企業との基本契約となると、そう簡単に行きません。
先方にはしっかりと総務部や購買部などがあり、各ベンダーからの供給価格がマーケットから見て適正なのか?さまざまな法改正に対応した適法なものなのかをチェックするために、また、自社の要望に耐えられるベンダーであるかを確認するために、基本契約を更新するか否かを選定します。
面倒くさい業者選定の実務
業者選定はRFP(Request For Proposal)ともいい、英語の意味通り、提案を要求されます。
具体的な内容は大体次のようなものです。
- 次の基本契約期間の、派遣社員の持つスキルや業務経験別、もしくは派遣先が任せたい業務内容別の料金案
- 全体の登録社員数や職種別の登録スタッフ数などの供給力の裏付けになる数字
- 提案先企業での実績(就業している派遣社員数)や、同業界での実績など供給力の裏付けになる数字
- 個人情報保護、情報セキュリティなどへの取り組み
- 提案先への営業的なサポート体制
- 提案先企業に対する、他の派遣会社と比べた優位性
まぁ、どれを取っても面倒臭いなと・・・
特に料金案は全国版を要求されますので、自分の会社の地方の営業所に確認して回らなければいけません。
料金案を作成する場合、地方の料金もたたき台となる金額をこちらが作ることが多く、文句を言ってくる社員もいなくはないので、なんらかの理屈が必要です。策定のポイントは大体次のようなことでしょうか。
- 前年度比較を前提に策定するので、前年比較のマーケット成長率や派遣時給の伸長率を勘案して、まずは軸となる首都圏の料金を増減させる率を決める
- 増減させる率を前年度料金に当てて、料金案をだす
- 営業担当や人選担当に料金案が妥当か感覚的に確認する
- 仮決めした増減率を全国の前年度料金に当てて、全国料金案をつくる
- 地方の関係支店に周知し、意見を募る
- すったもんだして、料金案確定
やったことがないと分かりづらいですが、泣けてくるほど面倒くさいです。
特に地方担当者から意見を募る辺りは、好き勝手なことを言う社員もいるので時間と手間ばかりかかります。
料金案に始まり、色々な情報や資料を社内各所から短い納期でかき集めて、やっとこさ業者選定資料が完成します。
提案先にもよりますが、プリントすると、厚さ10cm・・・
提出した後は、日を改めて提出先にプレゼンしに行かなきゃいけないんです。
資料に書いてあることを話すだけなんで、儀式みたいなものなんですが。