【続編⑤】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】仕事中にふらっといなくなる派遣社員Fさんのクレーム対応

【続編⑤】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】仕事中にふらっといなくなる派遣社員Fさんのクレーム対応

←前編①   ←前編②   ←前編③

←前編④

私の担当派遣社員としてJ社で1年以上働いてくれている30代男性の派遣社員Fさんですが、仕事中にふらっといなくなる事が多いということで、派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

対応経緯

派遣社員Fさんと2回目の注意面談

「1年経ってそろそろ辞めるつもりだからやる気がない」

要するにFさんはそう言っています。

そんな自分勝手な思いで派遣先や一緒に働く派遣社員の人たちに迷惑をかけているのかと思うと腹立たしい限りです。

ただ、ここだけの話としてFさんに問いかけた答えであり、この本音をあげつらって話を進めるのはルール違反だと感じました。

「・・・そうですか。それがFさんの本音なんですね」

「ここだけの話として話してくれたんだと思いますので、そのお気持ちを踏まえて今後の対応を考えましょうか」

まずはFさんに現状を正確に理解してもらうため、当社と派遣先であるJ社が今回の件をどのように理解しているかを伝えます。

  • 派遣先には前回の注意面談でFさんが強く反省し、二度と同じ業務怠慢を起こさないと約束してもらったと伝えていた
  • 今回、同じような業務怠慢が証拠付きで明白になったことでその約束が守られていないことが明らかになった
  • 当社とJ社は派遣契約という契約を結んでおり、派遣先にとっては「求めたスキル・経験を持つ派遣社員から労働力の提供を受ける」というサービスである
  • 「求めたスキル・経験を持つ派遣社員」であれば良いのであって、必ずFさんでなければいけないという契約ではない
  • J社は以前からのFさんの業務怠慢、今回証拠付きで明確になった業務怠慢を受けて、「契約通りにサービスが提供されていない」と憤っている
  • 「確実にサービスを提供してもらうために人を変えて欲しい」と言われており、当社としてそれを断る根拠がない

K係長には「今の契約満了まではいていい」とは言われていますが、前回あれだけ注意をしたのにこの始末ですから、いま時点でFさんに落とし所を伝えるわけにはいきません。

「今後どうするかはFさん次第だと思うんですよ」

「前回の注意面談で改善を約束してもらったのにこの状況ですすから、今後こうしていくと言ったFさんからの決意表明がなければ、そのまま仕事を続けていくということにはならないと思っていますし」

「先ほどお聞きした、そろそろ辞めようかと思っているという話もありますし」

Fさんに問いかけます。

「・・・それは辞めろってことですか?」

しばらく考えてからFさんが口を開きました。

「それは明確に違いますよ。今後J社で仕事を続けるなら、前回そして今回の業務怠慢を受けてこう改善をしていくという決意表明が必要だと言っています」

「Fさん、考えてもみてください。仕事中に同僚が突然いなくなって、近くの公園で寝ていたって考えられます?そのまま何食わぬ顔で仕事を続けられると思いますか?おそらく職場の皆さんもこの件を知っていると思いますよ」

私の指摘に珍しくFさんがテンポよく言葉を返します。

「だって今、そろそろ辞めようかと思っているという話もありますしって言ったじゃないですか?」

私はすぐに切り返します。

「それも違いますよ。辞めようと思っているから仕事に集中できないというお話だったじゃないですか」

「つまり、一度改善すると約束したのにそれを守れず、今回写真という言い逃れできない証拠付きで業務怠慢を指摘された中で、なんの改善の決意表明もないままに仕事を続けることはできないし、そろそろ辞めようと思っているから仕事に集中できない、モチベーションが低いということを許したままで仕事を続けてもらうことはできないと思っているということです」

「Fさんからの今後の改善案と、改めてモチベーションを持って仕事をしていくという言葉をもらわないと、これだけ不利な状況で派遣先にFさんが少しでも有利になるような交渉や調整はできないと思っているってことです」

「私の言っていること間違っていますか?」

Fさんを問い詰めるつもりはなかったのですが、現状認識の甘さに少し苛立ち、言いたいことを言ってしまいました。

逃げ場を失ってしまったFさんは無言になり、押し黙ってしまうのでした。

5分ほど沈黙が続きました。

「わかりました。この先続けるつもりもないし、辞めます」

想定した答えではあったので、Fさんに問いかけます。

「そうですか。辞めるとおっしゃいますけど、いつまでを想定されてますか?」

「もう、今日で辞めます」

Fさんのあっさりとした答えに少し拍子抜けしました。

いきなり退職となってはFさんの生活の問題もあるかと思い、せめて契約期間は満了させてもらえるよう前々から派遣先に仕込んでいたのです。

K係長からも「今の契約満了まではいていい」と言われていますし、勢いで物事を決めてしまわないように念押しをします。

「今日って、本当にそれで大丈夫ですか?生活もあるでしょ?」

「いや、今日でいいです。少しは貯金もあるし、バイトとかすればなんとかなるから」

まぁ、本人がそういうなら仕方ありません。

派遣先にとって人材派遣は「求めたスキル・経験を持つ派遣社員から労働力の提供を受ける」というサービスですから、派遣先が人員交代に関して異論を挟むことはできませんが、突然の人員交代となれば、当社も交代要員をすぐに手配できるものではありません。

本来は後任が用意できるまでFさんに勤務をして欲しいところではありますが、この経緯で退職日についてFさんとすったもんだするのは得策ではなさそうです。

私の本音

派遣先のK係長にはFさんの即日の退職をご納得いただき、後任をできるだけ早く用意するということでご納得をしてもらいました。

しかしFさん、そろそろ辞めようと思っていたとはいえ、仕事を抜け出して近くの公園で居眠りというのは随分大胆です。

「どうせ辞める会社」とどれだけ割り切ったとしても、私なら誰かに見つからないかとドキドキして居眠りなどできません。

この辺りの感性というかモラルは人それぞれで、なかなか普段のやり取りの中では読み取りきれないものなのです。

←前編①   ←前編②   ←前編③

←前編④