【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】勤怠不良の派遣社員Aさんのクレーム対応
最近、私の担当派遣社員として就業開始した30代女性の派遣社員Aさんですが、就業開始後早々の頻繁な欠勤で、派遣先担当者から強いクレームがありました。
その時の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
クレーム経緯
●派遣社員Aさんは7月初旬に新規に注力をしたい派遣先企業であるU社で就業を開始する予定であった
●就業初日に体調不良を理由に欠勤となったが、派遣先担当者に事情を説明してなんとかご納得頂き、次の日から仕切り直しての就業開始となった
●ただし、この派遣先では同時に5名の当社派遣社員が就業を開始する段取りになっており、派遣社員Aさん1人だけ1日出遅れたため、派遣先に悪印象を与えてしまった
●就業開始の翌週、水曜日になり派遣先から電話があり、「Aさんが今週月曜日から来ていない。朝の欠勤連絡の電話では体調が悪いとのことだが、どうなっているのか?こんな勤怠のままなら、もう来させないでほしい!」とのお叱りを頂いた
●月曜からの欠勤について派遣社員Aさんから当社への連絡はなく、寝耳に水の状況
●派遣先担当者からは「派遣社員の労務管理ができていないのではないか?」との重ねてのお叱りを頂くこととなってしまった
対応のポイント
このケースでは、次の2点についてAさんに非があります。
- 就業初日を迎えるにあたってきちんと体調管理をするべきであった
- 欠勤の場合は派遣先(就業先)だけでなく、派遣元(派遣会社)にも連絡をするべきであった
しかし派遣先企業からすれば、どちらも派遣会社の労務管理の範疇なのです。
就業初日から体調不良での欠勤、翌週からは月曜から水曜日まで欠勤と、スタートからまともに出勤のできていない状況では派遣先が怒るのも無理はありません。
Aさんからの報告がなかったのが原因とはいえ、当社もAさんの勤怠を把握できておらず、「雇用主としての勤怠管理ができていない」という点で、さらに怒りをかう事態となってしまいました。
まずは欠勤をしているAさんと連絡をとり、状況や考えを確認することが第一です。
早急にAさんと話をし、注意指導を行った上で、今後の再発防止策、またそれを踏まえた具体的なアクションについて報告をする必要があります。
対応経緯
欠勤中のAさんに何度も電話やメールをしますが、全く連絡が取れません。
仕方なく「早急に連絡を欲しい」ことをメールと留守電に残します。
とはいえ、このまま連絡が取れず、Aさんが明日出社するのか、しないのかもわからないまま放置しておくわけにもいきません。
そこで派遣先に連絡し、次のようにお願いしました。
- Aさんとまだ電話・メールで連絡がとれず、もし本日中に連絡が取れない場合は次のような対応させてほしい
- 明日出勤したら私が職場に出向いて面談
- 明日も出勤せず、連絡が取れないままであれば本人宅に訪問し安否確認と状況確認の上でご報告
担当者にはご理解頂き、引き続き連絡は待ちつつも明日を迎えることとなりました。
派遣社員Aさんとの面談
昨晩深夜にAさんからメールがあり、「明日は出勤できる」とのことでしたので、職場で面談をすることにしました。
まずは体調面の確認です。
顔色を見るに少し病み上がりの印象ですが、体調不良をおして無理やり出勤してきたというわけでもなさそうです。
一安心というところですが、就業開始からまともに出勤のできていないAさんに対して、派遣先は不信感を募らせています。
Aさんからこれまでの経緯や考えをヒアリングし、今後のアクションについてしっかり握り、派遣先にご理解頂かないと、AさんにこのままU社で仕事を続けてもらうことがままならなくなってしまうかもしれません。
病み上がりのAさんには申し訳ないですが、ここは強い態度で臨みたいと思います。
早速Aさんにこれまでの経緯を聞くと次のような答えがありました。
- 先週末から体調が悪く、欠勤をした月曜日に通院すると扁桃腺の炎症と診断された。
- 引き続き体調が悪いのと、感染する病気と聞いたので、回復するまでは欠勤したほうが良いと思い欠勤した
- 派遣会社へ連絡するのを忘れていた(派遣先に連絡すればよいと思っていた)
実際に少し辛そうに話しをされているので、まだ治りかけなのだと思います。
気持ち的に言いたくもありませんが、次のような注意を行いました。
- 事前に伝えたように、欠勤などの勤怠報告は派遣先(職場)と派遣元(派遣会社)の双方してほしかった
- 派遣先からは、「体調不良で仕方ないとはいえ、就業開始早々から勤怠が非常に悪いので先が思いやられる」とのお叱りを頂いている
- また、派遣会社としての労務管理(今回は勤怠把握)がされていないという点でもお叱りを頂いている
- 派遣先の立場からしたら当然の主張で、Aさんと私どもで現状の厳しい評価からリカバリーしていくしかない
- 具体的にはAさんの勤怠面の改善と、派遣会社としての改善への取り組みということが課題になると思っている
- まずはAさん自身として体調管理をきちんと行ってもらい、どうしても遅刻や欠勤をする際は必ず派遣先(職場)と派遣元(派遣会社)の双方に連絡をすることを約束してほしい
- また、私としてその取り組みを確認し、派遣先にAさんの改善への取り組みがなされていることをアピールするために、まずは今月一杯(2週間程度)、毎日通勤で自宅を出るときに私にメールをしてほしい
あまり頭ごなしに注意をしてしまうとふてくされてしまうこともあるため、「今後の就業継続のために一緒にできることをしていこう」という寄り添うようなスタンスでのやり取りを心がけます。
AさんはU社での就業継続を希望しており、そのためにしなければならないことと腹落ちをしているようでした。
派遣先への説明
Aさんとの面談のあと、すぐに派遣先担当者に時間をもらいます。
Aさんからの経緯説明をひとしきり報告するとともに、Aさんに行った注意についても報告し、一つ一つ実行していくことによって信頼を回復していきたいと説明し、一旦はご納得を頂きました。
また派遣会社として労務管理が行えていなかった点については、まずは今月中、毎日通勤で家を出る際にメールをもらって日々出勤確認をするという、いわば営業担当の「身を削った努力」の姿勢を見せることによって、こちらも一旦ご納得頂き、しばらく様子を見ようという話になりました。
私のホンネ
以前から営業をかけていた派遣先企業から初めて受注が貰えて、喜び勇んでなんとかかんとか就業開始までこぎつけた5名の派遣社員さんのうち、Aさんは一番聡明そうで、「この人が一番安心だな」と思っていたんですが、派遣社員さんでたまにいる、「優秀ですが、体調面に不安があり、勤怠が安定しない人」だったようです。
10数年派遣会社で営業をやっていますが、体調面の不安がある方の勤怠が改善したケースはあまりなく、おそらくAさんもそうではないかと覚悟しています。
派遣会社の営業担当から注意されると逆ギレする派遣社員さんは多いのですが、その点Aさんは素直に反省してくれてとても好感がもてます。
AさんもU社での勤務を望んでいるようですし、なんとか続けてもらえるといいのですが。