【続編⑥】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

【続編⑥】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてT社で2週間前に就業介した30代男性の派遣社員Kさんですが、色々な経緯の中で派遣先のT社を契約途中で退職したのに、なぜか貸与されている入館証を返さないという状況が続き、派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

対応経緯

「やっぱり辞めます。もう行きません」というKさんからの子供じみたメールで退職意思は明確に、証拠にのこるかたちで確認ができました。

そもそもあのままKさんが就業を続けていたところで勤怠が劇的に改善されるとも思えず、状況は悪化するだけに違いなかったのです。

Kさんからのメールを確認した後にすぐにT社のO部長に電話をし、1時間後に時間をもらえることになりました。

さて、O部長に会うまでもひと勝負です。

「Kさんからのメールをよくよく確認したら辞めますって書いてありました」

「なので今日から出勤はしません。すみません」

こんな営業担当は不要な存在です。

O部長は何を求めるのか?先読みをして準備を整えた上で商談に臨まなければならないのです。

  • O部長はKさんの勤怠改善に派遣会社としての対応を求めた
  • 毎日のKさんから私への出勤報告メールや、このまま勤怠が改善しなければ来月末の契約満了で終了をすることを前提に今週いっぱい様子を見ることを了承いただいた
  • 結果、Kさんから退職の意思表示があり、引き止める理由もない
  • Kさんが本来行うべきであったT社での業務は宙に浮いており、早々に後任を用意する必要がある
  • O部長との商談のポイントはKの退職ではなく、Kの退職の後始末と次の人選の段取りである

頭の中を整理した上で、上司に電話をかけます。

Kさんの勤怠不良の件は事前に報告をしてあったので話はスムーズでしたが、次のような点を重ねて伝えたのでした。

  • Kの件の信頼回復のために、なんとか次の人選の機会を頂き、間違いのない人材を紹介しなければならない
  • 今回の原因は当社の人選ミス。人選担当には別途連絡をするが、人選を妥協なく努力するようにはっぱをかけておいてほしい
  • O部長から後任人選を頂けた場合に、2週間という仕事を教えて終わってしまうような期間で辞めてしまったことに対するペナルティとして、Kさんの就業期間分の請求の減額や、後任の教育期間の請求の減額などの交渉をされる可能性がある
  • ひと段落ついたら謝罪の訪問に同行してほしい

O部長からの請求減額要求については実際のところ、そういった要望をしてくる可能性は少ないでしょう。

ではなぜそのような話を今の段階で上司に頭出しするのでしょうか?

  • Kさんのトラブルは完全に当社の人選ミスでありT社に責任はない。同じような適当な人選が行われないために、ミスマッチ人選によって実損が発生する可能性を伝え、人選担当にプレッシャーをかける
  • トラブル解決になんらかの「持ち出し」が発生することに神経質な上司に、あらかじめO部長が請求の減額といった強気な交渉をしてくる人物であるかのように脚色しておくことで、のちに発生するかもしれないなんらかの「持ち出し」に許可を取りやすくする
  • そのような強気な交渉をしてくると脚色されたO部長との折衝を問題解決できたという事実を作ることで私の評価を高め、のちのちの仕事をしやすくする

要するにトラブルに乗じた社内政治の下準備です。

社内にいる上司や人選担当には、なかなか派遣社員や派遣先とのやり取りの温度感は伝わらないものです。

淡々と結論だけを伝えるような仕事の仕方をしていると、どうしても「大したことはない」と誤解され、なんらかの持ち出しが発生した時にも後からの説明・理由づけが難航します。

先手を打って関係各所と合意を積み上げて行くことによって、自分の仕事が楽になり、ひいては労働集約型で拘束時間ばかり長いと言われる派遣営業の仕事でも余裕を持って取り組むことができるのです。

上司への頭出しを終え、重ねて人選担当に電話を代わってもらい、今回の一件を踏まえた後任人選のポイントを伝えます。

  • 今回のトラブルの原因は安易な人選によるミスマッチ
  • 後任人選のポイントは勤怠と確かな人間性
  • できれば当社の派遣社員として派遣先で就業をしてくれたことがあるような実績のある人材がいい

自ら裾野を狭めるような人選になりますが、トラブル解決のためには仕方のないことです。

前回の安易な人選を反省し、人選担当には汗をかいてもらいましょう。

派遣先O部長との再度の商談

もろもろの下準備を終え、O部長のいるT社に向かいます。

会議室に通され、話が始まります。

「部長、大変お恥ずかしい話なのですが、こちらのメールをご覧いただけますか?」

Kさんからのメールを画面をスクロールしながら見てもらいます。

「申し訳ありません。こんな子供みたいな人材を派遣してしまいまして」

「このメールでKからは明確な退職意思があったので、終了をさせて頂き、できましたら当社で後任となる人材をご紹介させて頂きたいのですが・・・」

Kさんからのメールを見て、あきれ返るO部長。当たり前でしょう、私もあきれ返りましたから。

「Kさんが退職の件はわかりました。あとは粛々と入館証の返却とか事務的な手続きをしてもらえば」

「Kさんにはあなたから強く言ってもらって正解だったのかな。あのまま改善の取り組みって言っても先が見えなかったし」

どうやらO部長も私と同じ考えだったようです。

「でも、Kさんの後任って言っても、Kさんと同じことにならないって確約できるんですか?私はKさんの件でのあなたの対応には満足しているんだけど、私の上司の本部長は派遣会社変えたほうがいいって言っていて、すでに声をかけ始めているんだけど」

想定した通り、他の派遣会社に声をかけ始めているようです。

大半の派遣先担当者は課長レベルが多いのですが、今回はたまたまなのかO部長。

部長ともなれば、その上司は本部長や役員レベル、バランス感覚が重要な役職である部長クラスは、きちんと上司に報連相をしているケースが多いようです。

O部長の上司にまで話が及んでいるのであれば、お願いベースのごまかしは聞きません。

私はできるだけ冷静にO部長に伝えます。

「かしこまりました。状況からして、他の派遣会社さんにお声をかけるというのは当然かと思います」

「当社としてはKと同じ事象が起こらない確証が持てる人材として、当社の派遣社員として当社のお取引先である派遣先で就業をしてくれたことがあるような実績のある人材だけご紹介をさせて頂きます」

「なんとか名誉挽回ができるように、チャンスを頂けませんでしょうか?」

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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