【続編11】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

【続編11】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてT社で2週間前に就業介した30代男性の派遣社員Kさんですが、色々な経緯の中で派遣先のT社を契約途中で退職したのに、なぜか貸与されている入館証を返さないという状況が続き、派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣社員Kさんの自宅に2回目の訪問

夏の盛りの夕暮れ、日が落ちてもまだ蒸し暑い住宅地。

大汗をかきながらなんとかKさんの自宅にたどり着くと、二階の窓から灯りが漏れています。

暗がりの中、まだ馴染みの薄いKさん宅の細い路地に分入って錆びて端が崩れ始めた階段を登り二階に行くのは少しためらわれます。

一階の工場の入り口あたりでKさんの携帯に電話をかけます。

電話をかけながら耳をすますと、かすかに着信音らしき音が二階から聞こえます。

数コール鳴らしたあたりで留守番電話のメッセージに変わってしまいます。

数回電話をしては留守番電話メッセージに切り替わるということを繰り返していると、その度にコールのできる回数が減っていくことに気がつきます。

つまりKさんが手動で留守番電話に切り替えているのです。

Kさんが自宅にいることを確信した私は、オフィスに電話をかけます。

事前にKさん宅に訪問することを伝えていた同僚に電話を変わってもらい、ヒソヒソ声で伝えます。

「あ、ごめん、忙しいところ。これからKさんの家に入るから、このまましばらく電話つないでていい?」

クレームやトラブルになれた私だって、怖いと思うことはあります。

普段のクレームトラブル対応は派遣先や当社のオフィス、せいぜい街の喫茶店で行います。

つまり衆人環視のもとで行われるのであって、お互い無茶はしないのです。

しかし今回のように仕方なく相手の自宅まで押しかけた場合、危険な目にあう可能性は高まるのです。

もしKさんが泥酔していたら?口論になって逆上して殴りかかってきたら?

女性の営業担当が男性の派遣社員の自宅に一人で行くことは論外ですが、男性の私であってもどんな目にあうかわからないのです。

オフィスと電話をつなぎながら、Kさん宅の二階に上がります。

恐る恐る木目の模様の薄っぺらい玄関ドアのチャイムを押しました。

ただ今時間は19時半、宅配業者でも無い限り、人が訪れるような時間帯ではありません。

先程Kさんの携帯電話に何度も電話した後のチャイムですから、もしかしたらKさんもうすうす私の訪問に勘付いているかもしれません。

このように派遣会社の営業担当から自宅に突然訪問されるという側のKさんはどのような気持ちなのでしょうか?

普通の感覚であれば、やはり自分のテリトリーに望まぬ人が訪れるというのは不快だし、不安なものでしょう。

「たかだか入館証を返せばいいだけの話なのに、何度も何度も電話やメールをして、自宅にまで訪問しているのにずっと無視して返事一つよこさないことに怒っているに違いない」

「感情的になって凄い勢いで怒鳴ってくるかもしれない」

そんなことを思っているのでしょうか?それとも嫌がらせに私の連絡を無視しているのだとしたら、むしろこの状況を楽しんでいる?

チャイムを押してもなかなか返事のない数秒、頭の中に色々な妄想が渦巻きます。

灯りは付いているのに、もう一度チャイムを鳴らしても反応がありません。

仕方なくオフィスにつないだままの電話で同僚にお願いをします。

「Kさん、自宅にいるようなんだけど、チャイムを押してもでないや。ちょっとオフィスからKさんの携帯電話に電話してもらえる?さっきコール音が鳴ったから」

私は少し強がって、室内にいるKさんに聞こえるような大きな声で同僚に話します。

すぐに同僚がKさんに電話をしてくれ、室内からコール音が聞こえます。

「・・・今電話したけど、すぐに切られたよ」と同僚。

これでKさんにはドアの向こうにいるのが私であるとはっきり伝わったでしょう。

「ピンポーン」

もう一度チャイムを鳴らし、反応をうかがいます。

数秒の沈黙のあとに、室内からゴソゴソと物音が聞こえます。

どうやらKさんが玄関に向かって歩いてきているようです。

もしKさんがここまでのやり取りに激昂し、包丁のような物騒なものを持ってきたらやっかいです。

私は三歩玄関から離れて、建て付けが悪いのかガチャガチャとノブを回して開こうとしている玄関ドアを見つめます。

「あーーー」

中から出てきたのは寝癖でボサボサの頭、ヨレヨレで首回りが伸びたTシャツにトランクスらしき下着のKさんです。

何を言ったら良いのかわからなかったのか、言葉なのかどうかもわからないような声を出しながらこちらに目を向けます。

「こんばんは。すみませんね突然お伺いして。全然連絡が取れなかったものですから」

私からの連絡を無視し続けたことを謝ってくるのか、それとも自宅に訪問してきたことに逆上してくるのか、Kさんのスタンスが読めない私はとりあえず下手に出ることにしたのでした。

さて、Kさんはどんな対応をしてくるのでしょうか?

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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