【続編12】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

【続編12】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてT社で2週間前に就業介した30代男性の派遣社員Kさんですが、色々な経緯の中で派遣先のT社を契約途中で退職したのに、なぜか貸与されている入館証を返さないという状況が続き、派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣社員Kさんの自宅に2回目の訪問

退職したT社の入館証を回収するためにKさんの自宅訪問2回目。

なんとかKさんに会うことができました。

寝癖でボサボサの頭、ヨレヨレで首回りが伸びたTシャツにトランクスらしき下着のKさん。

突然訪問をしてきた私にどんな反応をするのでしょうか?

「夜分突然にすみませんね。何度も連絡していたのに全く連絡が取れないのでT社の入館証を回収しに伺ったんですよ」

室内からの逆光でKさんの表情が読めません。

しばらく沈黙をした後、Kさんは口を開きました。

「あの・・・突然来られると迷惑なんですけど・・・」

「いや、こちらもKさんが入館証を返してくれないので困っているんですよ。今日この場で返却してくれれば済む話ですから」

私はKさんの言葉に被せるように話します。

「私も好きでご自宅に訪問をしているわけではないので、入館証を返却してくれば、Kさんが迷惑だと思うようなことは起こりません」

「いま、お返し頂けませんか?」

Kさんにここまでの労力をかけていることがバカらしくなり、腹が立ってきた私は畳み掛けるように話し、Kさんに詰め寄ります。

「入館証は捨てました」

え???

Kさんが驚くようなコメントを口にします。

「え?何で捨てるんですか?」

少し慌てた私はさらにKさんに詰め寄ります。

「いや、だってT社は辞めたし、その時点で捨てましたよ」

「事前に返却しろなんて言われてなかったし」

Kさんは一体何を言っているのでしょう?

しつこく電話やメール、自宅訪問をしてきたことに腹を立て、本当は捨ててもいないのに嫌がらせでそういっているのでしょうか?

しかしKさんにとってもそんなことは時間の無駄で、あまりにも意味のないことです。

「本気で言っています?私を困らせようと思って言っているのではなくて?」

私は信じられない思いで問いかけました。

「辞めますというメールを送った後にすぐに捨てましたよ。捨てるなと言われなかったし」

「自宅で捨てたんで、その日の朝のゴミ回収でもう家にはないです」

Kさんのいう通りであれば3日前にはゴミと一緒に回収され、焼却をされていることでしょう。

さすがの私もこんなケースは初めてです。どうしたものでしょうか・・・

T社 O部長向けの報告の仕方を考える

十数年続けてきた派遣会社の営業た担当の仕事ですが、派遣先から貸与される入館証の情報セキュリティー上の重要性が増したのはここ5〜10年くらいの話でしょうか?

私が20年近く前に新卒で入社したとある派遣会社の研修では「部署周り」という営業手法がレクチャーされました。

それは既に取引のある派遣先の担当者の机のところまでズカズカ入っていき、「いつもお世話になっています」というような挨拶を済ませたあと、「ぜひ隣の机の島の課長様をご紹介頂けませんか?」と別の担当者の紹介をお願いするというものでした。

つまり当時の職場は部外者である営業マンがなんの障害もなくズカズカ入っていけるような職場環境であり、声をかけられた担当者は気さくに隣の課長に営業マンを紹介するというようなことがあったということです。

非接触型のICカードや顔認証、静脈認証など、社員でさえビルの中に入るのも、さらにその中の職場に入るのも一苦労の現在では到底考えられないシチュエーションです。

個人情報保護法の施行から情報セキュリティーに関する世間一般の認識は徐々に厳しいものになりました。

企業側の認識の甘さがセキュリティインシデントに直結し、損害賠償や企業ブランドを傷つけ、損益にまで影響するようになっているのです。

T社は大手企業のグループ会社でもあり、情報セキュリティーに対する意識は非常に高く、それが仕組み化されています。

つまり、「当社の派遣社員であったKさんが入館証を一方的な退職と同時に捨てた」などという事態はT社や、当事者であるO部長にとっては受け入れがたく、心情的な問題だけでなく彼の評価に悪影響を及ぼしてしまうことなのです。

ただ、Kさんが入館証を勝手に捨ててしまったという事実は変えることはできません。

かたや既に自己都合退職の意思表示をしているKさんに入館証の破棄による当社とT社の取引上の損害賠償を求めるのも現実的では無いのです。

散々苦労してやっと面会したKさん、入館証を捨てたという事実ははらわたが煮えくりかえるほど腹立たしい思いですが、ここは気持ちを切り替え、「この事実をO部長に納得いただくための材料」、つまりは「O部長が社内的にこの事実を上に報告するための材料」を今のうちに揃えてしまわなければなりません。

Kさんと話しながらも頭をフル回転させて、対応策を考えるのでした。

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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