【続編13】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

【続編13】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてT社で2週間前に就業介した30代男性の派遣社員Kさんですが、色々な経緯の中で派遣先のT社を契約途中で退職したのに、なぜか貸与されている入館証を返さないという状況が続き、派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

対応経緯

T社 O部長向けの報告の仕方を考える

「辞めますというメールを送った後にすぐに捨てましたよ。捨てるなと言われなかったし」とT社から貸与された入館証を捨てたと開き直るKさん。

そんな嘘をついても仕方ありませんし、そもそも捨ててしまったからこそ「入館証を返してほしい」という私の連絡を無視し続けたのでしょう。

もう取り返しがつかないことをいつまでも引きずっても仕方ありません。

O部長が社内で入館証が破棄されたということを上に報告するための材料をできるだけ揃えるくらいしかできることはないのです。

O部長にはこの後に電話でお詫びとともに状況説明をし、改めて上司と同行して謝罪訪問に伺うとして、O部長が上司や関係者に入館証の紛失を説明するために必要なことはなんでしょうか?

それは第三者であるO部長の上司や関係者に状況を説明するための「顛末書」「経緯報告書」「始末書」といった当社から提出された書面です。

この手の書面には次のような内容が盛り込まれます。

  • 事象の当事者
  • 発生した事象
  • 事象の経緯
  • 事象の原因
  • 再発防止策

特に決まった書式はありませんが、企業が企業に提出する謝罪文ですからそれなりの体裁は必要です。

自宅まで複数回押しかけないと会うことのできなかったKさん、今後も私と満足に連絡を取ってくれるとは思えません。

やっとの事で会えた今のうちにやるべきことをやっておかなければいけないのです。

いまKさんに確認をしなければいけない事柄はなんでしょうか?

そう「事象の経緯」です。

すでにT社での派遣就業を終えているKさんですので、のちにT社が経緯報告の裏を取るようなことはありませんが、この手の書類では経緯報告部分に現実味がないとどうにも間の抜けたものになってしまうのです。

私はもう一つだけどうしてもKさんにやってほしいことがありました。

それは直筆の反省文です。

「顛末書」は企業が企業に提出するもの。どうしてもKさん本人の顔が見えない書類になってしまいます。

Kさんが入館証を捨てていたという事実は、まずO部長に受け止めてもらわなければなりません。

スタート早々からの勤怠不良で散々迷惑をかけた末に、私へのふざけたメール一本で逃げるように退職してしまったKさん。

その上、入館証を勝手に捨てていたとなれば、現場の責任者としてKさんの派遣を承諾したO部長は立場がないのです。

O部長が激昂するのは当然ですから、それを受け止めるのは私の役目とはいえ、謝ってばかりではなんの芸もありません。

Kさんの居場所をなんとか突き止め、入館証を勝手に捨てていた事実を突き止めただけでなく、彼に反省をさせ、一筆を取ったという事実がO部長を気持ちを沈めるのです。

派遣社員Kさんとの話し合い

「勝手に捨てたんですか・・・そうなると当社はT社からその件に関するなんらかの損害賠償請求を受けた場合、当社の顧問弁護士に相談してKさんになんらかの訴えを起こすかもしれません」

長く派遣会社の営業担当をしていると、頻繁に労務トラブルに見舞われます。

そんな中でよく言われるのが「弁護士に相談する」「然るべきところに訴え出る」「裁判で訴える」といったことです。

この手の主張に対して私の返答は一貫しています。

「個人の自由ですので止めもすすめもしません」

訴えるというのは自由、実際に訴えるのも自由、どういった結果が出るかは裁判次第です。

私の発言に少し怯むKさん。

「・・・好きにすればいいじゃないですか。俺は捨てるなって言われてないし」

相変わらず子供染みた屁理屈は健在です。

「わかりました。物別れってことですね。Kさんにご協力を頂ければ、T社の営業担当である私の判断で間を取ることもできたんですが・・・」

Kさんは少し考え込みます。

「・・・何ですか、間を取るって?」

さぁ、案外簡単にKさんが引っかかりました。

「いや、Kさんが勝手に入館証を捨ててしまったことは本当に憤慨してますが、Kさんはもう当社の派遣社員でもないし、T社にも勤めてませんから、あまり揉め事にしたくないと思ってるんです」

「ただ、当社の元派遣社員が派遣先の入館証を勝手に捨てたという事態は私どもにはかなりまずい状況で、T社に対して相応の報告の上で謝罪を重ねなきゃいけないんですよ」

「場合によっては先ほど言ったような損害賠償請求や、取引停止といった事態も考えられるんです」

「T社では他にも何人か当社の派遣社員が就業してくれているし、その人たちの働く場所を守らなきゃいけない」

「Kさんには悪いけど、KさんをT社に派遣してしまったのは当社の見る目がなかったと反省をする点だと考えて、Kさんを訴えるようなことはしないとしても」

「T社に対しての状況説明や謝罪のために経緯報告含めた始末書のようなものが必要なんですよ」

「それにはKさんからの状況説明がないと作れませんし、会社としての始末書だけでなく、Kさん自身からの反省文といったものも提出して許しを請いたいと思っているんです」

「協力してもらえますか?」

Kさんは自分の幼い行いが、結構な影響を及ぼすことを少し理解してくれたようです。

「・・・わかりました。どうすればいいですか?」

答えるKさん。

「着替えていただいて、近くの喫茶店に行きましょうか?」

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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