【続編16】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

【続編16】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】辞めたのに入館証をなかなか返さない派遣社員Kさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてT社で2週間前に就業介した30代男性の派遣社員Kさんですが、色々な経緯の中で派遣先のT社を契約途中で退職したのに、なぜか貸与されている入館証を返さないという状況が続き、派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

対応経緯

O部長への訪問に上司を同席させるか否か?

Kさんの自宅訪問、その後ファミリーレストランでKさんと膝詰めで深夜まで顛末書やKさん自身の反省文を作った後の疲れ切った体と心に鞭打って、なんとか送ったO部長へのメール。

その効果もあって朝一番のO部長との電話はスムーズに進み、当日午後13時になんとか訪問をする時間を頂いたのでした。

さて、この訪問、上司に同席をしてもらった方がいいでしょうか?それともまずは私一人で行ったほうがいい?

O部長にKさんが入館証を捨ててしまったことは伝えていますが、その事実に対するO部長の、もしくはT社としての対応は確認できていません。

私が一人で訪問すれば、先方の考えは確認できる。しかし当社としての謝罪の意を示すには私一人では役不足です。

T社のような大企業の子会社の役職者はたいてい親会社からの出向者であり、肩書きを重視する大企業の論理で動いていると判断するべきです。

そうなれば、今回のようなトラブルに一つの区切りがついた段階で、それなりの役職のある上司が同席するということは謝罪の意思を示すには大事なアクションになります。

反面、上司を同席させるタイミングを間違えると面倒なことになるのです。

先方からすれば「上司=ある程度権限を持った人物=責任を伴った結論めいた話ができる相手」と受け止めます。

T社の出方がはっきりしない中で上司が同席し、「Kさんが捨てた入館証に関する損害を支払って欲しい」とか「社員教育のなっていない御社とは今後一切取引はできない!」などと厳しい投げかけをされた時に、私の上司は徒手空拳で責任者としての発言を求められるのです。

いったん相手の出方を見極めた方が良いと判断し、午後のO部長への訪問は私一人とすることに決めたのでした。

O部長を訪問

さて、私一人で訪問をすることになりましたが、一人とはいえ子供の使いで帰ってくるわけにはいかないのです。

  • O部長への真摯な謝罪と経緯説明を行う
  • 本件へのT社の受け止め、今後のT社から当社への対応をヒアリング
  • O部長を味方につけ、出来るだけ当社が不利にならないよう配慮を頂く

ベテランの営業担当である私は、新人よりも付加価値の高い仕事をしなければいけません。

ペコペコ謝るなんて誰でも出来るのです。

当社の派遣社員が貸与された入館証を捨ててしまうという失態に対して、今後T社が当社に対してどのようなペナルティーを課すのかをできるだけ詳細にヒアリングすることは必須の仕事です。

この商談で私が目指すのは「O部長を味方につけること」です。

一番の被害者であるO部長を味方につけて、取引停止など当社が出来るだけ重大なペナルティーを受けることがないように配慮をしてもらうのです。

これまでの状況でそんなことができるのでしょうか?

いえ、私はそのために色々な段取りをしてきました。

Kさんの入館証回収までのプロセスをこまめに実況中継のように報告していたのも、昨晩Kさんと深夜ファミリーレストランで顛末書や反省文を作ったのも、帰宅途中にO部長にメールをしておいたのも、全てこのためなのです。

T社に到着し、O部長と会議室に向かいます。

O部長の上司である本部長が登場したらどうしようとヒヤヒヤしていましたが、この段階ではO部長に一任されているようです。

会議室に入るなり、私は「この度は大変ご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした」と精一杯の謝罪をします。

「まぁまぁ」と言いつつ着席を促すO部長。

「お忙しいところにお時間を頂きまして誠に申し訳ありません。まずは昨晩の経緯をご説明させて頂いてもよろしいですか・・・?」

O部長の様子を探り探り話しかけます。

「そうだなぁ、捨ててしまったという結論は変わらないから、あんまり細かく聞いても仕方ないのかな・・・」

低めのトーンで話すO部長。

このペースだと、O部長の中で何かしらの当社への対応の結論は出ているようです。

「・・・そうですか、かしこまりました。長々とご説明のお時間を頂くのも申し訳ないかと思い、まだ案ですが、経緯をまとめました顛末書を作ってまいりました」

O部長は私の差し出した顛末書に目を向けます。

「そうか、用意がいいね」

やはり苦労して顛末書を作っておいて正解でした。

T社は大手企業の子会社ということで社内研修が充実していると聞いたことがあります。

管理職向けの研修で必ず盛り込まれているのが先読み行動。

上司の言動から、部下として次に自分がとるべきアクションを先読みして実行するといったビジネスマンに欠かせない能力です。

部長クラスともなれば自身も先読みして仕事を進め、部下にもそういった仕事の仕方を求めます。

それはベンダーである私に対しても同じことなのです。

「昨晩、Kから経緯を詳細にヒアリングして要点をまとめました」

「今回の件は当社として重く受け止めておりまして、すでに雇用契約はないとはいえ、Kには厳重注意を致しました」

「すったもんだはありましたが、最終的には本人も素直に反省して、反省文という形にまとめました。なんの役に立つものでもありませんが、お目通しください」

顛末書と一緒に出さないことがポイントです。

カードは相手の反応を見ながら徐々に切っていくものです。

「そうか・・・そこまでやってくれたんだ・・・」

O部長の温度感が少し変化した兆しを感じます。

さて、O部長は当社にどのようなペナルティーを突きつけるのでしょうか?

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