【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「派遣先の社員から脅迫された!」と損害賠償を請求してくる派遣社員Jさんのクレーム対応

【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「派遣先の社員から脅迫された!」と損害賠償を請求してくる派遣社員Jさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてD社で就業スタートしたばかりの40代女性の派遣社員Jさんから、「派遣先の社員から脅迫された!」という訴えとともに、派遣先と当社を相手取って損害賠償を請求するというトラブルがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

クレーム経緯

●派遣社員Jさんは1週間前にD社で営業事務として就業を開始した

●少しおとなしい印象ではあったが、特に際立った個性もなく、常識ある「普通の人」という印象であり、派遣先担当者との雑談の中でも同じような印象であったことを確認している

●就業開始から1週間は、日々前任の他の派遣会社の派遣社員から引き継ぎを受けていた

●2週間目に入り、前任の派遣社員はJさんへの引き継ぎを終えて予定通り退職となり、引き継ぎを受けた内容やマニュアルをもとにJさん一人で一人称の業務が求められる

●Jさん一人体制での業務が始まった月曜日の午後一番に派遣先担当者より電話があり「Jさんに業務指示をしたところ、『そんな仕事はまだ一人ではできない。それでもやれというのは脅迫ですか!?』という反論があった。どう対処していいかわからず、とりあえずその指示は引っ込めたのだが、今後の対応について相談をさせてほしい」というクレームを受けた

対応のポイント

Jさんに業務指示をしたら「そんな仕事はまだ一人ではできない。それでもやれというのは脅迫ですか!?」という反論があったということですが、まだかかわりの薄い関係であるものの、数回Jさんと会った中では真面目そうでおとなしい印象で、とてもそんな過激な発言をするようには見えません。

まずは派遣先担当者と面会し、どのような指示をしてのJさんの反論であったのか、無茶な指示であったのか?それとも前任からの引き継ぎ不足に端を発しての反論なのか?Jさんはどのような様子で反論をしたのか?など確認をしなければならないことは沢山あります。

人材派遣は「〇〇というスキル・経験を持った人を派遣してほしい」というニーズと、「〇〇というスキル・経験を活かして働きたい」という派遣社員の「労働力を仲介するサービス」です。

つまり派遣会社の営業担当はどちらの味方という立ち位置ではなく、どちらの意見も聞き入れて、両者が納得できるように調整をするということが役割になるのです。

今回のケースでは、まず派遣先から状況のヒアリング、今後どうしたいかという考えを聞き、その上でJさんと面談をするという手順でのアプローチを行います。

対応経緯

派遣先B課長に状況のヒアリング

前述の対応のポイントの通り、お詫び方々、まずは派遣先のB課長に状況のヒアリングを行いに訪問をします。

「そんな仕事はまだ一人ではできない。それでもやれというのは脅迫ですか!?」というのはこれまで経験したことのないような極端なセリフですが、引き継ぎをしてくれた前任者がいなくなった途端に後任の派遣社員からアラームがあがるのはよくあることです。

  • 引き継ぎといっても数日であり、実務をしながら説明をする余裕もなく、足早に説明されただけではなんの理解もできないため、一人で仕事をしようにもできない
  • かたち上、前任者からの引き継ぎはあったものの、質問の余地もなく一方的にまくし立てられるだけで、何にも頭に入っていなかったため、一人で仕事をしようにもできない
  • 前任者も着任して早々の退職であり、業務を漠然としか分かっていない中での引き継ぎであったため、一人で仕事をしようにもできない

そして本来派遣社員の業務は派遣先社員から指揮命令されて行うべきものであるのもかかわらず、「社員がその業務内容を知らない」「社員がその業務内容を知ろうとも、助けようともしない」といった状況がよくあるのです。

派遣先がどう考えるかはわかりませんが、派遣社員から見れば引き継ぎもままならない、派遣先の社員からのサポートもままならない業務環境で、いきなり「仕事はきちんとやってくれ」と言われても、なにが「きちんとした仕事」かもわからない中で結果だけ求められるのは不条理であり、逆上をすることがあっても無理からぬことです。

派遣先担当者へのヒアリングのポイントは以上のような状況が背景になかったか?という点を踏まえるということです。

派遣先からのクレームだけを真に受けて派遣社員にその責を負わせるだけの営業担当であればいるだけ邪魔というもの。

「Jの件でご迷惑をおかけしているようで申し訳ありません」

「Jはずいぶん極端な物言いをしたようですが、前任者との引き継ぎが上手くいっていなかったというような、なにか特別な背景があったのでしょうか?」

相手の顔色を見ながらたずねると、B課長は次のように答えました。

「いや、うちも派遣社員が沢山いるし、それなりに入れ替わりもあるからよくある引き継ぎのトラブルかと思ったんだけど、どうやらそういうわけでもなさそうなんだよね」

「担当の社員や、同じチームのベテランの派遣社員にも聞いてみたんだけど、前任者からの引き継ぎはスムーズに進んでいるようだったし、その時はJさんも素直に仕事をしていたらしいんだよ」

「今週に入って、さぁ一人で仕事をやってもらおうかとなったら急に今回みたいな騒ぎになっちゃってさ」

「一時は金切り声を上げて反論するから、周りの人たちが怯えちゃってこまっているんだよ。ちょっと本人と話してどういうつもりなのか聞いてもらえないかな?」

B課長も戸惑っているようで、どうやらJさん本人から話を聞かないことには何の進展もなさそうです。

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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