【続編③】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「派遣先の社員から脅迫された!」と損害賠償を請求してくる派遣社員Jさんのクレーム対応

【続編③】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「派遣先の社員から脅迫された!」と損害賠償を請求してくる派遣社員Jさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてD社で就業スタートしたばかりの40代女性の派遣社員Jさんから、「派遣先の社員から脅迫された!」という訴えとともに、派遣先と当社を相手取って損害賠償を請求するというトラブルがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣社員Jさんとの面談

「社員のFさんは引き継いだばかりで右も左もわからない私に、『いいからとりあえずやってみてください』っていうんですよ!これが脅迫じゃなくてなんだっていうんですか!!」

いきなり金切り声をあげるJさんに異常さを感じた私でしたが、ここで臆して引き下がるわけにはいきません。

まだJさんとの関わり合いが少ない私は、彼女がどんな人物であるのかを計りかねていました。

しかし就業開始2週間目にして、職場内で「そんな仕事はまだ一人ではできない。それでもやれというのは脅迫ですか!?」という発言をする人物が普通でないことは確かでしょう。

最悪を考えて対応をするという意味では、Jさんの人物像を次のどちらかだと仮定するのが無難そうです。

  • 感情の起伏が激しく、就業をするには精神状態が安定していない人
  • いわゆるクレーマーの類で、何かしらの理由を見つけてごね得を得ようとしている人

Jさんがこのような人物でないことを願うばかりですが、性善説で対応し、あとあと寝首をかかれるよりはよっぽどマシです。

「ちょっと、Jさん。突然大きな声出さないでもらえますか?びっくりするじゃないですか」

「あと、『いいからとりあえずやってみてください』と言われたら脅迫だなんて聞いたことありませんよ。なにか個室に連れられて二人きりの状況でそう言われたとか、そういった特別な環境下での話ですか?」

私の狙い通りにJさんは自分の主張が通らず、しかも注意をされたと受け止めたようです。

「あなたは何を言っているんですか!!私の言っていることが嘘だっていうんですか!?」

Jさんの思った通りの反論に、しめしめと思いながら切り替えします。

「先ほども言いましたが、まず、その大きな声で話をするのをやめてもらえますか?正直怖いです」

「私が一度席を外してもいいですから、冷静になってからお話を聞かせてもらえませんか?」

「あと、Jさんのおっしゃることが嘘だなんて一言も言っていませんよ。Jさんが『脅迫』だとおっしゃった事象が起こった状況を質問しただけなんですが、それにはお答えいただけないんですか?」

経験の浅い営業マンであれば、あっという間にJさんの術中にはまったのでしょうが、自分のペースにならない私との会話にJさんはひどく苛立っているように見えました。

派遣先からJさんの職場でのありようについて問題解決を求められている私としては、この場でなんの結論や歩みよりを引き出さずにJさんと物別れに終わるわけにはいきません。

騒ぎを起こしている以上、職場に戻すにしても、なんらかの結論がなければ派遣先のB課長も納得をしてくれないからです。

「この打ち合わせの時間内で、できるだけ結論を導き出したい」

そういった焦りが不要な譲歩や妥協を生み、後々自分の首を締めることになるのです。

やり方はいくらでもあります。

B課長に許可をとり、この会議室でお互い納得いくまで話すこともできます。

どうしてもギャップが埋まらない場合は休業補償を前提に今日は退勤をしてもらってもいいかもしれません。

お金も絡む問題ではありますが、中途半端な対応でトラブルを悪化させたり、不要な譲歩や妥協で相手にカードを持たせてしまうよりはよっぽどいいのです。

しばらく考えた上でJさんが口を開きました。

「そんな屁理屈ばっかり!!私みたいな弱い者の意見は聞き入れるつもりはないんですね!!」

Jさんはまた金切り声で主張します。

ただ、今回の発言はずいぶんニュアンスの違うものになりました。

自らを「弱い者」「弱者」もしくは色々なマイノリティーになぞらえて、「だから私は差別されている!不利な扱いを受けている!」という人物は要注意です。

Jさんの言う「弱い者」が何を指すのかについて聞き逃してはいけません。

一度「弱い者」であることを受け入れて話を進めると、「だからあなたは私を差別した」「私に不利益な扱いをするのは当然だと思っているに違いない」といった本筋から外れた議論で消耗戦を強いられるのです。

「Jさん、Jさんのおっしゃる『弱い者』ってなんですか?何を持って『弱い者』だとおしゃるんです?」

「先ほどから私はJさんの言う『職場の社員から受けた脅迫』について、その状況を質問しているんですが、なぜ答えてくれないんでしょうか?」

「そして、自分は『弱い者』だから意見を聞き入れてもらえないとおっしゃる・・・」

「申し訳ないんですが、Jさんのお考えがよくわからないんです。ちゃんと説明をしてもらえませんか?」

私の切り返しにJさんはさらに苛立ちを高めたようでした。

ここまでのやり取りの中で、Jさんは「いわゆるクレーマーの類で、何かしらの理由を見つけてごね得を得ようとしている人」であると判断してよさそうです。

  • 「職場で社員から脅迫を受けた」などと極端な単語を使い、その単語を一人歩きさせてトラブルをより重大なものであるかのように脚色する
  • 弱者やマイノリティーを語り、差別や不利益な扱いを受ける「被害者」としての立場を確保しようとする

となれば、重要なのは彼女がどこを落としどころに、何を求めているか?ということ。

揚げ足をとられないように慎重に、ポイントを見極めながらの話し合いが必要なのです。

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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