【続編⑤】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「派遣先の社員から脅迫された!」と損害賠償を請求してくる派遣社員Jさんのクレーム対応

【続編⑤】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「派遣先の社員から脅迫された!」と損害賠償を請求してくる派遣社員Jさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてD社で就業スタートしたばかりの40代女性の派遣社員Jさんから、「派遣先の社員から脅迫された!」という訴えとともに、派遣先と当社を相手取って損害賠償を請求するというトラブルがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

対応経緯

派遣社員Jさんとの2回戦

B課長との下打ち合わせを終えて、Jさんのいる会議室に戻ります。

「お待たせしました。Jさん、B課長からも許可を頂いたので場所を変えましょうか」

「B課長とは、話が途中のまま職場に戻るのもよくないので、勤務扱いでそのまま面談をしてもらい、結論が出たら私からB課長に再度連絡するという話になりました」

Jさんはすかさず反論してきます。

「何ですか!職場に戻っちゃいけないって!?」

「人権侵害です!!」

相変わらずインパクトの強い単語を次々と繰り出してきます。

「Jさん、何ですか人権侵害って?なにをもってそうおっしゃってます?」

「面談を続けなければいけない大きな理由が、Jさんがそういった過激な単語をおっしゃるからなんですよ。『脅迫された』とか『弱い者いじめ』って話もそうなんですが、私としてそういった極端な物言いを見逃すわけにもいきませんから、その度お話が頓挫してしまうんですよ」

「本当は先程までの面談でJさんが今後どうされたいのかをおうかがいしたいだけなんです」

「ただ、そのたび話が脱線するのでB課長と相談して、D社からの業務指示として私との面談を続行するという話になったんです。いいですか、Jさん、これは業務です」

苦虫を噛み潰したような顔のJさん。

「D社からの業務指示」という表現に少し怯んだようで、「わかりました」と呟くように答えます。

私もこれまでのやり取りにうんざりしてしまい、少し意地悪になっていたのかもしれません。

「では、会議室も空いていないみたいなので近くの喫茶店に行きましょうか」

「まずは『弱い者いじめ』と『人権侵害』という話について聞かせてください」

さらに苦々しい表情になったJさんを連れ立ち、D社を後にしたのでした。

派遣社員Jさんと3回戦

D社の近くの喫茶店で席を見つけ、早速話し合いを続行します。

これまでのやり取りの中で私はJさんを「いわゆるクレーマーの類で、何かしらの理由を見つけてごね得を得ようとしている人」であると判断したものの、まだJさんが何を要求しようとしているのかが見えていません。

クレーマーと決めつけたぞんざいな対応は、その対応自体にクレームをつけられる可能性もあり、まだ慎重な姿勢は欠かせないのです。

そしてクレームトラブル対応のポイントは対応記録を積み重ねること。

D社からの業務指示で行なっているこの面談はいわば業務、場所がどこであれ常識的な会話が大前提です。

  • D社の会議室で行われたような突然大声をだして、こちらをたじろがせたり威嚇したりするような振る舞い
  • 「脅迫」「弱い者いじめ」「人権侵害」などの過激な単語を根拠もなくぶつけてくるような言動

これまでのJさんとのやりとりで垣間見えたこれらの問題言動をいちいち注意し、注意に対してどんな反応があったのか?改善されたのか?といった対応記録を積み重ねていきます。

Jさんの剣幕に気圧されて気になる物言いを見逃してはいけません。

例えば「脅迫」という単語。

一度受け流せば、のちのち「前にもお伝えした社員Fさんからの脅迫の件なんですが」とか「社員Fさんから脅迫を受けていたことはお伝えしていたし、その時否定もしなかったじゃないですか」と揚げ足を取られることになるのです。

いわばJさんとの根比べなのです。

いまのところJさんは「脅迫」「弱い者いじめ」「人権侵害」といった過激な単語を並び立てて、こちらがボロを出すのを待っているように感じます。

であれば目先の根比べは、これらの過激な単語の根拠を問いただし、その単語は表現として不適切であったことを謝罪させることでしょう。

すでに1つ罠を張ってあるのです。

「Jさん、話が戻ってしまうかもしれないんですが、社員Fさんからの業務指示は『脅迫』にはあたりません。これは認めてもらえますか?」

Jさんは少し考えてから口を開きます。

「脅迫でないならパワハラです」

罠にかかったようです。

「そうですか、ではその一件はパワハラだという認識だということでいいですね?それであれば派遣先に調査を依頼します。Jさんにも色々詳しく聞くことになると思いますが」

「それでいいです」Jさんは答えました。

「では、社員Fさんの業務指示は脅迫ではなかったという認識だとすると、Jさんが職場内で『そんな仕事はまだ一人ではできない。それでもやれというのは脅迫ですか!?』と社員Fさんに言ったことについてはどうお考えですか?」

「?」

Jさんは私が何を言いたいのかわからないと言った表情です。

「つまり、Jさんは社員Fさんの業務指示は脅迫などではなかったと認めているのに、職場内で社員Fさんに対して『脅迫された』などと発言したことに対して謝罪をするべきじゃないかということですよ」

見る見るJさんの表情が変わっていきます。目はつり目がちになり、顔はこちらに向いているものの、目線は定まりません。

「・・・っなんで私がパワハラをした人に謝らなきゃいけないんですか!?」

まだ一片の冷静さはあるのか、先ほどの会議室に比べるとずいぶん押し殺した声で怒りをぶつけてきます。

「いや、パワハラについてはJさんの訴えを先程確認して、これから両者に調査を行う段階ですから。Jさん、職場で後輩から『Jさんに脅迫された』って言われもない発言をされたら怒りませんか?ちゃんと謝ったほうがいいと思いますよ」

長くなりましたので、続きは続編とさせて頂きます。

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