【続編⑨】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「派遣先の社員から脅迫された!」と損害賠償を請求してくる派遣社員Jさんのクレーム対応

【続編⑨】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「派遣先の社員から脅迫された!」と損害賠償を請求してくる派遣社員Jさんのクレーム対応

←前編①   ←前編②   ←前編③

←前編④   ←前編⑤   ←前編⑥

←前編⑦   ←前編⑧

私の担当派遣社員としてD社で就業スタートしたばかりの40代女性の派遣社員Jさんから、「派遣先の社員から脅迫された!」という訴えとともに、派遣先と当社を相手取って損害賠償を請求するというトラブルがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

対応経緯

派遣社員Jさんと徹底的に戦う

「入館証を返さないと言うなら警察に相談します」と言う私にJさんは明らかに動揺をしています。

もう自分では判断がつかないのか、唇を噛み締めて悔しがりながら「ちょっともう一度電話をしてきます!!」というJさん。

損害賠償や補償については法廷で争うとして、Jさんは明日からD社には出社しないと確認が取れました。

理由には納得はいきませんが入館証は返却しないと言います。

私としてはこれ以上Jさんと話をしたところで得られる結論はなく、もう話必要も感じないのです。

「では、私は帰りますので。ごゆっくり電話をされてください」

と捨て台詞を残し、会計をし始めます。

慌てたのはJさんです。

「っっっちょっと、まだ話が済んでいないじゃないですか!!何を考えているんですか!!」

「え?もう話は終わっていますよ。」

「損害賠償や補償の件は法廷で争うんですよね?」

「D社は働けるような環境ではないから明日から出社はしないっておっしゃるのに入館証は返さないっておっしゃるんで、これから知り合いの警察に相談に行かなきゃいけないんです」

「・・・・・一体何なんですか!!!!」

金切り声をあげるJさん。

「派遣ゴロ」と言われるような輩は、派遣先や派遣会社の落ち度や、目立った落ち度がなければ「あるべき論」などを巧みに絡めて金品を要求してきます。

受け手である我々からすれば得体の知れない、何をするかわからない存在であり、Jさんもそういった効果を狙って「脅迫された」「弱い者いじめ」「人権侵害」などといった過激な単語を使ったり、大きな声でわめき散らしたりといった言動をしたに違いありません。

彼らからすれば、「こいつらとかかわるのは時間も手間もかかって面倒だ。金で解決できるならさっさと終わりにしてしまいたい」といった妥協を引き出そうとしているのです。

派遣会社も営利企業、一つの事案ばかりに手をかけて本業をおろそかにすることはできませんから、そういった解決方法も一つあるべきだと考えます。

ただ、やりようによっては無駄にお金を払うことなく解決をすることもできるのです。

そのやり方とは彼らと同じ、「こいつらとかかわるのは時間も手間もかかって面倒だ。さっさと終わりにしてしまいたい」と思わせることです。

そのための対応記録の積み重ねであり、相手の土俵に乗らない、相手に尻尾をつかませない話の運び方なのです。

「入館証を返さないのなら警察に相談に行く」という私の主張と、「派遣先と派遣会社を訴える」というJさんの主張にさして違いはありません。

言った者勝ち、「警察に相談に行く」というのも「訴える」というのも主張することは自由ですし、実際にそうする責任も追いません。

「いかに相手を不安にさせるか」「面倒な相手だと思わせるか」、そこに力点を置いたブラフなのです。

Jさんは完全に私の土俵に乗りました。

Jさんが相談をしている相手も、感情的になったJさんからの報告を受けて、正しいアドバイスができるとは思えません。

さて、彼らはどのタイミングでこのゲームから降りるのでしょうか?

翌朝に派遣社員Jさんが突然の来社

翌朝、オフィスに出社ししばらく事務作業をしていると私宛の来客がありました。

特に誰とも約束はしていなかったので訝しく思いましたが、受付に行ってみるとJさんがロビーのソファーにちょこんと座っています。

「どうしたんですか?Jさん、突然」

「いえ、ちょっと話があって」

「昨晩も言いましたが私、特に話すことないですよ。法廷で争うんですよね?あと私これから警察にいくので。すぐ近くに警察署あるの知ってます?あそこに知り合いの警察官がいるんですよ」

Jさんにはだいぶ振り回されたので、少し意地悪な気持ちになっていたようです。

「・・・・・」

私の言葉にしばらく沈黙するJさん。

「そのことなんですが、入館証は返します。今日持ってきました」

バックからストラップがくちゃくちゃに絡まった入館証を取り出し、押し付けるように渡してきます。

「そうなんですか。それなら警察にいく手間も省けるし、私としてはありがたいんですが」

「D社とおたくの会社を訴えるって話は進めますから!!」

どうぞご自由にといった感想です。

「それで、これまで私が働いた分の給与はちゃんと出るんですよね!?」

「どういう意味でしょう?」

「D社で働いた分の給与はちゃんと払われるのかって質問です!!」

何を怒っているのでしょうか?

「D社で勤務した分ってことですよね?それは当たり前に払われますよ。Jさんのおっしゃっていた契約期間いっぱいまでの給与補償っていうのは法廷で争うですよね?」

「そうです!!わかりました!!」

Jさんは踵を返して帰ってしまいました。

最初から最後まで本当に人騒がせな人です。

私の本音

その後数ヶ月経ちましたが、Jさんからの訴えはありません。

きっと相談相手から「面倒な相手だから、この件は手を引いて別の口を探そう」とでも言われたのでしょう。

クレームトラブル対応のポイントは対応記録を積み重ねることです。

さらにはそういった対応履歴を積み重ねていることを相手に自覚させることも大事なのです。

指摘する点があれば都度注意して、前回からの改善がないことも指摘する。

そういったやりとりによって、相手もこの注意や指摘が後々意味を持ってくるのだろうと察します。

Jさんもそういった気配を感じ、相談相手に報告したに違いありません。

「面倒な相手な上に、こちらの主張に対する反論の材料も揃えているようだ」

そうなれば、彼らにとっては不利な戦いです。早々に撤退することにしたのでしょう。

それにしてもJさん、もう少し骨がある相手かと思ったのですが、思いの外、ただただ騒ぎ立てるだけの人でした。

面倒ごとでしかありませんが、訴えられるというのもなかなか経験のできないことです。

個人的にはもう少しもつれ込んでもよかったのですが・・・

更新情報はTwitterに配信しています。

←前編①   ←前編②   ←前編③

←前編④   ←前編⑤   ←前編⑥

←前編⑦   ←前編⑧