【続編⑦】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】まさに「虎の威を借る狐」、秘書の立場を悪用して正社員にパワハラする派遣社員Yさんのクレーム対応

【続編⑦】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】まさに「虎の威を借る狐」、秘書の立場を悪用して正社員にパワハラする派遣社員Yさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてK社で秘書として半年ほど働いてくれている40代女性の派遣社員Yさんですが、派遣先から「秘書という立場を悪用して部内で好き放題やっている」というクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣先の若手社員に会う

Yさんに不満も不安もなさそうだと報告すると、訝しげに「いやぁ、ついさっきもウチの若手社員に強めの注意をしててね・・・」と話し出すS課長。

あまりにディティールの凝った話に、S課長がYさんを陥れるための嘘をついているとは到底思えず、私は「Yさんにも行き過ぎたところがある」と考えを固め始めたのでした。

件の若手社員を呼び出しに行ってくれたS課長を会議室で待っていると、男性社員を連れ立って戻ってきました。

「彼がさっき話した若手社員なんですがね。K君、こちらYさんの担当の派遣会社の方」

「あ、よろしくお願いします」

少し弱々しい雰囲気の男性。少し目線が泳ぐようなところがあり、違和感を覚えます。

「ちょっとYさんとのことを話してもらえるかな?」

S課長に促され、K社員はおずおずと話し始めます。

「・・・そっ、そうですね・・・Yさんは私が気に入らないみたいで、結構ひどい言葉を言ってくるんです」

「電話ひとつまともに取れないのか!?とか、さっきは自分で何を印刷したのか覚えてないのか!?とか・・・」

「なんで派遣にそこまで言われなきゃいけないんだって思います!」

私の方を向いて話してはいるのですが、目線はほとんど合わせてくれません。

それに話す言葉の内容も幼いというか、拙いというか・・・

「K君、ありがとう。そうしたら席に戻ってもらっていいから」

S課長に促されてK社員は会議室から退室しました。

「会ってもらってわかったと思うけど、実はちょっと障害のある子でね・・・総務部だからやっぱりそういう子を引き受けることが多いんだよね」

「Yさんも彼のことは事前に話してあるんだけどなぁ。実はもう一人の若手社員っていうのも障害者なんですよ、そっちの子は身体障害なんだけどね」

「なんていうのかな・・・障害者だから仕事のクオリティーが低くていいってわけじゃないんだけど、それにしても接し方ってものはあると思っててね・・・」

障害者雇用促進法をご存知でしょうか?

民間企業では従業員数に対して2.2%の法定雇用率が定められています。

2021年3月末までには2.3%まで引き上げなければならないと言った背景もあり、K社のような大手企業はその採用活動に苦戦をしているのです。

障害者といっても障害の程度は様々であり、任せることのできる仕事のレベルも変わってきます。

システム開発会社のK社にはメーカーのような、いわゆる「作業」といった仕事は少なく、かと言って開発現場に入ってもらうこともできません。

結果として総務部のようなバックオフィス部門になんとかポストを作るしかないのです。

またそうして作ったポストにしてもある程度のスキルは求められますから、障害の程度の軽い方を採用する必要があり、採用活動は難航します。

そのような背景の中で働いてもらっている2人の社員ですから、S課長からすれば派遣社員であるYさんが彼らに辛く当たることでメンタル不調になってしまったり、最悪会社を辞められるようなことがあってはとても困ってしまいます。

また同じ職場で働く仲間として、やはり相手の事情に合わせたかかわり方や配慮はあってしかるべきでしょう。

「そうですか・・・面談の中ではお二人に関する話は全くなかったのですが、やはり注意をした方がいいと思っています」

K社員から直接話しを聞けたことでS課長の言い分が正しいことはわかりました。

あとはYさんが何を考えてこのような状況を作り出しているのかを確認し、然るべき注意をしなければなりません。

そのためにはハレーションを恐れずに、Yさんへの直接的なアプローチが必要になるのです。

「そうだね。本人と話してもきっかけがないなら、直球で切り込むしかないよね・・・問題は注意の仕方ですね・・・」

話が振り出しに戻ってしまいました。

ここでS課長が踏み出してくれないと私は何もすることができません。

「そうしたら部長と話してみるよ。事前に常務の耳にも入れておかなきゃいけないだろうから、その辺の段取りがうまくいったら連絡します」

これで段取りが整いました。

派遣会社としてやるべきことはやった上で、Yさんにどのような切り口で注意を行うかについて派遣先に判断を預けることができたのです。

常に派遣先と派遣社員の間に立つ派遣会社の営業担当。

クレーム・トラブルのきっかけとなるのは自責であることは少なく、派遣先・派遣社員どちらかに落ち度があったり、ボタンのかけ違いがあったりといったこと。

間に立つが立場であるが故に常に気をつけなければいけないのは「自分の手元にボールを持ち続けないこと」なのです。

両社それぞれの納得・理解を得つつ、いかにスピーディにボールを他方にパスしたり打ち返していくか、これがクレーム・トラブルを深刻化長期化させないコツです。

ただ、根底には派遣会社という立場をわきまえた上での営業担当なりの考えが必要です。

「私はこう思う、こうしたい」といった考えなく、両者からのボールを打ち返すだけでは奥行きのある対応はできないのです。

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