【続編12】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】まさに「虎の威を借る狐」、秘書の立場を悪用して正社員にパワハラする派遣社員Yさんのクレーム対応
私の担当派遣社員としてK社で秘書として半年ほど働いてくれている40代女性の派遣社員Yさんですが、派遣先から「秘書という立場を悪用して部内で好き放題やっている」というクレームがありました。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
対応経緯
派遣先S課長の無茶振りにどう対応するか?
私を経由してのS課長からの注意に根を持ったのか、YさんがB常務に対してS課長への悪評を吹き込んでいるようです。
それを理由にB常務から叱責されたというS課長、珍しく強い口調で「Yさんはオタクの社員なんだからなんとか指導をしてくださいよ!」と迫ってくるのでした。
今回のケースは極端なものであるにせよ、派遣会社の営業担当はこの手の「派遣先と派遣社員の板挟み」という状況に頻繁に直面するのです。
自分が犯したミスで責め立てられるならまだ納得もいくのですが、大抵の場合は派遣先か派遣社員のどちらか、もしくは双方起因の「他責」のクレーム・トラブル。
他責でありながら自責のように対応しなければならない、派遣先に向けては「弊社の派遣社員がこのようなことをしてしまいまして申し訳ありません」、派遣社員に向けては「派遣先がそんな無茶なことを!?申し訳ありません」、そんなことの繰り返しです。
いちいち間に受けてストレスを感じてしまう人には到底務まらない職業と言えるのです。
さて、私はどのようにしてそのストレスを受け止めたり、かわしたりしているのでしょうか?
人より我慢強い?そんなことはありません。
クレーム・トラブルが深刻化するにはプロセスがあるのです。
その一つ一つのプロセスに対して能動的にアプローチを行い、早めに芽を摘んでいく、もしくは深刻化してしまった場合も踏まえて、それぞれのプロセスに能動的に丁寧にやるべきことをやったという履歴を残していく。
これにより他責を他責のままにすることができます。
「あなたは派遣会社の営業担当としてやるべきことをやっていたのに、こうなってしまっては仕方ないよね」といったことです。
今回のケースで言えば次のようなことでしょうか。
- S課長から「社員二人へのYさんの強い言動をどうにかしてほしい」という要望がありつつも、直接的な注意がしづらいという局面で、手詰まりな状況をやり過ごすことなく私からYさんとの面談を提案した
- Yさんから見ると「就業スタート半年経っての節目の面談」を私から発案して実施し、YさんのS課長や所属部署への想いを受け止めた
- Yさんとの面談でめぼしい成果はなかったが、その後のS課長との再度の打ち合わせで、Yさんからの被害を受けたという社員に私からお願いして面会し、実態を掴んだ
- その状況を踏まえ、私からYさんへの注意を行った方が良いと提案し、S課長に社内の調整を促した
- Yさんとの注意面談では、彼女の性格を踏まえ、モチベーションを落とすことなく、的確に注意をした
- S課長にYさんとの注意面談の報告を行う中で、Yさんの言い分が気に入らないとするS課長の個人的な感情を諌め、ポイントはYさんの社員二人への強い言動を止めること、モチベーション維持であると軌道修正した
これまでの経緯の中では、その時その時の問題に対して能動的に、丁寧に結果と履歴を残すことができています。
YさんやS課長が私の予想外の動きをしたとしても、私にはどうにもすることができないことであったのは、それぞれに理解をしてもらえることです。
間に立つ者として、それぞれのタイミングでやるべきことを能動的に行い、それを相手にきちんと理解してもらう。
その上で起こったトラブルについては「派遣社員は派遣会社の社員なのだから派遣社員のせい」や「派遣先が無理難題を言ってくるのは間でうまく調整できない派遣会社のせい」ではなく、「どうしたら良い結果に結び付けられるか、解決ができるか一緒に考えましょう」という一歩引いた第三者的立ち位置に立つことができるのです。
私がこのストレスフルな仕事を長く続けられるのは、構造的にクレーム・トラブルを呼びやすい産業であることを理解した上で、その根本がそれぞれに性格や受け止め方の違う人と人の人間関係の問題であると捉え、前述の手法で「他責を自責として受け止めなければならないストレス」を軽減するために、両者に対して派遣会社の営業担当が負わなければならない責任をうまく分散させているからなのです。
そのような考え方に立った時に、私はこれまでの経緯の中で派遣会社の営業担当として「やるべきことはやっている」と考えていて、いまさら「Yさんはオタクの社員なんだからなんとか指導をしてくださいよ!」と責め立てられる覚えはありません。
なんとかしろと言いつつも、S課長とてYさんに大きくモチベーションを落とされたり、急に辞められたりしたら困る立場です。
切り返しにおいては、このS課長の「弱み」を活かして、無茶振りをしてきたS課長を一気に土俵際に追い詰めてやらなければいけないのです。