【続編14】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】まさに「虎の威を借る狐」、秘書の立場を悪用して正社員にパワハラする派遣社員Yさんのクレーム対応
私の担当派遣社員としてK社で秘書として半年ほど働いてくれている40代女性の派遣社員Yさんですが、派遣先から「秘書という立場を悪用して部内で好き放題やっている」というクレームがありました。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
対応経緯
派遣先S課長に究極の選択を迫る
「Yさんはオタクの社員なんだからなんとか指導をしてくださいよ!」と無茶振りをしてきたS課長。
それに対して私は「S課長以上にYさんに対して憤慨しているふりをして強硬な対応を匂わせ、S課長を冷静にさせる」という方法で切り返したのでした。
しかし、YさんがB常務から秘書として高い評価を受けていることを背景に、S課長含めた部内の人間に仕返しめいた行動をとっているという根本的な問題は解決していないのです。
ここが勝負所と考えた私は、S課長との形勢を取り戻したタイミングで次の二択を突きつけたのでした。
- YさんはB常務の秘書として立派にやっているんだから、自分たちが多少嫌な思いをするのは我慢しろ。だいたい告げ口されている内容も身から出た錆だろう
- そこまでいうならYさんを契約満了のタイミングで終了させたらいいじゃないか。ただしYさんは本業の秘書業務の評価は高いわけで、本人が終了に納得がいかないといった場合の労務トラブルについては責任を持たないよ
かなり多くのプロセスを経て、S課長が聞く姿勢を持った状況でやっと私としての本音をぶつけることができました。
「・・・ぅぅうん、まぁそうだねぇ」
S課長は再び頭を抱え出します。
客観的に見て、Yさんの言う通りS課長はかなり頼りありませんし、何より決断力がありません。
総務畑で秘書担当を初めてではないということでしたが、よくこれまで課長として勤めてこられたものです。
やはりそこは大手企業たるところなのでしょう。
いまだに年功序列や終身雇用が根付いてるK社では社内の縦の人間関係さえ大過なくこなせていれば、課長くらいまでは出世できるのです。
古くからの大企業でよく聞こえる「私はむかし●●さんにお支えしていた」というような言い回しはまさに官僚化した古い体質の大企業ならではのものなのでしょう。
上しか見ていない。だからこそ自分の悪口をB常務に吹き込むYさんを許せないのでしょう。
「・・・わかりました。ちょっと部長と相談をしてみます」
この上、まだ自分で決められないのか・・・
私は「わかりました。ご返事をお待ちしております」と答えながら呆れ返った気持ちでK社を後にしたのでした。
派遣社員Yさんからのショートメール
S課長と打合せをした数日後、私の携帯にYさんからショートメールが届きました。
「近いうちにご相談をしたいことがありまして、お時間を頂けないでしょうか」
派遣会社の営業担当は、この「ご相談」というワードに過剰に反応します。たいてい良くないことが起こるからです。
職場のトラブルの第一報であったり、「辞めたい」といった進退に関するものであったり、「もう明日から行きません」といった一方的なものであったり・・・
私など、妻に「我が家では相談という単語を使わないでくれ、ドキッとするから」といっているくらいで、トラウマワードなのです。
さて、Yさんのご相談とやらはどんなものなのでしょうか。
派遣社員Yさんが当社オフィスに来社
いつも通りK社に訪問して面談を行おうと考えメールを返信したところ、意外にも「御社のオフィスで会いたい」とのこと。
どうやら通り一遍の話ではなさそうです。
翌日の勤務後、Yさんは当社のオフィスに訪れたのでした。
「わざわざすみませんね、こちらまでお越し頂いてしまって」
「いえ、すみません。こちらこそ遅い時間に」
ひとしきり世間話をした後に私から切り出しました。
「・・・それでメールで頂いたご相談という件なのですが、わざわざ当社までお越し頂いたのは何か理由があるんですか?」
Yさんは一呼吸置いてから口を開きました。
「・・・実はB常務から相談を受けてまして」
「相談?」
「本当にここだけの話にして欲しいんですが・・・」
Yさんは一体何を話すつもりなのでしょう。
「大丈夫ですよ」
私は少し低いトーンで答えました。
「B常務がK社に着任をされたのは昨年の7月だったのですけど、先日ある方から親会社の副社長としての打診を受けたみたいなんです」
K社に着任して1年も経たないB常務が親会社の副社長?
B常務は出世が早いとは聞いていましたが、通常の役員の任期は2ー3年、1年目で社内外を把握して様子見をし、2年目から自分の色を出していくといった流れが一般的です。
しかも今はまだ4月上旬、株主総会の6月下旬であることを考えると随分早い内示です。
「時期的に随分早い内示ですね・・・そうなるとYさんの秘書としてのポストの問題になってきますね・・・」
「そうなんです。それでB常務からは親会社に一緒に来て欲しいと言われてまして」
さて、またYさん絡みで一波乱ありそうです。