【続編17】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】まさに「虎の威を借る狐」、秘書の立場を悪用して正社員にパワハラする派遣社員Yさんのクレーム対応

【続編17】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】まさに「虎の威を借る狐」、秘書の立場を悪用して正社員にパワハラする派遣社員Yさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてK社で秘書として半年ほど働いてくれている40代女性の派遣社員Yさんですが、派遣先から「秘書という立場を悪用して部内で好き放題やっている」というクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣先S課長に労務トラブルの懸念を説明する

Yさんは昨年10月よりK社での就業を開始し、現在4月上旬をもって半年程度の就業期間になります。

Yさんと当社の雇用契約は、K社と当社の派遣契約(商契約)と同じ期間としており、初回の契約期間は昨年10月〜本年3月末まで。そして現在の契約は4月〜6月末までとなっています。

いわゆる正社員と言われる雇用契約の定めがない無期雇用契約(実際には定年までの雇用)では、雇用契約を解消することを「解雇」と呼びます。

これに対してアルバイトや契約社員・派遣社員のような雇用契約の期間を定めた有期雇用契約では、基本的に雇用契約期間中にこれを解除することは出来ず、有期雇用の繰り返しがされていたのにこの更新がされないことを「雇い止め」と呼ぶのです。

雇い止めの要件は「3回以上の更新、合計して1年以上の雇用」ですから、今回のYさんのケースでは雇用主である当社が、「6月末の雇用契約をもって以後の契約更新はしない」としたところで法的な問題はありません。

ただしこれは適法であるか違法であるかの解釈に過ぎません。

S課長に適法でありながら労務トラブル化する懸念について簡潔に説明をします。

  • K社と当社の派遣契約は秘書業務のできる人材を前提にしており、Yさんは評価高く秘書業務を行なっている
  • 当社がYさんに「7月以降の契約更新をしない」と伝えるのは法的な問題はないが、道義上Yさんに雇用契約を更新しない理由を説明しなければならない
  • 先程お伝えしたとおり、部内の社員に対する言動については注意の上で改善をしており、またYさんがB常務にS課長や部内社員の悪評を吹き込んだという件については証拠もないし、そのニュアンスも含めて言った言わないの話になりがちで、感情論に絡め取られてしまうことを考えると、材料として使うことは危険
  • つまりYさんからすると「秘書として評価高く仕事をしているのに、S課長の私への悪感情を理由に一方的に契約更新がされなかった」という主張に繋がってもおかしくない
  • Yさんの雇用契約は派遣会社とのものであり、派遣先である御社は関係ないと理解されるかもしれないが、Yさんの雇用契約は御社と当社の契約更新を前提としたものであることも現実であり、正しいか正しくないかは別にしてYさんがそう主張すること自体は止めることができない
  • 契約更新がされないことを不服としたYさんが申し立てをするとすると、労働基準監督署・あっせん・労働審判・訴訟といった手段が考えられる
  • 労働基準監督署は労働法が守られているかを監督するところなので、法的には問題のないこの相談に対しては「派遣会社とよく相談してみてください」程度のアドバイスであろう
  • しかしYさんがさらにあっせんや労働審判とした手段を選んだ場合、これらは調停を目的としている枠組みのため、Yさんが正しいか正しくないかは別として当社は土俵に乗らざるを得ない
  • Yさんと雇用関係にあるのは当社であるため、そういった調停の場に御社が巻き込まれることはないが、御社名は飛び交うであろうし、S課長を含めた登場人物の名前も飛び交うことが想定される
  • 御社のような大企業ではそういった間接的な労務トラブルであっても、企業としてのブランドが毀損するような事態に進展しないよう、総務部や人事部といった取りまとめの部署の預かりとなることが多い
  • つまり会社としてリスク対応が必要な問題として扱われるため、S課長はもちろん、B常務にもご迷惑をおかけする可能性がある

長々とした説明の中で、私としては暗に次のようなニュアンスが伝わるように話したつもりなのでした。

「Yさんとの話がこじれると、御社の総務部や人事部といった取りまとめの部署から、あなただけでなくB常務にもヒアリングが入ったりと面倒なことになるよ」

「B常務が望んだわけでもないのに、Yさんの契約を更新しないなんて判断をしたら自分で自分の首を締めるだけなんじゃないの?」

私の話を聞きながらボリボリと頭を掻きながら表情を曇らせるS課長。

たまりかねたように口を開きます。

「・・・まずいなぁ。部長とはYさんは辞めさせるって話になってるし・・・」

「だいたいあなたの言う、揉めた場合の取りまとめの部署っているのはうちの総務部になるんですよ。で、その責任者が私の上司の部長」

「部長はあなたが言うような認識を全然持っていないんですよ・・・おっしゃることはわかるんだけどなんとかなりませんか!?」

なんとかとはなんでしょうか?相変わらずのS課長に私は少しうんざりし始めたのでした。

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