【続編18】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】まさに「虎の威を借る狐」、秘書の立場を悪用して正社員にパワハラする派遣社員Yさんのクレーム対応

【続編18】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】まさに「虎の威を借る狐」、秘書の立場を悪用して正社員にパワハラする派遣社員Yさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてK社で秘書として半年ほど働いてくれている40代女性の派遣社員Yさんですが、派遣先から「秘書という立場を悪用して部内で好き放題やっている」というクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

対応経緯

派遣先S課長にに労務トラブルの懸念を説明する

本業である秘書としての高い評価があるYさんの契約を更新しないことは法的には問題がなかったとしても、Yさんが訴え出ることによって労務トラブル化し、S課長自身にも火の粉が降りかかる懸念があることを懇切丁寧に説明をして差し上げたのでした?

S課長から返ってきた答えは「言いたいことはわかるけど、上司の部長にはYさんを辞めさせるってことで話しちゃったし、そっちでなんとかならないか?」という的の外れたものだったのでした。

「・・・なんとかならないかとおっしゃられましても、私としては起こりうる懸念をお伝えしただけですので・・・」

起こってもいないことを解決することなどできないのは当たり前のことです。

「私としては理由はともあれYを辞めさせるとした時のB常務の反応と、さらにYを辞めさせたことをきっかけに労務トラブル化した場合のB常務の反応がとても心配です」

「どちらに転んでも良いことにはならないというか、私がいうことではないと思いますが、このまま様子を見ながらYを秘書として就業させておくほうが無難だと思います」

さすがにここまでわかりやすく説明してあげれば、S課長でも今回の判断が悪手であることは理解できるでしょう。

「いやぁ、でもなぁ・・・」

まだ迷っているS課長。

おそらくはS課長自身がYさんを辞めさせたいということに加え、上司である部長を味方につけるために、Yさんの職場での言動や部内への悪影響について大げさに報告したに違いありません。

つまり、「Yさんを辞めさせるのを止める」とした時に、上司である部長から「とはいえ、Yさんが居続けることで起こる●●や○○の問題はどうするんだ?」というような問題が発生するのでしょう。

これ以上S課長のお悩み相談にのっていても時間の無駄でしかありません。

「S課長、申し訳ないのですがもう一度部長様とお話しいただいて、方向性を変えていただいたほうがいいと思います」

「・・・そうだね。わかりました。また連絡します」

不毛な商談で長々と時間を取られてしまい、うんざりした気持ちになりながらK社を後にしたのでした。

派遣先S課長から入電

それから数日後、S課長から私の携帯に電話が入りました。

電話口の物音から察するに、どうやら会議室の中から電話をしてきているようです。

「もしもし?今大丈夫ですか?」

「この前のYさんの件で連絡をしたんですけどね・・・」

「ちょっと大きい声では言えないんだけれども、どうやらB常務が親会社に栄転するみたいなんですよ」

「まだ着任1年目だから、そんなことないって思ってたんですが異例の人事で」

「それでね、相談なんですけど、Yさんを異動先に連れて行きたいって言うんですよ、そんなこと可能なんですか?」

すでに知っている話ですが、人気のない会議室にいるのに手で口元を隠してひそひそ声で話しているらしいS課長を思い浮かべて思わず笑いそうになります。

「えぇ、契約上は全く問題ありません。あとは本人の意思次第でしょうか」

すっとぼけて答えると、S課長は急に口調を変えて話し始めました。

「いやぁぁそれにしても良かったよ。あなたの言う通りにして」

「あのままYさんを辞めさせるなんて話をB常務に上申していたらどんなことになっていたか・・・」

「部長と一緒に胸を撫で下ろしてね。ありがとうございました」

「Yさんの後任になる秘書の人選頼みますよ、期待してますので!」

・・・呑気なものです。

いっそのこと部長とS課長でのこのこB常務に「Yさんを辞めさせます」と上申させ、めちゃくちゃに怒られるというのも見てみたかった気がします。

「期待してます」とご評価を頂けるのはありがたい限りですが、今回の経緯を踏まえ、前向きなお取引はご遠慮したいところです。

私の本音

秘書といえばきちんとした身なりに洗練された立ち振る舞い、要領よくボスのアポイントを調整するさまなど、「憧れの仕事」のイメージが強い職種です。

しかしその実際は、ボスやそれをとりまく人々との泥臭い人間関係や、隙間のないスケジュールに無理やりアポイントを入れ込んだり、優先順位の低いアポイントを押し出したりといったとても地味でストレスの溜まる仕事なのです。

ビジネス系の学校で秘書検をとったとか、今まで受付をやっていたのでキャリアアップして秘書になりたいとか、派手なイメージにとらわれて秘書を目指す人は多いのですが、昨今の秘書の多くが派遣社員であること、また派遣社員という有期雇用を前提として数年ごとのボスの人事異動に一喜一憂する不安定な仕事であるというスキルや経験の割に報われない職種になっているのです。

今回のYさんはB常務とともに無事K社の親会社に移ることができましたが、ボスが特定の秘書を連れて渡り歩くということは多くはなく、Yさんにもやはりどこかで転機が訪れるのです。

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