【続編⑨】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「Excel基本操作」をめぐって両者の意見が食い違う派遣社員Kさんのクレーム対応
私の担当派遣社員としてD社でスタートしたばかりの30代男性の派遣社員Kさんですが、派遣先から「Excel基本操作はできると聞いていたのに全くできない!」というクレームがありました。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
対応経緯
派遣社員Kさんとの面談
Kさんとの面談の中で、R課長の業務指示やレクチャーは課長の仕事の合間合間で行われる中途半端なもので、他にサポートをしてくれる人もおらず、指揮命令や職場環境に問題があることがわかりました。
このような問題点によりKさんの実力が出せていなかったとすれば、「Kさんの仕事ぶりには不満があるのに、どこがダメなのかわからない」といったR課長の言い分は、自らに不利になる情報を私に与えないための方便だったのかもしれません。
とはいえ、R課長とはOA研修をお題目に私がKさんの実力を確認するという約束をしています。
せっかく設定した機会ですし、今後R課長との議論の材料を増やすためにも、そろそろKさんに本題を伝えていきましょう。
「Kさん、実は前段でR課長とお会いしたんですが、KさんのExcelのスキルに少々不安を感じているようなんですよ」
「それでいろいろ話した結果、勤務扱いでOA研修を実施させて頂けないかなと思っているんですが」
「ところでR課長とのやり取りでOAスキルについて直接指摘されたようなことってありますか?」
少し表情が曇ったKさん。
「そうですか・・・OA研修ですか。それはそれでありがたいんですが、たぶんR課長が求めているのはOAスキルの問題じゃないような気がします」
「というと?」
「たぶん以心伝心というか、言われなくても分かれよというか。そんなことなんじゃないかなと思います」
予想していた通り、KさんもR課長の不満はOAスキルではなく、要領の問題のようです。
ただ、こういった面談の会話の中だけではKさんの要領の良し悪しや仕事ぶりを確認することはできません。
Kさんの思いとは異なりますが、研修は予定どおり実施し、研修の中で私なりにKさんを見極めたいと思います。
「そうですか・・・なんとなくKさんのおっしゃることがわかります。R課長ってせっかちじゃないですか?彼の仕事の合間合間に細切れに指示とレクチャーをされた側からするとやり辛くて仕方ないと思うんですが、課長は課長なりに『出来る限りの事をしてあげるのに』なんてモンモンとしてたりするんじゃないかなと思うんですよね・・・」
「あーそうそう、ありそうです」
私から自分の思いを代弁してもらったと感じたのか、笑顔になって共感してくれます。
実際のところ、これが真実なのでしょう。
「とはいえ、せっかく研修の機会を設定したので、これはこれで実施したいと思っているんですがよろしいですか?」
「明日私の会社のオフィスで実施したいと思うんですが」
Kさんは少し戸惑った様子ながら、経緯上仕方ないと思ってくれたのか、快く了解をしてくれたのでした。
派遣社員Kさんに研修実施
翌日朝からKさんに当社のオフィスに来社してもらいます。
一営業である私はそれほどOAスキルが高いわけではありませんから、私が対面で一日中教えるということではありません。
今日私が確認をしたいのは次のような事です。
- 当社のスキルチェックで「できる」となっているOAスキルは本当にできるのか?
- できるのであれば、それは「機能として操作できる」のか、それとも「実務に活かせる」のか?
- OAスキルとは別のKさんの要領の良し悪しはどのようなものなのか?
具体的には先に私が実務に即したいくつかの問題を出し、回答から問題点や改善点を検証していくということになります。
さて、Kさんのポストで求められている業務内容やスキル・経験はどのようなものだったでしょうか?
業務内容
営業課長であるR課長のアシスタント的役割として、専用システムやファイルから簡単な数字を抜き出しての集計作業や、既存のフォーマットを使用しての見積書や契約書などの作成、専用システムを使用しての社内決済、R課長の代理で社内周知と結果回収、社内外のメール対応、社内外の電話対応
求めるスキル・経験
- Excelのセルの結合やセルの書式設定、簡単な四則演算、フィルタといった基本操作
- 一般事務や営業事務などの事務経験
- 営業部署での事務として社内外と円滑にコミュニケーションが取れれば望ましい
この内容でいくと今日の研修では次のようなテストをしたいと思います。
- 数ヶ月分の複数の商品の売り上げ状況のサンプルデータを用意し、「Excelでお客様に毎月定期的に見積書や請求書を発行できるように、社内の数人が一緒に利用する集計表を作成する」というテスト。現有のスキルのみで出来る限り使いやすく作れれば良い
- お客様へ見積書を送るメール文面の作成
- 会議への出欠を問うメール文面の作成
経験上、これくらいのテストをすればKさんのスキル・経験や仕事の要領を推し量ることができそうです。