【続編13】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「Excel基本操作」をめぐって両者の意見が食い違う派遣社員Kさんのクレーム対応
私の担当派遣社員としてD社でスタートしたばかりの30代男性の派遣社員Kさんですが、派遣先から「Excel基本操作はできると聞いていたのに全くできない!」というクレームがありました。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
対応経緯
派遣先R課長にフィードバック
Kさんへの研修を終えた翌日、Kさんはいつもどおり出社するとともに、私は私でR課長にアポイントをとりました。
色々と伝えないといけないこと、今後に向けて調整をしなければいけないことがあるのです。
「R課長、昨日一日 Kをお借りしてヒアリングですとか研修を実施しました。その中で色々なことがわかりまして、今後に向けてお打ち合わせをさせていただければと思っています」
「まず、当初ご指摘を頂いたExcel基本操作のスキルなのですが、これは私が確認する限りも確かにスキルはありました」
R課長は特に反論するでもなく頷きます。
「課題だと感じたのは、『大量の伝票をベースに、見積書や請求書を作るための表を作成する』という問題をやってもらったときに、自分で考えるよりも先に聞くということ、出来上がった表を見るに先々の仕事のプロセスまで見通した作りになっていなかったということです」
「いわば受け身な仕事に対する取り組み方を感じたものですから色々とヒアリングをしたところ、これまでの経験は定型業務が多かったようです」
「前にもお話をさせて頂きましたが、やはり今回の件はOAスキルのミスマッチというより、仕事の仕方のミスマッチということなのだと感じました」
「本人にも同じようなフィードバックをしました。ズバリ指摘されたので落ち込んだ様子もありましたが、自分なりに努力をしてやっていきたいと言っています」
「長々一方的にお話をしてしまって申し訳ありません。そんなわけでKにつきましては少なくとも今の契約期間に関しては様子を見ながらお仕事をさせて頂ければと思っています」
話を聞き終えてしばらく沈黙するR課長。
私の目先の仕事はKさんの現契約期間分のD社でのポストを維持することです。
当初「契約を守っていないから、すぐに人を入れ替えてくれ」といった強硬な主張をしていたR課長を警戒して、お客様とはいえ、必要以上にへりくだった言い方は避けたのでした。
ただ、スキルやパフォーマンスについて問題提起をされているKさんに全く課題がなかったなどということはあり得ませんし、理屈もなく派遣社員を守るような言い分はR課長にも受け入れ難いでしょう。
一日Kさんと向き合って、「こういった課題を発見したが、このように本人にはフィードバックを行い、今後はこのようにやっていくと約束をしてもらった」というような、私が間に入ったことによる価値を示さなければいけないのです。
とはいえR課長からすれば、私の話を次のように受け止めたでしょう。
「契約している業務内容の遂行に必要だとされていたスキルや経験はあることは確認した。問題はあくまで能動的か受動的かといった本人の働き方の問題だと考えているし、本人は能動的に頑張ると言っているんだから、今の契約期間中は何があっても働かせてもらう」
実務で思うようにアウトプットをしてもらわなければ意味がないと考えるR課長の立場はわかりますが、私にも譲れないラインがあるのです。
- 当社として今回のポストにKさんが就業してもらったことに関して、KさんはR課長が当初求めたスキルや経験を有しているし、契約上の落ち度はないと考えている
- とはいえ、ミスマッチを起こしている現状に対して、R課長の考えをヒアリングし、KさんのスキルやD社で実際に求められる働き方に対する課題点を顕在化し、本人にフィードバックをし、本人なりにR課長からの求めにマッチする働き方の努力をするという決意表明をしてもらった
- また、そのような調整は派遣会社あってのものであるし、今後も随時間に立って調整をするつもりであり、派遣会社としての役割は果たしている
- 事前に見抜ければよかったが、この手のミスマッチは派遣に限らず起こりうることであるし、改善ができない類のものではない
- 問題はKさんだけにあるわけではなく、仕事の指示やレクチャーがぶつ切りや曖昧であったりする今の職場環境では、Kさんに限らず早期の立ち上がりは難しかったであろうことが想定され、職場環境の改善が望まれる
- R課長が一部の業務のみをもって「全くできない」と判断をしたために、他の業務に手もつけさせてもらえておらず、その状況をもって「できない」とする判断は強引である
さて、R課長は私からの投げかけに対してどのような反応をするのでしょうか?