【続編15】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「Excel基本操作」をめぐって両者の意見が食い違う派遣社員Kさんのクレーム対応

【続編15】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】「Excel基本操作」をめぐって両者の意見が食い違う派遣社員Kさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてD社でスタートしたばかりの30代男性の派遣社員Kさんですが、派遣先から「Excel基本操作はできると聞いていたのに全くできない!」というクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

R課長との論争には勝利したものの・・・

「求められたOAスキルや経験はあるんだから、あとは仕事に必要なレクチャーは派遣先でしろって言うんですか?」とお客様と業者という力関係を背景に無言の圧力をかけてくるR課長。

気持ちはわからなくもありませんが、人材派遣には成果物責任はありませんし、思ったような人材でなかったからといって「すぐに人を変えてほしい」などという都合の良い契約はありません。

人事に携わった人でもない限り実感がないのでしょうが、都内の事務職で言えば、たかだか1時間あたり2,200〜2,300円のコストで求めるスキル・経験に見合った人が手配され(採用コスト)、社会保険などの煩雑な手続きや保険料の企業分負担が支払われ、給与計算が行われ(労務コスト)、有給も付与され、何かトラブルがあれば営業担当が問題解決をしてくれる(管理コスト)なんて、正社員や契約社員を直接雇用することに比べたらとても安いものです。

しかも3ヶ月ごとに契約の更新を行うため、業務量が減れば契約を更新しないこともできる。

派遣先の担当者は人材派遣が派遣先にとって非常に都合の良いサービスであること、反面派遣労働者にとって非常に不利な労働契約であることを知るべきです。

「時給換算したら我々正社員と近い時給を払ってるのに・・・」なんて間抜けた台詞を言う担当者に稀に遭遇しますが、そのような不勉強さでどうして今までサラリーマンとして仕事ができていたのだろうと不思議になります。

労働力の仲介業者である派遣会社の営業担当は間に挟まれる弱い立場ですから、なかなか派遣先に対して釘を刺すことは難しく、派遣先の言いなりになってしまう営業担当もよく見かけますが、これまで私がR課長にしてきたような強弱をつけた「派遣先への教育」とも言えるアプローチは不可欠なのです。

さて、これまでの地道な「教育」の甲斐あってKさんのスキルや経験のミスマッチをもってして「契約が守られていない」とする主張は引っ込め、業務の指示やそのレクチャーの仕方について改善が必要であるという私の問題提起を否定しませんでした。

建前論の論争では勝利を収めましたが、それに勝ったところで解決とは言えません。

お互いに良いかたちでKさんがこのポストで仕事を続けられるには、Kさんに仕事を指示したりレクチャーをする指揮命令者を増やすということがポイントになりそうです。

しかし、そんなことが簡単にできるものなのでしょうか?

派遣先R課長から入電

それから数日後の日中、R課長から電話がありました。

「先日のKさんの業務の件なんですが・・・」

「部下とも話して色々と検討をしてみたんだけども、私は私で今の業務量を減らすことができないからKさんとのかかわり方をすぐに変えることはできなそうです」

「部下にKさんへの指示やレクチャー役を頼もうと思ったんですが、その者たちも会議や外出が多くて、私と同じようなことになると思うんですよね・・・」

話の雲行きがだいぶ怪しくなってきました。

「色々考えてみたけど状況を変えることはできない」のはわかりました。

しかし、だからなんだというのでしょう?要するに受け入れ態勢ができていなかったのです。

「毎日忙しいから人を増やせばなんとかなるに違いない」という程度の浅い考えで、とりあえず派遣で試してみようとでも思ったのでしょうか?

もともと長期の仕事として聞いていましたから、一番の被害者はKさん、私としても振り回されていい迷惑です。

「・・・それでですね、ここからが相談なんですが、隣の部署の課長と話したら、たまたま派遣を募集しているってことなんですよ・・・」

私の本音

結局、Kさんは隣の部署の募集にスライドをしてもらい、今もD社で就業を続けてもらっています。

たまたま似たような業務であったこと、複数の派遣社員が就業している部署であり、受け入れ態勢が万全であったことなどが幸いして、異動をしてから立ち上がりの1ヶ月程度はもたついたものの、一度仕事を覚えてしまえば着々と正確に仕事をしてくれるKさんは重宝されているのです。

今回のトラブル対応に対するエピソードを通して、「人材のミスマッチに対する派遣会社の責任はないのか?」という思いを持った方も多いと思います。

営業担当として、事前にもっとR課長に深掘りしたヒアリングを行なっていれば、もしかしたらKさんを派遣社員しない、もしくはR課長の案件はそもそも人選をしないという選択肢もあったかもしれません。

しかしそれは結果論であって、当初、R課長が任せたい業務内容や求めるスキルや経験とKさんのスキル・経験は確かにマッチングしていましたし、就業開始後主にR課長の認識の違いによるギャップが発生した際には、両者のミスマッチの原因を突き止め、問題解決のための道筋を示しています。

自己満足と言われればそれまでですが、派遣会社の営業担当としてその都度出来る限りのことをしたつもりです。

また、このようなミスマッチは派遣社員に限らず起こりうることであり、発生しうる問題をすべてクリアにした上でなければ人材を派遣できないというようなことであれば人材派遣というビジネスは成り立ちません。

「転職は入社して働いてみないと成功か失敗か判断できない」というのは一般的な認識だと思いますが、我々派遣会社の営業担当は出来る限りミスマッチを未然防止すること、ミスマッチが発生した際にその原因を突き止め、問題解決の道筋をつけることに役割があるのです。

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