【続編⑤】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】やたらに正義を振りかざす派遣社員Gさんのクレーム対応

【続編⑤】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】やたらに正義を振りかざす派遣社員Gさんのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてK社で半年程度働いてくれている40代男性の派遣社員Gさんですが、「仕事の指示の仕方やオペレーション、職場の同僚との人間関係など、とにかく自分なりの正義を振りかざし、その度に仕事が止まってしまい困っている」という派遣先からクレームがありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

対応経緯

派遣社員Gさんへのヒアリングは物別れに終わる

「わかりました。Gさんのお考えはわかりましたので、これ以上、議論してもお互い時間がもったいないですよね」

「私は派遣先のいうGさんへのネガティブな評価についてGさんの意見も聞いて真偽を確かめたり、必要があれば第三者目線で『こうしたほうが良いのでは?』といったアドバイスをさせて頂ければと思っていました」

「ただ今日のお話で、Gさんは派遣先の言う指摘は正しくないと受け止めていることがわかりました」

「お伝えしておきたいのは、今日のGさんとのお話を踏まえた私の主観として、派遣先の言う『一つ一つの仕事の意味合いを確認するのに、SVをはじめとした関係者を頻繁に巻き込むということが、Gさん自身の時間はもちろん周りの方々の時間も奪うことになり、合計すると時間がかかる』という意味合いが実感としてわかったということです」

「私は派遣先と派遣社員の間に立つ立場ですので、できるだけ中立でいたいと思っています」

「とはいえ人間ですから間違えることもありますし、何が正しいかはどの視点で見るかによって変わりますから、自分で納得したことを判断軸にするようにしています」

「お仕事中ですし、これ以上時間を取るわけにも行きませんから今日のお話はここまでにしておきましょう」

私の言葉のニュアンスを読み取ってか、Gさんが噛み付いてきます。

「なんですか、それは?私が言うことを聞かないから派遣先の言う通りだって理解したってことですか?」

派遣先からのネガティブな評価が気に食わなかったとしても、評価は他人が下すものですから良い時も悪い時もあります。

評価は評価者によって正しくない評価が行われることがあるのも分かっています。

派遣社員の雇用は有期契約であり、多くの場合は派遣先と派遣会社の派遣契約(商契約)に紐付いています。

つまり、派遣先から派遣社員への評価が低ければ契約は更新されないわけで、派遣会社の営業担当はその評価が良くなるよう、「派遣社員とどうすれば派遣先の評価が上がるかを話し合い、実行してもらう」というかたちで努力をするわけです。

今回のGさんのように派遣先からのネガティブな評価をくつがえすための歩み寄りを全くしてくれないようなケースでは営業担当として打つ手がありません。

ここは一旦Gさんを突き放し、そのことで内省を促すしかないのです。

「そんなことは言っていませんよ。あくまでお伝えすべきをお伝えしただけです」

珍しく物別れのまま打ち合わせを終えました。

私としては「Gさんが引き続きK社で働きたいと考えるなら、何をすべきか考えて欲しい」と思ってのことですが、おそらく彼は「言い負かされた腹いせに『派遣先からのクレーム通りの人物という確証を得た』と捨て台詞を言い残し、これを機に派遣先と結託して契約を切るつもりだ」とでも考えているでしょう。

ただこれ以上この場で彼と議論をしたところで何も得るものがないのです。

派遣社員Gさんからの反撃に備える

Gさんとの話し合いが物別れに終わったところで私にはもう一仕事残っているのです。

一つは派遣先に状況を伝えること。もう一つは社内調整をすること。

私の考えとしてはなんら後ろめたいことはありませんが、物別れに終わったことを受けて不満に思ったGさんが派遣先や当社に都合の良い言い分で抗議をしてくる可能性は十分にあります。

それ自体を止める理由はありませんが、そのような抗議を受けた派遣先や当社内への釈明や説明に時間を費やすのはとても無駄なことです。

事前に両者に対して根回しをしておくことで無駄な時間を削減できるとともに、派遣先に抗議しても当社の然るべき部署に抗議をしてもラチがあかないGさんは私と向き合いしかなくなるのです。

さて、まずは派遣先への根回し。

「H課長、先ほどまで弊社のGと面談をしていたのですが、そのことで少しご相談がありまして・・・」

先ほどのGさんとの話の経緯を、Gさんが不利な受け止めをされないように気をつけながら話します。

「Gに御社からのご指摘をフィードバックすることをきっかけに少しでもお互い気持ちよく仕事ができるよう、歩み寄るようにアプローチをしてみたのですが、今のところなかなか議論が噛み合いませんで・・・」

「そう言った意味では御社のご指摘の通り、そもそも論やあるべき論で話の本筋をズラされてしまうところがあるようでして・・・」

私からの話を受けてH課長は「ほら、言った通りだろう」と言わんばかりに苦笑をしています。

私がH課長に伝えた内容は派遣社員として働く方の目線からすると「派遣先の言うことに迎合して、派遣社員を売った」というように受け止める向きもあるかもしれません。

しかしよくよく考えてもみてください。派遣先と派遣社員の間に立つ立場として、派遣社員だけを守るような発言を繰り返したら派遣先はどう感じるでしょうか?

「自分のところの派遣社員を守りたいという気持ちはわからなくもないが、こちらのことはいっさい考えてくれない営業なのだな」と感じると思いませんか?

片方からしか支持を得られないアプローチなど調整でもなんでもありません。ある程度相手に共感しつつ、伝えるべきを伝えて両者にとってメリットのある状況を作り出すのが仲介業における調整なのです。

ですから、H課長に対して私が伝える次のセリフはこうなります。

「ただもう少し私から彼に働きかけをさせてもらえませんか?良いご評価も頂いているわけですから、このまま何もせずに諦めてしまうのはもったいないですし」

「あと、今回はGへのアプローチの手段の一つとして一旦突き放したような言い方をしています。もしGがH課長やSVさんに対して私や当社を否定的に言うようなことがあっても、あまり真に受けないで頂きたいんです」

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