【続編⑦】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】部長のお気に入り派遣社員Bさんのクレーム対応
私の担当派遣社員としてA社に入社した30代女性の派遣社員Bさんですが、その仕事への取り組み方や業務態度について派遣先の現場担当者からクレームがありました。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
対応経緯
派遣先D課長への状況報告
職場のメンバーにC部長との不倫関係を疑われて好奇の視線にさらされ、やりづらさを感じているBさん。
C部長に相談をした時のアドバイスもあり、2週間程度を目処に様子を見てみるという判断をしたのでした。
今のところ出番のない私はとりあえず様子見をしたいというBさんの意見を受け入れます。
さて、このまま時間が過ぎるのを待ってもいいのですが、いずれにしても事態が好転することはなさそうです。
後々は私が間に立って問題解決をすることになりそうですから、現状を都度D課長に伝えておくことで、いざという時に「以前からご相談をさせて頂いていた件なのですが・・・」と話を早く進めることができるのです。
D課長の尊大な態度には辟易していますから、はっきり言って積極的にかかわりたくはありませんが、そのような思いは間違いなく相手に伝わります。
ここは仕事と割り切って前のめりに対応をしていきましょう。
「D課長、すみません、お忙しい中何度もお時間を頂いて」
「あぁ、いいよ。それで今日はなに?」
相変わらずの上から目線の受け答え。しかし前回の打ち合わせでは怒声を浴びせられつつも言うべきことは言うという態度を貫いたことが功をそうしているのか、友好的な雰囲気を感じます。
D課長のような相手に対して常に上位に立ちたいがために威嚇を繰り返すような人は、実のところ強い劣等感を抱えていて自分に自信がなかったり、根っこの部分が弱気だったりします。
怒声を浴びせることで萎縮してしまう人にはそれなりの対応しかしませんが、自分を立ててくれつつも負けずに自分を押し通してきたり、何度やり込められてもめげずに懐いてくる人には急に態度を軟化させてきたりしてくるのです。
そう言った意味では、D課長はBさんのゴタゴタをきっかけに私に対して徐々に態度を軟化させつつある手応えを感じます。
「先日Bと面談を致しまして、その状況のご報告でお伺いさせて頂いたんです」
「なにか結論が出たわけではなく、経過報告というところなんですが、Bはまわりの皆様から陰口を叩かれていると言いますか、なにかしらの悪意を持った目線で見られていることを感じているようでした」
「その理由はわからないと言っていまして、そのような目線の理由がC部長との関係であるということまでは耳に入っていないようです」
「しばらく様子を見たいということで、2週間程度後にもう一度面談をしてみようと思いますが、何かのきっかけでそのようなやりづらさの理由がC部長との関係にあることを本人が知った時にどんな反応になるのかが心配です」
「先日の本人の話ぶりは穏やかでしたし、性格的にも極端な行動をとるようには思えないので、そこまで心配はしなくてもいいかとは思いますが、反面、急な退職のリスクはあると思っています」
D課長はめずらしく私の話を最後まで口を挟まずに聞いています。
「そうか、わかった」
「俺は部下からBの件を聞かれても何も答えないようにするよ」
「Bが辞めるぶんにはどうにでもなるけど、揉め事になるのだけは避けたいから、そこは状況を共有しながらやろう」
先日とは打って変わって冷静な対応です。彼の機嫌が良いこの機会に一つ質問をしておきましょう。
「それにしても課長、なぜ職場の皆さんはC部長とBがそういう関係にあるって知ったんでしょうか?話の出元は誰なんでしょうかね?」
するとD課長は急に苦虫を噛み潰したような表情になって、私の質問に答えません。そして数十秒の沈黙があったあとにため息と共に口を開いたのでした。
「・・・いや、それがね・・・C部長本人みたいなんだよ」
「えっ?どういうことですか?」
再びしばらくの沈黙の後に話し始めます。
「・・・それがさ、Bが入ってくる前にC部長と部下数名で飲みに行ったらしいんだ。そこでC部長が酔っぱらった勢いで『知り合いの女性を派遣でウチに入れようかと思う』って話したらしいんだよ」
「その後の会話の流れで、その女っていうのがどうやらC部長と良い仲みたいだって読み取れる感じだったみたいでな・・・」
「その飲み会に出た誰が漏らしたのかわからんけど、噂好きのお局ババァに『C部長が自分の不倫相手を派遣で手もとに呼び寄せるらしい』って半ば事実みたいに伝わったみたいなんだよ」
「こんな話、社内の恥だから本当はあんたにいう話じゃないんだけどな・・・」
確かにこんな話、社内の恥以外のなにものでもありません。
当初は「C部長と不倫関係にあるBは職場の風紀を見出すから、すぐに辞めさせろ」と怒声と共に強硬に主張していたD課長のやり方には共感できませんが、彼も被害者であることは理解ができます。
これでC部長とBさんの不倫関係は根も歯もない噂ではないということが確認できました。とはいえ、この問題とどのようにかかわっていきましょうか。
そもそも当社としてはBさんがきちんと求められた働きをしていれば派遣会社としての役割は果たしているのです。
C部長とBさんの不倫関係については私がかかわるべきことではなく、またかかわりようもありません。
つまりBさんが表面上だけでも平穏に仕事をしてくれていれば、誰から文句を言われるようなものでもないのです。