【続編③】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】仕事ができすぎる派遣社員Tさんが気に食わない派遣先担当者B課長からのクレーム対応

【続編③】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】仕事ができすぎる派遣社員Tさんが気に食わない派遣先担当者B課長からのクレーム対応

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私の担当派遣社員としてD社で就業を開始した30代女性の派遣社員Tさんは、非常に優秀で前向きかつ自発的に仕事に取り組み、就業開始早々ながら業務改善や業務効率化では社員以上の成果をあげる人物。

本来であれば派遣先からその働きへの評価や称賛があって然るべきですが、指揮命令者であるB課長はなぜか正しく評価をしてくれず、関係は悪くなるばかりです。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣社員Tさんとのフォロー面談

入社2ヶ月目にして大きな業務改善の取り組みを成功させたのに、派遣先B課長から良く思われていないように感じるというTさん。

B課長からの心証が悪いことに「全く思い当たることがない」というTさんですが、私はTさんの前向きで高度すぎる彼女の仕事ぶりが逆に不興を買っているのでは?とあたりを付けたのでした。

前向きに、スキルフルに仕事に取り組む人に対して、「もっと受け身に、適当に仕事をしたほうがいいですよ」と言うほど難しく、誤解を招くアドバイスはありません。

さて、どのようにTさんに伝えていきましょうか。

「・・・Tさん、誤解のないように聞いていただきたいんですが、B課長やその職場の皆さんとして『いままで通りに仕事をしたい』というような雰囲気はありませんか?」

Tさんは不思議そうな顔をして私を見ています。

「どういう意味ですか?」

「はい、変化を嫌う人っていうのは思った以上に多くいるのでは?ってことです」

私は一呼吸おいてから言葉を続けます。

「Tさんがこれまでの経験やスキルを活かして、業務改善や業務効率化を行うのは前向きな話だから止めるのはおかしいけれど、心情的には『いままで通りに仕事をしたい』とか『やり方が変わると新しくやり方を覚えたり、他の仕事をやらなければいけなくなるんじゃないか』という心配をする人がいると思うんです」

「前向きで良い話だから正面切って反対はできないけれど、影ではTさんを良く思っていないなんてことがあるんじゃないかなって心配になりました」

Tさんは私が話し終えると「・・・あぁ、なるほど」と呟くように答えます。

「B課長がそう思っているのか、周りの皆さんがそう思っているのを正面切ってTさんに言えないから微妙な態度になってしまうのかはわからないんですが、そんな懸念ってありませんか?」

私からの問いかけに少し考えてから口を開きます。

「・・・そう言われてみると、そんなこともあるような・・・なんとも言えませんね。でも、そんな人の足を引っ張るようなまねって社会人としてどうなんですかね?」

確かにTさんの言う通りです。

「そうですね。本当にそう思います。ただ、そういう可能性も考えながら対応をしていかないと仕事がやりづらくなるばかりですからね・・・」

あくまで想定ではありますが、段々と状況を理解し始めるにつれ、Tさんの不満は強まってきたようです。

「派遣で働くのは今回が初めてなんですが、派遣ってどこもこんな感じなんですか?頑張ったら足を引っ張られるみたいな」

いたずらに不満や不安を煽るつもりはありませんが、B課長がTさんに対して悪感情を抱いているようだというからには何かしらの原因があるはずです。

ここで「Tさんは頑張っているんだから大丈夫ですよ」などと無責任に太鼓判を押してしまい、今後行う予定のB課長へのヒアリングの結果、Tさんに対しても何かしらの改善を求めなければいけないような状況が発生した場合に全く収拾がつかなくなってしまうのです。

「いえ、派遣だからというより、どこの職場でも起こりうる問題だと思います」

「Tさんが良いとか悪いとかいうことではなくて、どの会社、どの職場でも仕事の進め方は様々ですし、私もこの仕事を初めて十数年経ちますが、同じ派遣社員の方がこの職場では高く評価されても、あの職場では低く評価されるなんてことはよく見聞きする話です」

私の言葉に納得はしつつも、心情的にはすんなり腹落ちしない様子です。

「・・・そうですかね。派遣だからって差別されているように感じるんですけど」

Tさんとしては数ヶ月とはいえ、これまでのキャリアを活かしてD社で精一杯仕事をしてきた自負があるのでしょう。それを否定するようなことは言ってはなりません。

「そうですか・・・そう受け止められるのも無理はないかもしれませんね・・・」

「Tさんの経験やスキル、それを活かして前向きに業務改善や効率化を進めていく姿勢は、個人的にとても尊敬できることだと思っています。私の会社に来てほしいくらいですよ」

Tさんは照れ隠しか、少し苦笑いをしながら私の話を聞いています。

「Tさんは派遣だから『差別』されているとおっしゃいましたが、言い方が適切でなかったら恐縮なんですが、派遣だからという理由で仕事の任せ方を『区別』する派遣先は多いです」

「人材派遣というのは業務内容を明確に定めて、それを遂行していくという働き方ですから、日本型の正社員みたいに『能力』を土台にして、その能力を高めるために色々な仕事をしてもらおうという考え方ではないんですよ」

「仕事や職場はそこまで明確に線引きできるものではないですが、極端にいえば『契約で決められて仕事だけを行う』ってことになります」

「なので対価も払っていないのに不用意に契約外の仕事を任せてしまって契約違反になるのを恐れて、正社員と派遣社員の仕事を明確に『区別』する派遣先が多いんです。むしろこちらの方がスタンダードだといえます」

「派遣先も担当者によって様々で、『前向きでなんでも一人称で自主的に仕事をしてくれる派遣社員が欲しい』なんて言う派遣先もあるんですよ」

「ただ、そんな感覚的な派遣先の要望は業務内容の拡大解釈につながり兼ねないし、悪くいえば対価を支払わない搾取になり兼ねません」

「私たち営業担当は、そういう派遣社員の不利益やトラブルを避けるために、こういった面談の中で派遣社員の業務内容を把握して、派遣先への時給交渉といった具体策に落とし込んでいるんですよ」

「・・・なるほど・・・」ため息のように軽く息を吐きながら返事をするTさん。

ずいぶん理屈っぽくなってしまいましたが、派遣社員という働き方について理解を深めてもらえたようです。

ここまではあくまでTさんにモチベーションを落とさずに現状理解をしてもらうためのフェーズ。

さて、このあとは今後の対策について作戦をさて、私とTさんの共通認識にしなければいけません。

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