【続編13】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】仕事ができすぎる派遣社員Tさんが気に食わない派遣先担当者B課長からのクレーム対応
私の担当派遣社員としてD社で就業を開始した30代女性の派遣社員Tさんは、非常に優秀で前向きかつ自発的に仕事に取り組み、就業開始早々ながら業務改善や業務効率化では社員以上の成果をあげる人物。
本来であれば派遣先からその働きへの評価や称賛があって然るべきですが、指揮命令者であるB課長はなぜか正しく評価をしてくれず、関係は悪くなるばかりです。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
対応経緯
1週間ぶりに会うTさんは少し元気のない様子。
聞いてみると昨日職場の派遣社員から『入ってきたばかりのあなたに、なんでそんな上から目線で言われなきゃいけないの!?』と逆上されてしまったということです。
細かく聞いてみると一方的にTさんが悪いというわけではないようですが、派遣先B課長や同じ職場で働く当社の派遣社員Fさんも言うように「新人なのにでしゃばりすぎ」といった言動は確認できたとともに、やはり根本的な原因は保守的な職場環境にTさんの仕事に対する考え方が合っていないということです。
「B課長からもはっきり『派遣社員はお願いしている仕事をしっかりやっていただければ、それでいい』と言われています」
Tさんにとっては結論に近いこのコメントに、彼女はどのように反応するのでしょうか?
派遣社員Tさんへのフィードバック
「そうですか・・・」「じゃぁ、私はいらないってことですかね・・・」
呟くように話すTさん。
「いえ、そう言うことではなく、この職場は与えられた仕事を粛々とやってもらうという働き方を求められているってことです」
「つまりTさんが今後、職場で求められているように働いていくのか、そうでないのかを選択するってことだと思います」
うなだれていたTさんは急に頭を上げ、少し語調荒く言葉を返してきます。
「そんな言い方ズルくないですか!?結局辞めろって事ですよね?」
このような反論は予想していました。見極めが必要なのはTさんがどこまで本気で主張をしているのかということです。
今回のトラブルはあくまで働き方のスタンスの違いに端を発した職場の人間関係のトラブルです。
仕事に前向きなのは大変結構なのですが、前向きであれば周りの人たちになんでも言っていいわけではありません。また、スキルが高ければスキルの低い人になんでも言っていいわけでもないのです。
結局Tさんは自分で自分の首を締めたのです。ただそれを認められない人も多い。
雇用主である派遣会社として、もしくはTさんの営業担当としてこれまでの対応に後ろ暗いことは何一つありませんが、この状況でTさんが一方的な認識を元に「派遣会社から辞めろと言われた」「職場でハラスメントにあっている」と主張をし、何かしらの対価を求めてくることも警戒しなければなりません。
繰り返しになりますが、彼女がどこまで本気で言っているかということです。
労務トラブルにおいて労働者は圧倒的に優位。頻繁に労務トラブルに見舞われる派遣会社の営業担当はその対応にナーバスになりがちです。
単に感情的になって口走った一言を労務トラブルの入り口と過剰反応してしまい、問題解決を急ぐあまりに労務トラブルを抑え込むための切り返しを浴びせかけてしまう。
それを受けた派遣社員側は「この営業担当は私の話を聞くというより、トラブルを抑え込みたいだけなのだ」と感じ、実際の労務トラブルとして顕在化してしまうといったケースが散見されるのです。
まずはTさんの主張をじっくり聞いてみましょう。
「それはどういう意味ですか?」
意識してゆっくりとした口調で質問をします。
「だって、仕事ができない人に少しでも仕事ができるように働きかけるのは当たり前じゃないですか!」
「保守的だなんて、ただの言い訳にしか聞こえないです!」
「効率の悪い仕事の仕方をしている人たちに合わせろだなんて、辞めろって言っているのと一緒です!」
理屈が合っているようで合っていないTさんのコメント。どうやら感情的に口走っているだけのようです。
「そうですねぇ・・・Tさんのおっしゃることもわかるんですが、やはり職場は人の集まりである以上、理屈に合わないこともあるんだと思うんですよ・・・」
「さきほど『選択』って話をしたのは、今の職場で働き続ける以上は職場の仕事の仕方にある程度合わせていくしかないわけですから、それに対してTさんがどう思われるのかをお聞きしたいって意味でした。誤解させてしまったならすみませんでした」
「今回の件は、Tさんがこの職場に合うかどうかということと、派遣社員という働き方が合うかどうかという2つの視点からの選択だと思うんですよね・・・」
それにしてもここまでのやり取りの中でTさんに感じていうことがあります。
それは「当のTさんが一番派遣社員という働き方に対して差別意識を持っているのではないか?」ということです。