【続編②】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】一体誰が指揮命令者なの!?派遣社員Sさんのトラブル対応

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私の担当派遣社員としてK社で働き始めた30代男性の派遣社員Sさんですが、「X社に派遣されているはずが、その取引先のY社の社員から指揮命令を受けていてどうにかしてほしい」という相談がありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

二重派遣や偽装請負といった派遣のようで派遣ではない違法な契約形態についての予備知識を得たところで、「X社に派遣されているはずが、その取引先のY社の社員から指揮命令を受けていてどうにかしてほしい」という相談をしてきてくれたSさんの問題解決を進めていきましょう。

その内容によっては派遣先に対して違法性を指摘しなければいけない内容でもあるため、両者に慎重なヒアリングを行い、当社としての考えを伝えていかなければなりません。

まずはSさんに現状を確認することからスタートしましょう。

派遣社員Sさんへのヒアリング

「Sさん、ご相談を頂きましたお仕事の件なんですが、詳しくおうかがいしたくてお時間を頂きました」

Sさんは30代の男性です。経験上、男性の派遣社員の方にはクセの強い方も多いのですが、Sさんは明るく素直な印象で裏表を感じさせません。

「早速お話を聞いていただける時間を作ってもらってありがとうございます」

「この前、電話でお話をした通り、指揮命令が派遣先のX社の社員じゃなくて、その取引先のY社の社員からなんですよ・・・判断を求められることも多くて困ってて・・・」

登場人物の相関や環境がわかりづらいかもしれませんから、今一度関係性を整理します。

  • X社はY社から業務を請け負っている
  • X社は自社の社員2名と複数の派遣会社から集めた派遣社員10名でプロジェクトチームを作り、業務にあたっている
  • プロジェクトチームは発注元であるY社の中に間借りしている
  • 発注元であるY社の担当者はプロジェクトチームの隣に机の島にいるが、X社のプロジェクトチームの独立性を維持するために高めのパーテーションで仕切りを設けている(ただし机の島の並びの途中をパーテーションで区切っただけで、独立した部屋になっているわけではない)

今回のように発注した会社の中で、受託した会社が常駐して業務にあたるようなケースでは、業務請負や業務委託契約などで認められない発注元から受託先への実質的な指揮命令が懸念されます。

そのような偽装請負と懸念される事柄を防ぐため、発注した会社も受託した会社も注意を払っているのです。

その際のガイドラインとなるのが『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)』であり、その具体例が記載された『疑義応答集』です。

代表的なのが受託した会社が発注した会社の中で作業をする時にパーテーションなどの仕切りを設けるといった対策。

この職場でもそのような対策がなされているということは、コンプライアンスの意識があり、厚生労働省から出されたガイドラインや通達を参考にしていることが汲み取れます。

となれば、Sさんがいうように、常駐してる発注先X社の派遣社員に直接指揮命令をするような迂闊な行為をすることは考えづらいのです。

「そうなんですか・・・それは困りましたね。ご不快な思いをさせてしまってすみません」

「言い訳にしか聞こえないかもしれませんが、事前にX社にはそそういったおかしな指揮命令関係がないかは確認していたんですが・・・」

するとSさんは少し恐縮そうな表情で話します。

「いぇ、派遣会社が悪いのでないのはわかってるつもりなんです。ここの職場は発注元のY社の担当部署とは仕切りで区切られていて、実は業務フロー的にも完全に独立してるんです」

「なので本来はこんなご相談をするような不備のある職場じゃないんですけど・・・・」

話をしているのがY社の中の人の出入りのあるリフレッシュルーム、Sさんは人目を気にしているようです。

「Sさんのお話だと、もしかしたら発注元のY社の特定の方がそういった行為をされてるってことですか?」

少し小声で問いかけると、Sさんはゆっくりと首を縦に振ります。

「あんまり大きいお声では言えないんですけど、Y社のD課長って方がいて、この方がクセ者なんですよ」

「気に入らないことがあるとズカズカこっちのブースに乗り込んできて、あぁでもない、こうでもないってやり始めるんです」

「ご存知かもしれないですけど、ここに常駐してるX社の社員ってみんなおとなしい方ばかりじゃないですか・・・」

Sさんは気を使って「おとなしい方」と表現しましたが、実のところはあまり仕事のお出来にならない方と言っていいでしょう。

特にプロジェクトの責任者であるKリーダーは穏やかな人柄なのは結構なのですが、とにかく話が長くてまどろっこしく、しかも結論がない。

Sさんは日頃仕事上の関わりが強いのでご苦労をされていることでしょう。

派遣先であるY社 Kリーダー、発注元のD課長、この2人が中心的な登場人物になりそうです。それぞれの相関についてもう少し掘り下げてヒアリングをしていきましょう。

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