【続編⑤】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】一体誰が指揮命令者なの!?派遣社員Sさんのトラブル対応

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私の担当派遣社員としてK社で働き始めた30代男性の派遣社員Sさんですが、「X社に派遣されているはずが、その取引先のY社の社員から指揮命令を受けていてどうにかしてほしい」という相談がありました。

その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。

派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。

 

対応経緯

派遣先X社 Kリーダーとの打ち合わせ

「私の勘違いなのかもしれないんですけど、他のメンバーから聞くに、どうやらこのD課長とSさんが一緒になって私を貶めようとしているみたいなんですよ」

Kリーダーが口にしたにわかには信じられない一言。本当にそんなことがあるんでしょうか?

「本当ですか?なにかそう感じられる出来事でもあったんでしょうか?」

あの人柄の良いSさんが発注元Y社のD課長を巻き込んでKリーダーを貶めるなんていう悪質なことをするようには思えません。

「・・・証拠みたいなことではないんですけどね・・・社内のことなんであんまり詳しいことは言えないんですが」

Sさんにそれだけの疑いをかけながら根拠は示せないというのはずいぶん失礼な話です。

また「Y社からSさんへの違法な指揮命令という懸念」を表明した私の話をまともに取り合わず、自らの立場への関心のほうが強いことを考えると、コンプライアンスといったプロジェクト運営に対する大局観を期待することはできないようです。

まだ両者の話をしっかりヒアリングできていませんからなんとも言えませんが、Sさんが主張する「Y社からSさんへの違法な指揮命令」という問題についてはKリーダーではなくX社本社を巻き込まなければ解決できそうにありません。

頭の中でそんなことを考えつつ、Kリーダーに問いかけます。

「そうですか・・・ただどんなことがあったかお教えいただけませんとSに対して何か注意ですとか指導をすることもできないんですが・・・」

Kリーダーは少し考えてから答えます。

「・・・いぇ、御社に何か対応して欲しい訳じゃないんですよ。とりあえずそういうことがあると認識しておいて貰えれば」

???何を言いたいのでしょう。私が裏付けも示されていないSさんへの疑いを知らされていたとしてなんの意味があるのでしょうか?

「・・・それは今後Sの契約更新が難しいという伏線でしょうか?」

少し踏み込みすぎだったかもしれませんが、根拠もなくSさんの契約を終了されてはたまりません。威嚇の意味も込めて考えをぶつけておきましょう。

「え、いやっ、ですからそういう意味じゃなくて、単に今思っていることをお伝えしただけです・・・」

Kリーダーは少し慌てた様子で答えます。

「そうですか、それでしたら安心しました。Sがおかしなことをしているから先々危ないぞって意味かと勘違いしまして。変なご質問をして申し訳ありません」

心の中では舌を出しながらお詫びをするような言葉を返します。

「お伝え頂けないことでしたら仕方ないんですが、やはりK様がSに対してそのような疑いを持つ理由が気になります。何かタイミングがありましたらお教え頂ければと思っています」

改めて「疑いを向けるからには根拠を示さないと信用しないぞ」という意味合いの釘を指します。

「それと先程申し上げましたY社からSへの直接の指示という懸念なんですが、これは全くないという理解でよろしかったでしょうか?」

話の主導権がこちらに移ってきたこのタイミングに、一旦はごまかされてしまった問題提起を蒸し返しましょう。

「本人がそういった主張をしているわけではないですが、徐々に状況が深刻化して、いきなり『偽装請負』とか『二重派遣』といったコンプラ問題の訴えになったら御社も私どもも困りますから・・・」

発注した会社の中に受託した会社のメンバーが常駐し、そのプロジェクトチームに派遣をするといった今回のような環境では偽装請負や二重派遣といった状況は最も避けるべき事柄です。

特にこれまでそういった違法な状況が常態化していたIT業界では、発注した会社の社員と常駐する受託した会社の社員をわざわざ別の階のフロアに配置するといった手間とコストをかけた対策を行なっている会社も多いのです。

「・・・そうですね、ないと思っているんですけど、確かに心配なので私も気をつけて見ているようにしますし、発注元のY社にも注意喚起をしておきます」

SさんとKリーダーの主張は食い違いがありますが、KリーダーがD課長のSさんへの直接の指揮命令を認めない以上、今日のところはここまででしょう。

少なくとも私がこのプロジェクトと派遣をしているSさんの働く環境について偽装請負や二重派遣の懸念を持っているということは明確に示すことができたのです。

それにしてもずいぶんと噛み合わない商談でした。

本来緊張感を持って受け止められるべきコンプライアンスに関する投げかけははぐらかされ、自分の不遇を嘆いてか「Y社のD課長とSさんが自分を貶めようとしている」などと根拠を示さない愚痴めいた投げかけ・・・D課長に甘く見られるのもわかります。

とりあえず話をコンプライアンスの懸念に引き戻すことはできました。また少し時間を空けて再度アプローチをすることで問題を顕在化させ、現場では解決しきれないこととしてX社本社も巻き込む流れを作りましょう。

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