【続編⑥】【派遣会社営業担当のクレーム対応報告】一体誰が指揮命令者なの!?派遣社員Sさんのトラブル対応
私の担当派遣社員としてK社で働き始めた30代男性の派遣社員Sさんですが、「X社に派遣されているはずが、その取引先のY社の社員から指揮命令を受けていてどうにかしてほしい」という相談がありました。
その際の経緯や対応について、営業日報形式でご紹介します。
派遣会社営業担当が、どんな事を考えて問題解決をしているのかがお分かり頂けます。是非ご覧ください。
対応経緯
派遣社員Sさんからの連絡
Kリーダーとの収穫のない打ち合わせを終えてから2日後の夕方、Sさんから電話がかかってきました。
「ちょっとご報告なんですが・・・」
「ついにKリーダーが職場でY社のD課長から怒鳴りつけられて、『これからは必要なことはSさんに指示ようにするから!!』って宣言されちゃったんですよ」
「それで実際に私に対して今までなかったような細かい指示がでるようになってまして・・・」
一体現場で何が起こっているのでしょう?
以前にKリーダーから聞いた話では、X社とY社間は業務請負契約を締結しており、X社のプロジェクトメンバーはとある商品の顧客向け提案用資料を成果物として納めるといった契約を結んでいると聞きました。
契約上求められる成果物さえきちんと納めていれば、発注した会社は受託した会社にその作成手法やプロセスに逐一指示を出すことはできません。
Sさんの言うようにD課長がKリーダーをはじめとしたプロジェクトメンバーに逐一指示をしているのであれば、それは「偽装請負」を疑われる行為ですし、Y社のD課長がX社に当社から派遣されている派遣社員Sさんに指示をするという状況が見過ごされるようになれば、「当社からX社に派遣された派遣社員Sさんが、Y社の中でY社の社員であるD課長から指揮命令を受けている」という事実上の「二重派遣」にあたってしまいます。
偽装請負はX社とY社間の問題ではありますが、当社の派遣社員がその枠組みに加わってしまっているのであれば何かしらの対応をしなければいけません。
ましてや事実上の二重派遣をされてしまっている状況があるのであれば、派遣会社として「知りませんでした」ではすまされないことであり、早急な対応が必要です。悪事の片棒を担いだままではいられないのです。
「・・・それは困りました。D課長にそこまで言われたってことはKリーダーには何の力もないってことですね・・・」
「そうなればすぐにでもX社の本社に対応を求めます。後手に回ってすみませんでした」
私はSさんにお詫びをしつつ、いくつか確認をします。
「その状況だと、指示をしてくるD課長に『私はX社に派遣されている派遣社員なので直接の指示を受けられません』なんて言い返す余地はないですよね・・・?」
Sさんは私に「なぜ直接の指示を受けられないと言い返さないのか?」と責められたと感じたのか、少し口調を荒くして答えます。
「・・・いや、あの状況で私は指示を受けられません何て言えないですよ!」
「いぇいぇ、もちろんです。Sさんが言うべきことではないですから、誤解させてしまったらすみません。状況を知りたかっただけです」
「もう一つお聞きしたいんですが、今回Kリーダーが最終的なダメ出しを食らうに至った経緯をご存知の範囲でお教えいただきたいんですが・・・」
Kさんはため息まじりに答えます。
「いやぁそれが、D課長が怒るのも無理はないって言うか・・・」
「これまでもそうだったんですが、プロジェクト内での業務のプロセス改善が必要なのになかなか打ち手を示さなかったり、やっと打ち手を出したと思ったら遅すぎて、先月の失敗がまた繰り返されたり・・・」
「プロジェクト内への説明がわかりづらすぎて、人から人に伝わる中でやり方にズレが出てしまってミスが発生したり・・・」
「たかだか10人のプロジェクトチームなんだから普通に会話をすれば解決する問題を先送りにするので、周りもそれに巻き込まれてストレス溜まるって言うか・・・」
Sさんの話を聞く限りKリーダーに良いところは見当たりません。良い方であることは間違い無いのですが管理職には向かない方なのでしょう。
「今お聞きした限り、指揮命令関係がめちゃくちゃなので、とても働きづらいと思うんですが、X社に相談をしても問題解決には少し時間がかかると思うんです」
「すぐにでも解決をしなければいけない状況だと言うことは重々わかっているんですが、Sさんとしてどれくらいの時間の猶予をお考えですか?」
「あと現場感の中で、何かこうして欲しいといったアイデアがあれば教えて頂けませんか?」
Sさんは少し考えているような沈黙の後、話始めました。
「僕としてはこの問題さえなければ仕事は続けて行きたいと思っているんです」
「ただ、D課長から直接指示が飛び交うような状況はすぐにでも解決して欲しいと思ってます」
「僕は派遣社員なんでできることには限りがあって、結局Kリーダーに相談をしなきゃいけないんです。とにかくやりづらくって・・・」
大体の状況とSさんの考えが確認できました。X社に連絡をとって一刻も早くこの状況を解消しなければいけません。